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25話:水鞠の白虎

突如として現れ、俺の窮地を救ったのは、俺が会いたかった四聖獣・水鞠の白虎。


《来い、仕置きの時間だ》


「グルルル………」


白虎がウルフェン達を威圧し、一歩前へ出ると、ウルフェン達は一歩下がった。圧倒的な存在を前に、ウルフェン達は逃げ腰だ。


《来ないのか?ならこちらから行くぞ?》


そう言い、白虎周りにサッカーボール程の水の球体を出現させると、それを前方のウルフェン達へと目にも止まらぬ速さで飛ばす。


──ギャン!

──ギィ…!

──ギャ


当てられたウルフェン達は水鞠に押され、悲鳴と共に森の奥へと飛ばされていく。


『スゲェ…!次から次へと水の珠を当てていく!これなら────っ!?』


圧倒的な強さで、ウルフェン達になにもさせずに次々と森へ飛ばしていく姿に目を奪われていると、俺の真上に影が掛かった。


ゆっくりと、まるでスローモーションのように感じる世界の中、俺はその影の正体を見た。


『ウルフェン!?』


俺の真上を飛んで、白虎の背後から仕掛けるウルフェン。その姿を見て、俺は考えるよりも先に足が前へと出ていた。


「オラァァァァ!!」


降りてくるウルフェンへ向かって、右拳の全力アッパー。熊公すらノックアウトさせた一撃を咄嗟に放った。


「キャインッ!……グルルッ!」


「この…っ!まだ立つか、この野郎!!」


反撃を許さぬよう、畳み掛けるようにウルフェンの腹へと蹴りを入れて、泉へとぶち込む。


「危なかった…」


《…我を助けたつもりか?》


「えっ?まぁ…はい…」


《見くびられたものだな。お前が助太刀しなくても、我だけで対応できる》


「はあ…そうですか…」


なんだこいつ。ツンデレ…いや、こいつ本気で言ってやがるな?現に、白虎は自身を水でくるんでシールドを張っている。余計なことだったのか…ちぇっ、動いて損したよ。


《……だがまぁ……感謝はしといてやる》


ツンデレっぽい。あんましツンデレについて詳しくないけど、多分これが生のツンデレだ。ツンデレはツインテールっ子って決まってるだろうが!!


《仲間を囮に背後から。どこまでも卑劣な奴らだ。……人間、死にたくなければ地面に這いつくばれ》


「お、おう…」


あーあ、借りてる服に土ついちゃうよ…

まぁ死ぬよりはマシなので、OKです!


《[篠突く]》


白虎が囁くように呟くと、白虎を中心に360度全体に水滴程の大きさの水が空中に作られ、全方向一斉に発射される。そのスピードはまるで弾丸。


「キャインッッ!!」


犬特有の悲鳴を上げ、戦意喪失したウルフェン達、無様に尻尾巻いて逃げ出す。

…俺がやった訳じゃないけど……


誇らしいよねッ!!


《奴らもいい薬になっただろう。……いつまで這いつくばってるつもりだ》


「あっもういいんすか?」


いつあんなのぶっ放されるかわかったもんじゃないからね、怖い怖い。


「えっと…助けていただきありがとうございます」


《勘違いするな。お前を助けた訳では無い。あくまでもウルフェン達への仕置きだ》


「それでも、です!ホント、ありがとうございましたっ!」


プイっと顔を反らして言う白虎さん。可愛いねぇ~琥珀って名前をつけたいですね、スマホ太郎先輩に習って。


「えっと、その…あ、あの」


《何だ。言いたいことがあるならはっきり言え》


い、言えねぇ…!俺の仲間、またの名をペットにならないか?なんて言えねぇよ!!

実力勝負で俺を主として認めさせる?バカ言うな、俺が逃げ回ってたウルフェン達を軽々と追い払った奴だぜ?か、勝てる訳が無いYO…!


《む?もしやお前…この姿を恐れているのか?》


「そいういう訳じゃ…ないんですがね」


意志疎通ができる奴は怖くはない。意志疎通ができない獣とかが怖いのだ。…まぁ人間にも意志疎通ができるのにヤバイ奴ってのはいるけども…


《丁度いい、お前に聞きたいこともある。少し時間を貰うぞ》


そう言うと、白虎さんは体を発光させる。これは…!なろうお約束である、美少女変身ですね!!





「え」


《ふむ、こんな所か。ではお前の名前から聞こうか。我の名は知っているのだろう?》


変身の光が収まり、二足歩行の生物へと変化する白虎さん。白虎さんは俺の目を見ながら話してくるが、、


『わぉ……獣人タイプですか…』


全身に真っ白の毛を生やした二足歩行の生き物。そう、変身した白虎さんである。お約束の展開的に考えて、白髪の美少女かと思っていたのだが……顔面がバリバリ虎だ。タイガーマスクだ。しかも下しか布無いから…雄だし…


「……あっ、俺の名前はテンドウ・アキラって言います。白虎さんのお名前は存じてます。水鞠の白虎さん、ですよね?この本に書いてあったんですけど…あってますか?」


《あぁ、間違いないは無い。だが、ちゃんとした名前はある。ジェネヴラと言う名がな。しかし驚いたな…こんな若い人間が我を知っているとは…ましてや祠までやってくる奴は久々だ》


あれ?お世話になってる村の皆は祠に行ってないの?こんな面白そうな事が起きそうなのに?異世界ギャップってやつかな?


《アキラが持ってきた貢ぎ物であるあの肉、中々旨かった》


「あぁーあの干し肉ですね。気に入っていただけたようで良かったです」


薪割りとか、お手伝いしてたら貰えたお小遣いで買った干し肉。俺も少し食べたけど、現世で食べてたビーフジャーキーに近いかもしれない。なにか漬けてるのかな…?


「ちょっと質問なんですが…いいですか?」


《なんだ?》


「あの剣なんですが…何か抜くのに条件ってあります?」


俺が指差すのは、地面に刺さっている精霊剣。こういうのってピンチの時抜けたりするのだが…


《当然だ。精霊剣・アルクトゥルズを抜けるのは[精霊王の加護]を持つ者だけだ。普通の人間には抜けん》


精霊王の加護ねぇ……俺のなんかより、うん百倍も効果ありそうだね。いやそもそも対象にするのもおこがましいな。


《そうだ、お前は…アキラは何しに我の祠までやって来たんだ?》


「えっと…ですね…」


まぁ当然の質問だよな。さて…なんと言うかね…。仲間になってくださいっ!ってか?

いやいやいや…だから、助けてもらった人…じゃねぇな、ジェネヴラさんに言えないって。


「えーっと………あっ実は俺、運がとことん悪くて…だから開運の意味で祠に行かせてもらいました」


《…我は聖獣であって、神ではないのだぞ…?》


ごもっとも。ぐうの音も出ない正論だね。


「あははっ……まぁ…手当たり次第、みたいな?」


《何故疑問系なんだ…》


ごもっとも。ぐうの音も──以下略


「あッ!バイトの時間だ!…でわ俺はこれで!!」


《帰り道、分かるのか?》


「……………」


気まずいし、目的の達成出来なさそうなので、早々と去ろうとしたところでジェネヴラさんに痛いところを突かれた。


《そんな泣きそうな顔を男がするな。………はぁ…この辺だと…あのエルフ達の村から来たのか?そこまでなら道案内くらいはしてやる、来い》


「ジェネヴラさん…!」


トゥクン…!

とは来ないよ。流石にね、流石に…

変態国家の日本から来たとは言え、流石にモフモフ獣人は無理ッスわ。そもそも雄と雄だからね、交わっちゃダメなんだよ!同性愛?知らない子ですね…


…え?俺とじゃ月とすっぽん?う、うるせぇ!俺は日本から転移してきたなろう主人公だぞ!?天下のなろう系だぞ!!全てのなろうを継承した男(自称)だぞッ!


え、チートがあるのかって…?



うるせーーーー!!知らねーーー!!








は?

水魔法:篠突く

効果:発動者の周り360度全方向へ、雨の弾丸を一斉発射する。





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