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258話:72柱・ベリト

異世界はスマートフォンとともに。アニメ2期制作決定っ!!おめでとうございます!!(媚を売る)


心より楽しみにしてますので、どうかネタとして使わせてくだせぇ…!(ゲス)

「しっかし僕の存在に気が付く人間がいるとはねっ、ぼくビックリしちゃったっ!」


そう無邪気に笑いながら歩く姿は、7歳程度の子供とは思えぬ程に威圧感を放つ。思わず息を飲むようなその気配に、俺は最大の警戒をしつつ1歩後ろへと下がった。


『悪魔と会うのはこれが初めてじゃないが…!コイツ強いぞ…っ!』


レヴィと再契約した際の威圧感には劣るものの、あの悪魔から発せられる気配は紛れもない本物だ。

しかも現実世界でも有名な“72柱“とはな。そういう事はかなり勉強してきた方だが、ベリトという悪魔には聞き馴染みが無い。



──アキラ、この声が聴こえていたら表情を変えないで聞いてほしい。


操っているであろうチンピラと警備兵達を制止させ、ペラペラと楽しそうに語るベリトを前にどうやってこの状況を打破するか考えている時だった。脳内に直接聴こえたコウキの声に、少し驚いたがそれは決して顔には出さぬように意識する。


『なんだ?何か作戦を思い付いたか?…どうでもいいけど脳に直接声が聴こえるのって気持ち悪いな…』


──あはは……それは我慢してほしいかな…


苦笑いでそう言ったコウキに、俺は内心溜め息を吐いた。なんか思ってたのと違うからだ。もっとこう……凄いのかと思ってたんだが、拍子抜けだ。魔法で直接脳に干渉されるのって凄く気分が悪い。変な感覚になるんだよな…


──本題に入るけど、あのベリトの名乗った悪魔は今も尚笑顔で喋り続けてる。その隙をついて僕は強力な魔法を放つから、アキラは10秒後に地面に這いつくばってくれ…!


成る程、確かにコウキならこの場いる全員伸せるくらいの魔法は放てるだろう。“なろう系主人公“だし。

だがあのゾンビのように起き上がる男達は止められるのだろうか。アイツらは操られているだけであって、通常の人間。痛みだって感じるだろう。もっとも、あの人間がまだ生きていればの話だが。


『死体を操る奴もたまにいるかなら、【ありふれ】でもいたし』


天下の“なろう系主人公“が此方側にいる事が安心へと繋がり、俺はそんな事を考えつつ密かに10秒カウントする。

──そして時はすぐに来た。



「───だからぼくはこうして人間を使って人間を捕まえてるって訳っ。ぼくは他の“72柱“の悪魔達とは違って戦闘向けじゃないからさっ?まあ仕方ないんだよね。でもでも、ぼくはぼくなりに出来る事を精一杯やっての結果だし、今もこうして生活出来てる訳だからなんの不自由もないんだよっ。あーでもコイツらとは話せないのが悩みの種かなー。こう見えてもぼくだって寂しいって感情は感じる訳で──────」


「───いい加減そのうるさい口を閉じろッ!![雷電激震(らいでんげきしん)]ッ!!」


【リゼロ】の“強欲“もビックリな程に喋り続けたベリトは、コウキが一帯に放った緑色の電撃によって吹き飛ばされる。

中々の威力であり、高圧電流が今も尚バチバチと鳴っている。ありゃあ人が死んだんじゃないか…?


「おい、コウキ…今のは……」


「大丈夫、今のは殺し目的で造った魔法じゃない。雷魔法とデバフ魔法を掛け合わせたモノだから。ほら、見てごらん」


俺の心配とは裏腹に、にこやかな笑みを浮かべてそう言ったコウキ。確かに彼の言う通り、今の魔法を食らったチンピラと警備兵達はうち上がった魚のように体を痙攣させている。筋肉を痙攣させて、強制的に動けなくしたようだ。


「だがこの程度でやられる程、どうせヤワじゃないんだろ?」


「あっははは!いやぁ~ビックリしたビックリした。凄い魔力量でぼくビックリしちゃったっ。でもこの程度で倒せるとは思わないでほしいなっ」


瓦礫から笑いながら出てきたベリトは、軽いストレッチの後に地面を強く蹴り込み、高速で近接を仕掛けてくる。


「先ずは君から行こうかっ!!」


「っ─────!!」


機敏な動き且つ子供体型という事で、非常に攻撃範囲が狭い。いくら鍛えているからと言って、この速度に対応するのは至難の技だ。


「──まあ、一般人レベルならの話だがな」


「っ…!へぇ…メインディッシュ前の前菜のつもりだったけど、どうやらぼくの想像以上に強いんだねっ」


ベリトのナイフのように変化した指を木刀で受け止めた俺は、すぐさまベリトの腹部を強く蹴り飛ばして距離を取る。

意外だと言わんばかりのその表情と言葉には少しだけイラッとしたが、心を正常に保つ。


「君の教え通り、冷たい氷のように冷静に相手を見ろ……守らせてもらうよ、ミル」


少しだけ体が震えてくる。それは武者震いなんてカッコいいものではなく、単なる恐怖でだ。

奴に勝ちたいという感情とは裏腹に、俺は今あの悪魔に対して猛烈な恐怖心を抱いている。本当ならこの場をコウキに押し付けて逃げたしたい。だけど、、


「そんなんじゃいつまで経っても変われない…!自分自身を変えないと何も始まらないんだッ…!」


左目が熱い。だがそれと同時に奴の動きが少しだけ見やすくなった気がする。

誰かに頼って護られるのはもう終わりだ。自分自身の力と勇気で立ち向かえ…!


「その眼……ぼく嫌いだな」


楽しむ子供のような無邪気な笑みを消して、目を細目ながらそう言ったベリト。空気が変わるのを肌で感じ取った俺は、額から1滴の汗が滴り落ちる。


「前言撤回。お前は前菜なんかじゃない。ぼくのだいっきらいな天使と同じ気配がする……だからお前はぐちゃぐちゃにして殺すよ」


「…やれるもんならやってみな」


俺のその言葉を合図に、殺意の籠った瞳へと変えたベリトは俺の頭目掛けてその凶器のような指を横に振るう。

だが事前にその動きが来るのは左目で分かっていた俺は、動き出すと同時にスライディングで地面に体を擦り付けながら、飛び掛かって来たベリトをそのまま上へと蹴り上げる。


「やれッ!コウキ!!」


「ナイスタイミングっ!」


上へと蹴り上げられたベリトは、状況を把握する前に突如爆炎に包まれる。それは先程からずっと後方で隙を窺っていたコウキによるものだった。


「ぐ、ふ…っ……!へへっ、中々面白い連携だね。でもこれっぽっちじゃぼくには届かないっ…!」


血反吐を吐いて笑うベリト。ああは強がってはいるが、先程放たれたコウキの魔法は少し前に放った電撃魔法とは違う。籠められている魔力が圧倒的に上がっている今の攻撃が効いていない訳がない。


「よく分かったね、アキラ」


「この眼には魔力の流れが見える。チーターなお前のバカみたいな魔力量ですぐに分かったよ」


「ははっ、どうりで」


納得したという顔で笑うコウキ。よくこの状況で笑えるよな、ホント……やっぱり“なろう系主人公“って頭のネジ絶対に全員外れてるんじゃないか?(ド偏見)


「さて、ベリト。お前はどうやら狩る側にいると思っているようだが……───どちらが狩る側か…その体に教えてやるよ、クソガキ」


ビッっとベリトへと指を指してそう言った俺は、不敵に笑みを浮かべる。虎の威を借りる狐なのは重々分かっているが、やっぱり異世界ではイキれる時にはイキッとかなきゃね。


「さあ、始めよう」

絶対勝ち確戦闘開始。

ベリト君が可哀想だね。

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