256話:妙な組み合わせ
ブックマークも増えて、期待?されてるのにこのザマです。情けない…っ
「なんでここにアキラがいるんだ…!?君は今アルテルシア魔大陸で“強欲“と争っていた筈じゃ…!?」
「これはこっちのセリフだよ…!なんでよりにもよって君にこんな場所で───会うんだよッ!!」
逆に路地裏でイベントが起こっていのだから必然なのかもしれない。てかなんでコウキが喋ってる時には攻撃しないで俺の時だけ攻撃仕掛けてくるんだよ…!理不尽だな…
「そっちの奴も仲間だな?ぶっ殺してやるッ!!」
「っ…!くっ…!アキラ、これはどういう状況なんだっ!?」
と思ったが、チンピラはコウキに向かってナイフを刺そうと接近するが、それを素早く回避してチンピラの背中を蹴り飛ばして距離を取った。
「まさかコイツら…最近の少女誘拐事件の犯人か?」
ポツリと小さくそう呟いたコウキは、困惑の表情から一転して険しい表情へと変えた。
あの表情を見るに、コウキは何かを知っているようだ。
「……アキラ、君には聞きたい事が沢山ある。だけど今は……コイツらを倒すのが先だ。だから力を貸してくれ」
「言われるまでもないな」
妙な組み合わせとなったが、今はコウキの言う通りこの男達を倒し、逃げた男を追い掛ける事が大事だ。
俺はコウキの隣に並び、そして同時に動き出してチンピラどもを殴り倒す。俗にいう暴力による解決、でも多分これが1番早いと思いますっ!
「ふ、ふざけ────フグッ…!?」
「バケモ────」
ほんの数十秒でナイフ所持の男を合計4人撃破。だが倒し終えた時には既に少女を誘拐した男は完全に見失っていた。
「アキラ、もしかしてあの男達が少女を誘拐する所を見なかったかい?」
「見たよ。コウキが来るほんの少し前にな」
俺が気絶しているチンピラ達をツンツンしていると、後ろからコウキはそう問いかけた。別に隠す事じゃないので、正直に話すと彼は少しの間黙り込む。
「この男達はどういった目的かは分からないが、8歳から12歳の女の子を誘拐している。噂によればどこかに売り払ってるんじゃないかと言われている…」
「……へぇ。この男達がロリコン集団か、人身売買か……どちらにしろ胸糞だな」
異世界では少女相手にそういった行為をするのも、どこかへ売り払うのも別に珍しくない。だからこそ、その後を考えると胸が苦しくなる。俺はどうやって先程拐われた子とを親元へと返すか、どうやってあの男の行方を探すか考えていた。
「僕は誘拐された親御さんからの依頼でこの男達を追っていたんだ」
「さいですか。なら俺の役目は無さそうだ、俺は仲間と合流しないといけないからもう行く」
この後どうなるかはもう日本で死ぬほど見たから特にそそられない。何故なら勝ち確定だからだ。逆に下手に俺が介入したら誘拐された子が助からないかもしれない。残念だがここは静かに去ろう。
なによりコウキとこれ以上いたくない。
「待て、話しはまだ終わってないぞ」
「俺は終わった。これ以上関わらないでくれ、迷惑だ」
早々に去ろうとした俺の肩を掴むコウキ。厄介だ。これ以上コウキといたくない。彼の勇姿を見たくない。見れば見るほど自分が惨めに見えて仕方ないから。
「僕は君の行いが許せない…!なんの罪も無い国を襲撃したりしてどういうつもりだっ!?」
「っ…!離せ…ッ!確かに俺の罪は消えない!現在進行形でな…!…だが今はやるべき事があるんじゃないのか?」
「……っ。確かにそうだ。だけどここでアキラを見過ごす事は出来ない」
「ならどうしろっていうんだ?俺を衛兵に突き出すか?」
こうしているのが1番時間が無駄だと感じた俺は苛立ちと共にそう言うと、コウキは俺の手を掴んで歩きだした。
「お、おい…どういうつもりだ?」
「ここでアキラを見逃したら当分会えない気がする。だからアキラにはこの事件の解決を手伝ってもらう。アキラ程の実力があればすぐだろ?」
「な、なんでそうなるんだよ!」
俺がそう抵抗しながら叫ぶものの、純粋な“なろう系主人公“には力ではとてと敵わない。
だけど男と手を繋ぎっぱなしってのは精神面で良くないので、俺はなんとかコウキを説得して手を離して貰った。
「んで?アイツらの場所は分かるのか?」
「おおよそではあるけどね。奴等は何が目的で少女を誘拐しているんだろう……アキラは何か分かるかい?」
「何でそこで俺に振るんだ。…そうだな……やっぱり少女ばかり狙っている事が気になる。体目的にはあまりに幼いし、奴隷にするにしてもとてもじゃないが力にはならない。そう考えると……」
「そう考えると?」
コウキが歩きながら俺へと振り返ると、俺の次の言葉を待つ。
俺は今まで読んできた“なろう“から考えて、思い付いた事に少しだけ嫌な気分になる。
「恐らく…少女の臓器が目的か或いは……何かの生け贄だろうな」
「っ…!そんな…っ!」
「だが少しだけ解せないんだ。どちらにしろ、少女限定で誘拐するような奴等がその辺のチンピラなのが」
「確かに…。もしかして依頼主が足が付かないようにわざとあの男達に依頼した…とか?」
「どうだろうな」
本当は先程気絶させた奴等から情報を引き出せれば良かったのだが、口封じの魔法でも掛けられていたのか、俺達が何を聞いても答えられなかった。だからこうして歩かざると得ないのだが、コウキが向かっている場所に行けば平気だろう。
「アキラ、君は一体何者なんだ?どうしてそんな髪色になってしまったんだ…」
「話せばそこそこ長い。でも言うのはちょっと面倒だから勘弁な」
俺が2人に分離したからこうなったって言ったら初見じゃ絶対困惑する。そこを詳しく説明するのも面倒だ。だから道中コウキからの質問をのらりくらりとかわし続けた。
そうしていう内に、段々と人の気配がしない場所へと向かい、そして先頭を歩いていたコウキの足が止まった。
「ここは?」
「ここはバルバレスで有名な犯罪グループのアジトだよ」
「…マジか」
到着したのは朽ちた廃屋のような場所。ここはスラム街なのだろうか。中央都市とはまた違った雰囲気の場所だが……
そして普通にコウキは言ったけど、ここはこの国でも有名な犯罪グループのアジトだそうです。……え?俺素手なんだけど?
「あー…コウキ、何か武器ないか?出来れば長い物がいい。もっと欲深く言えば剣がいいんだが…」
「あるにはあるけど……僕はまだアキラを信用しきれてない。あんな事をしたんだからね。だから今はこれで我慢してくれ」
あんな事…?…………ああ、盗賊を殺してコウキにメッセージを残した事か。確かにそれなら信用できないな。
しかし渡されたのが日本でもよく見た木刀って……ここは観光地ですか?…いやお祭り中だから観光地だったな、ある意味。
てかこれどっから出した?亜空間魔法か?凄いねぇ。
「んじゃまあ……行きますか」
「ああ」
俺は二昔前の不良のように、肩に木刀を乗せて薄汚れた廃屋の中へとコウキと共に堂々と入り口から入り込んだ。
少女が誘拐されてるんだから、隠れて入れよ。
この辺の話は別に引き延ばしのようなものです。だからといって、アイディア不足って訳ではないのですがね。
単に“なろう系主人公“に遭遇させたかった…ってヤツだ……




