249話:正義の大天使
最近閲覧数が凄い。これも感想を沢山貰えたお陰ですねっ!(笑)
「全ての元凶はこの男、テンドウ・アキラなのだ!!我々の国に悪しき黒龍を解き放ったのはこの人間だッ!!」
メタトロンのその声は天界に響き渡り、その声に反応するかのように死天黒餓龍は天高く咆哮を轟かせる。
状況を未だ理解出来ていない大天使がいる中で、ガブリエルとラミエルはメタトロンの言葉に疑問を抱いていた。
「な、なんで…!?なんでアキラがメタトロンに捕まっているの…っ!?」
広い大森林に隠れていた筈のアキラをもうメタトロンは見付けたと言うのか。だがそれはあり得ない。それこそアキラの居場所でも知っていないと不可能だ。
「メタトロン、今の言葉はどういう事か説明しろ。何故彼が死天黒餓龍を解き放ったと言い切れる。何か根拠でもあるのか?」
何故アキラが捕まっているのか、何故血だらけなのか。その事で混乱していたラミエルを置き去りに、ガブリエルがそう問う。
彼女は死天黒餓龍に最大限の警戒をしつつ、メタトロンへと視線を強める。彼の言動、行動、そして僅かに漏れ出ているオーラ、それら全てがおかしかった。
「根拠?そんな物は決まっているだろう。この男がこの天界に来たとたんにあの黒龍が現れた!これが紛れもない証拠だろうッ!?この男は禁忌スキルを宿すような人間!!我々の天界さえも破壊しようと目論んでいるに違いない…!いやきっとそうだ…!!」
「……貴様、本当にメタトロンか?」
狂信的な瞳で、自身の言葉に何偽りが無いと信じきっているメタトロンへとそう返したガブリエル。彼女の眼光は少しずつ鋭くなっていき、彼女が放つオーラが滲み出す。
「ガ、ガブリエル…?一体どうしたんですか…?」
ラミエルの言葉に反応を示さないガブリエル。そんな彼女に向けて偶然飛ばされた黒い光線。それは死天黒餓龍が無差別に放つ攻撃だった。咄嗟にラミエルはガブリエルを護ろうとシールドを何枚も重ねて張るが、それら全てはまるで意味を成さないかのように一瞬にして崩壊した。
「っ!!ま、まずっ────!」
僅か1秒にも満たない時間で崩壊したシールド。目の前まで迫った黒き光線に、ラミエルは自身の体に金色の雷を纏って加速しようとした。間に合うかどうかは分からない。だがここでやらねば2人とも死ぬ。そう考え、全身に金色の雷を纏った時だった。
深紅の炎が上空から降り注ぎ、その炎は広範囲に広がる壁へと変わる。かつて27万人以上の死者数を出し、尚且つ大天使であるラミエル達の攻撃が一切通用しない死天黒餓龍の1撃防ぐ程の火力を持つ者はこの天界内に1人しかいない。
「全く、いつまでこのトカゲと戯れるつもりだ。その程度では大天使の肩書きが泣くぞッ!」
覇気のある女性の声が天より聞こえた。黒龍の1撃を防ぎきった深紅の炎を操りし大天使にして、“正義“を冠する大天使の長。歴代最強の大天使、ミカエルが6枚の翼を広げ、死天黒餓龍を見下ろしていた。
「グガアアアアァァアルルルッッッ!!!!」
「吠えるな、トカゲ風情が」
ミカエルから放たれる圧倒的な強者のオーラに反応したのか、死天黒餓龍は空に浮かぶミカエルへと空間を揺らすような咆哮を放つ。思わず身震いしてしまう程に威圧感の籠った咆哮だが、ミカエルはそれをなんともないかのように鼻で笑い、深紅に染まる炎の剣をひと振りした。
「グルガァァァアウウゥウウッッ!!??」
「他愛も無い。所詮はかつて猛威を振るったトカゲに過ぎない。貴様程度が届く程、私の背負っている物は軽くはないんだよ」
軽く振るわれたミカエルの炎の剣。そのたったひと振りは巨大な極炎の刃へと変わる。その炎の刃は反撃とばかりに放った死天黒餓龍の漆黒のブレスを容易に切り裂き、そのまま黒龍の尾を切断し、一瞬にして死天黒餓龍の全身に深紅の炎が回る。
「正義の為の、犠牲となれ」
ミカエルが小さくそう呟くと同時に、死天黒餓龍の全身を燃やし尽くしていた深紅の炎はやがて黒龍を呑み込む。崩壊の力さえも通じぬ圧倒的た火力の前に、死天黒餓龍は一瞬にして灰となった。
──────────────
「私の前でそんな嘘が通じると思っているのか?随分と舐められたものだな……貴様は誰を相手にしているのか…分かっているのだろうな?」
「分かっているとも。アンタは大天使のNo.2……ミカエルの次に強い大天使だという事はな」
ミカエルが死天黒餓龍を灰へと変える少し前、メタトロンとガブリエルは建物の頂上にてお互いに睨み合っていた。
「貴様はもはやメタトロンではない。メタトロンの皮を被った別のナニカだ!」
「これはこれは…随分と酷いお言葉だ。我は正真正銘“節制“を冠する大天使、メタトロンだ。それ以外の何者でも無いッ!そんな事もわからないとは…随分と落ちたものだな?ガブリエル」
メタトロンの雰囲気が変わった。いつもの彼らしからぬ歪んだ気配に、ガブリエルは眉を顰める。
『やはりおかしい。正義の為に身を粉にする程天界に貢献してきた彼が何故こんな禍々しい…まるで悪魔のようなオーラを出しているんだ…っ』
「この男が悪ッ!!この男こそが地上界を、天界を、世界を滅ぼす男ッ!!生かす訳にはいかない!!正義の為!正義の為にこの男を始末せねばぁぁぁぁぁッッ!!」
段々と歪んでいくメタトロンの表情。それに伴って少しずつ彼が放つ黒いオーラが顔を出してくるのが分かる。
メタトロンは眼を大きく見開きながら、血だらけになって動かないテンドウ・アキラを何度も踏みつけ、叫び続ける。
『不味い…!あのままでは彼は死ぬんでしまう!!』
テンドウ・アキラの生命反応が少しずつ消えていくのを感じ取ったガブリエルは、焦りの表情を浮かべる。
何故彼が執拗までにテンドウ・アキラをなぶるのかは分からないが、仲間であってもこれ以上は見過ごせない。気絶させる程の力を込めたガブリエルはそのままメタトロンへと手を翳した。
「[神聖なる雷槍]っ!!」
ガブリエルが攻撃を放とうとした瞬間、横から飛来した黄色に輝く電撃の槍がメタトロンへ直撃した。
「ゴホッゴホ…!!ラミエル…ッ!貴様ぁぁあ!!」
体を一部を痙攣させながらも、血走った瞳を向けるメタトロン。その視線の先にはラミエルが翼を大きく広げ、神器・雷霆ケラウノスを構え滞空していた。
「必ず地上世界に帰すと約束したんです…っ!ここで死なせる訳には…いかないんですよっ!!」
彼女は覚悟を決めた表情で、逆にメタトロンを睨み返しそう叫ぶ。
全身に纏う金色の雷は、ラミエルの本気を示しており、それほどまでにテンドウ・アキラを護る事を決めた顔をしていた。
これで大天使が全員出ましたね。
“正義“を冠する大天使、ミカエル。
性別は女。天界史上歴代最強の大天使であり、その炎は絶対的な力を持つ。
明るめの黒髪長髪に、ルビーのような赤い瞳をしている。
ウリエル>ガブリエル>ラファエル>ミカエル>ラミエル
ちなみに↑は胸囲です。必要な方もいるでしょうから、一応記入しました。




