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247話:信頼と感謝

6時に間に合わなかったので初投稿です。

「ウリエル、サリエル…!お前らは自分がやった事を分かっているのか…!?あの男は我々が護るべき世界を破滅へと導く者なのだぞッ!?」


怒り心頭のままそう叫ぶメタトロン。

部屋は激しい戦闘があった事を示すように荒れ果てている。メタトロンもサリエル達もお互いに傷を受ける程に、激しい争いがアキラ達が逃げた後に起こっていた。


「確かに俺らは使命に反した。だが間違った事をしたとは思っていない…!」


「例え神様の言葉でも、それが本当かどうかはまだ分からないわっ…!それなのにこの結末はあんまりよっ!」


「お前ら…!それを神に対してなんたる侮辱の言葉か理解しているのかッ!!神の御言葉は絶対!それは全天使が共通する事だぞッ!!──お前らはルシフェルのように“堕天“したいのかッ!?」


凄まじい剣幕でそう叫ぶメタトロンだったが、最後の言葉を切っ掛けに部屋の雰囲気は一変した。


「メタトロン、少し黙れ。耳が痛くなる……それと例え君でも、先生への侮辱は許さんぞ」


「───ッ…!!」


ガブリエルの息をする事さえ忘れてしまいそうな程に鋭い殺気がメタトロンを襲った。

その殺意がいっぺんに集中しているメタトロンは顔を青ざめ、玉の汗と共に1歩後ろへと下がった。


「ふぅ…サリエル、ウリエル。君達は自分の行った事は理解して尚行った事なんだな?」


「…はい」「えぇ…」


彼女(ラミエル)を信じているんだね。ふっ…流石“人徳“を冠する大天使なだけはある」


常に表情が変わる事の無いガブリエルが小さく微笑み息を小さく吐くと、椅子から立ち上がる。そしてガブリエルは未だ怯えるメタトロンへと視線を戻した。


「私自身、神の言葉を否定するつもりは無い。だが今はラミエル達の事を信じてみよう。私の方からもヤハウェ様に真偽を問いてみるから。ラファエルもそれで納得してくれるな?」


「……くっ」「は、はいぃ…」


「うん、ならこの話はこれで終わりだ。結果がどうなるかは分からない。だがサリエル、ウリエル、もしテンドウ・アキラがまた悪の道に堕ちた時は…分かっているな?」


「ハッ!」「うんっ…!」


サリエルとウリエルの言葉に満足そうに頷いたガブリエルは、部屋から出ていった。

良かったと話すサリエル達とは裏腹に、1人俯くメタトロン。


「だ、大丈夫…?」


「触れるな!我に心配の必要など無いッ!」


メタトロンの肩に置かれたラファエルの手を振り払い、メタトロンはそのまま部屋から出ていく。


「クソッ…!」


────────────


そして場所は変わり、天界の一角にある大森林。そこの大森林の中央には特徴的な塔があるのだが、その近くまで走っている者達がいた。アキラとラミエルだ。


「はぁ…!はぁ…っ…!」


「ここまで……来れば…っ…一先ず安心、です…っ」


ここまで全速力で逃げていた彼らは、息を荒くしながらその場で息を整える。

アキラは体力はあるほうなのだが、ここが雲より上の高所だからか、異常に疲れてその場に座り込んだ。


「いいのかよ……逃げる時、かなりヤバそうだったぞ?何か考えがあって事なんだろうが……」


「いえ、何も」


「はっ…!?おまっ…!それって何も考えずにあの場から逃げたのか!?殺されそうになった俺を連れて!?」


息を切らしながらも首を横に振ったラミエルに驚きを隠せない俺は、思わず声を大きくしてしまった。


「メタトロンの行動が私には正しいと思えなかった。だから貴方と共に逃げただけです。私が近くにいなければ、他の天使達に駆除されてしまう可能性もありますからね」


「だ、だとしてもだ!お前の立場はどうなる!?その駆除対象を連れて逃げたんだ、ただじゃ済まないだろ…!」


「うん…かもね。でもそれは目の前で泣いている人が殺されそうになっているのを見過ごす理由にはならない。だから私が貴方と逃げた事は後悔なんかしていないです」


バカな天使(ひと)だ……俺なんか見て見ぬふりをして見捨ててしまえばいいものを……俺なんかよりもよっぽど主人公に向いている性格をしている。真っ直ぐで強い信念を持つ天使だ。


「兎に角ここにいたらダメです。出口は…天界中央前にあるゲートを潜らなければならない……。ても大丈夫、私が必ず貴方を地上世界に戻しますから!」


「ありがとう…」


こんな俺でも助けてくれる人がいる。心配してくれる人がいる。泣いてくれる人がいる。

少し前の俺なら考えもしなかっただろうその事に、俺は心が暖かくなるのを感じた。


「どうかしましたか?」


「あっ、いや…なんでもない、今行く」


立ち止まったままの俺へと振り返ったラミエルの言葉に、俺はすぐに後を追うように駆け足で向かった。情けない限りだが、そのまま彼女を先頭に中央前にあるゲートへと向かった。


───────────


「テンドウ・アキラ、か。中々面白い人間じゃないか」


ガブリエルは自身に当てられた仕事部屋にて、そう静かにポツリと呟きながら1枚の資料を見ていた。


「リコス様の祝福…そしてヤハウェ様が仰っていた異世界候補に選ばれた人間とは一体……」


テンドウ・アキラが嫉妬の因子を宿した際に彼の経歴を探ってみたが、結果は不明。どの資料を探っても、彼が産まれた痕跡が無かった。


「稀に現れる異世界人なのだろうか……そうなればヤハウェ様の仰っていた異世界候補に繋がるが……リコス様との繋がりが無い」


別世界から現れる人間は極稀にいる。その大体がこの世界の窮地を救い、英雄となっている人間だ。

だがテンドウ・アキラには偉業を成し遂げるような力は愚か、英雄のような強き心は持っていなかった。それが“嫉妬“に繋がるのだが……やはりリコス様との繋がりが見えない。この世界の産まれでは無いという事は、リコス様を崇拝していた宗教との関連も無いという事だ。


「ふむ……もう少し彼について探って─────ッ…!!なんだ…!?」


資料を置いたその時だった。

突如天界全域に広がった禍々しい気配を感知したガブリエルは、椅子から立ち上がると同時に天界中央にある白之聖域(ブロンサンクチュアリ)一帯にいる天使達へとすぐさま警戒を飛ばした。


「一体何が起こっているんだ…!!」


ガブリエルは焦りの表情のまま部屋の窓を開けると、そこから飛び降りる。そしてガブリエルは6枚の大きな純白の翼を広げると、禍々しい気配の元である、中央前へと急いだ。

そう言えば書いてませんでしたが、ガブリエルは濃い緑色の髪色をしてます。ややつり目で、威圧感のある表情を常にしている女性です。大天使の中ではNo.2と思っていただければと。

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