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240話:偽者

ヤバい、どんどん誤字報告を受けている…

読んでくれてる&訂正してくれて嬉しいけど……忍びない…!

「はぁ…!はぁ……っ!」


右腕とは感覚がまるで違うが、無事に[終雪(しゅうせつ)]の最終奥義[天牢雪獄(てんろうせつごく)]を放つ事に成功した。

未だに凍てつく空気が漂う中、ミルの目の前には巨大な氷塊が完成した。アキラを中央に入れて。


「成功…したのよね?」


「ん……いくら大罪悪魔の力を持つアキラだからと言って、直撃したから成功した筈。ローザ、無理をさせてごめん……腕の傷、まだ癒えてないんだよね…?」


「…その話はもういいわ。それより今はあの悪魔達よ」


腕を組んで向かってきたローザの視線の先には未だ暴れまわる2匹の悪魔がいた。

おかしい。アキラの意識を完全に凍結させた。悪魔達の意識も正常に戻ってもおかしくない。それなのに未だに暴れている。凍結されたアキラを気にも止めずに、、


嫌な予感を感じたその時だった。


「「っ…!?」」


「おいおい…!あれだけやって冗談だろ…!?」


「うそっ…!私かなり魔力を込めたんだよっ!?」


アキラを中心にして亀裂が広がっていく氷塊。力を封じた状態で完全凍結したというのに、まだアキラには意識があると言うのだろうか。



「はい復活ー!!残念ッ!俺にお前ら如きの攻撃が通用する訳無いだろ??ここは異世界、主人公以下のお前らが俺に勝てる道理はねぇんだよッ!!」


黒い爆炎を全身に纏ったアキラは、その黒い炎で氷塊を内部から破壊し、脱出してしまった。

そしてアキラはそのまま怒気と殺意を孕んだ赤い瞳で、ボク達を射殺す視線を向けて無数の黒い水の槍を放つ。


「皆のボクの後ろっ…!!─────う…っ…!!」


左手で剣を握る事にまだ慣れていないのも関係無く、ただボクは仲間を守る為に剣を振るった。

速い…速すぎる…!剣技には自信のあるボクでさえ捌くのが困難な水の槍。それらは寸前の所で形状を変えたり、突然方向転換して左右から仕掛けてくる事なんかもしてくる。


「うわわっ!?[二重防壁(ダブル・シールド)]っ…!!」


ボクが水の槍を相手にしている隙に、アキラはボク達の真上から黒い炎を降らせる。ルナが咄嗟に壁を張ってくれなかったら今頃全員焼かれていた。


「なんて言ったか……あぁ…[擬似神之怒(ぎじメギド)]」


「っ!![黒繭(ノワールカーテン)]!!」


ボクが弾いた水の槍を空中で留めていたアキラが次に放ったのは光の速さで迫る殺人光線だった。ローザがアキラの言葉に即座に反応して、光を吸収する幕張ってくれたお陰で、今ボク達の命がある。


『やっぱりアレはアキラじゃない…!』


永遠と続く水の槍を弾きながらボクはそう思い浮かべる。弾けば弾く程に空中を漂う水球はどんどん増えていく。“強欲“から傷を受けているローザがいつまであの光線に耐えられるか分からない。

だが打開策が無い。完全に防戦一方……先程までの状況が真逆になってしまった。


「ナメるな…っ!僕だって戦えるんだよッ!!───3人とも眼を閉じろ!!」


そんな時、ソルがそう叫びながら空に向かって四角い物体を数個投げる。

それは空中で反射し続けている光線に触れると、とても眼を開けていられない程の光を放った。


「エネルギー満タン!!ぶちかませッッ!!」


ソルは先程アキラへと捕縛ネットを発射した片手銃に何かを入れると、そう叫びトリガーに押し込む。


「ッッ!!?消せな─────!!」


ソルがトリガーを押し込んだ瞬間、銃口から凄まじい熱量を帯びた光線を放つ。以前ソルが作っていたレールガンとはまた違った光を帯びている。

その光線はアキラの能力によって消される事は無く、突然の攻撃に対応する時間を与えず直撃し、アキラは地面に体を何度もぶつけて吹き飛ばされた。


「イテェ…ッ…!────クソゴミがあああああああ!!!!」


思わず眼を反らしてしまいたくなる程、皮膚がえぐれているアキラは、その視線だけでも殺せてしまいそうな眼光でソルを睨み付け叫ぶ。


「…僕の知ってるアキラなら、僕が銃を出した時点で警戒し、対処していた。言動もそうだがお前、小物臭いぞ」


「わーお……我が弟ながらハッキリ言うなぁ…」


そんなアキラへと向けたソルの一言がアキラの表情を更に歪ませる。視認出来てしまいそうな程黒い感情がひしひしと伝わってくる……


「どういうつもり?ソル。あれじゃあアキラを怒らせるだけよ」


「いいんだよ、それで。アイツを見てて分かった。キレたアイツが次に取る行動がな」


小さな声でローザがそうソルへと訪ねると、同じく小さな声で返したソル。

成る程、そういう事か。ならその次に起こすアキラの行動を捌くのはボクの仕事だ。


「ぶち殺す…!!クソモブ野郎が調子に乗るなァァァァァアアアアッッ!!」


「───今っ…!!」


アキラが動き出すと同時にボクも同じく動き出す。背中に生えた黒い翼を使った低空飛行で急速接近してくるアキラの腹を狙う。

チャンスは1度きり。必ず成功させる…!


「[流氷(りゅうひょう)]っ…!!」


アキラの手を避けて、剣の腹部分を使って重い1撃を入れる。真っ二つに切るのではなく、内部破壊を目的とした1撃をアキラの腹へと入れた。


「効かねぇよカスがァッ!!─────ッ!?!?」


ボクの髪を掴んだアキラ。今のでも効かないのかと、次にアキラが取る行動が頭に過った瞬間、アキラは地面に膝をついた。その隙にボクはアキラの手を振りほどき、素早く距離を取って構えた。









「わた、しのアキラ……じゃないっ…!!────消え、ろ…!!紛い物!!」


聞き覚えのあるレヴィアタンの声が聞こえた瞬間、アキラがいる場所に渦のように激しくうねる水流が天より放たれる。

すぐに攻撃元へと視線を向ければ、そこには巨大な蛇龍が身が凍るような視線で此方を見ていた。


「どういう……つもりだ…ッ!!レヴィアタン!!」


「黙、れ…!!わた、しのアキラを返せ……返せぇぇぇぇ!!!!」


レヴィアタンの悲痛なる叫びがルミナス周辺に響き渡ると同時に、空から黒い雨が降り注ぐ。それらは地面に落ちる前に、一塊となって巨大な竜巻のような渦へと変わった。

その先にいたのはアキラだった。災害のようなその渦を目の前に、アキラは何の抵抗も許されずにその渦へと呑み込まれた。


「悪魔達の意識が戻った…?───っ…!アキラが…!」


空中でそれは蛇の如くうねり続けた竜巻は、やがてルミナスより少し離れた森林へと向かい、分散した。

本当に悪魔の意識が戻ったのか確認の為に、レヴィアタンではないもう1匹の悪魔を見ると、山積みとなった騎士達の上で寛いでいる紅い髪の女。その紅い女を警戒しつつ、ボクはアキラが飛ばされた森林へと走り向かった。

小物臭いし餓鬼臭い。やっぱアキラの中にいる奴なんてそんなもんですよね。正直拍子抜けって感じですね。

まあ偽者とはいえ、アキラがボコボコにされてるのは気持ちいいですが。

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