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212話:レヴィちゃん

「───って事だから、君も気を付けた方がいい」


「…どうもありがとうございます」


【精霊国シルフィール】へと向かう為に、情報集めに立ち寄った小さな街。そこでシルフィールへの道を聞くついでに、テンドウ・アキラについて聞いてみた。

大量殺人、強盗に強姦、脅迫に街の破壊等々……聞けばある事無い事好き放題に噂が飛び交っている。時の人って感じなのに凄いやな感じだ。


『ひでぇな……これじゃあ完全に犯罪者じゃねぇか。大体街の破壊って…やったの俺じゃねぇし!』



あの時は聖道協会がやったものであり、大量殺人だって向こうから仕掛けてきたから殺したまで。それを犯罪だと言うのなら、俺は太刀打ち出来んが……


──どう、する…の?


『んー…イメージ回復もやろう、今後の為にも』


そもそも困っている人がいたら助けるのが俺のモットーだ、丁度いい。

だがイメージ回復をするまでが厄介だ。こんな時、模倣のヒールで顔を変えられたら便利なんだけどな。








「ふぅ……疲れた」


シルフィールへの情報を手に入れた俺は、少ないお金で地図を買い、北へと目指していた。道中魔物に遭遇したりするので、お金の為にも素材を狩り取っていた。


「んーと?ここがこの渓谷だから……あっちか」


【精霊国シルフィール】は人間と共存しているようで、列車が通っているのだが、俺は不本意ながら罪人の立場。列車が通っている国は検問が厳しいので、とてもじゃないが列車には乗れない。


「なんか段々寒くなってきたな……」


くしゃみが出る程冷えた風が吹いている。分かりやすく北に来てるなぁー、と実感する。


「……それにしてもナンモ起こんないな」


突然の襲撃や、危険指定魔物との遭遇!とかね?そういうのが無い。平和すぎて怖い程に何も起こらない。強いていうなら、出会った魔物に何故かぶちギレられてる事くらいだ。おかしいなぁ…?こっちには物語に欠かせないであろうレヴィアタン先生がついてるんだが……


「天使も仕掛けて来ないし、必ず追い付くと言ってたメランコリーも来ない。意味ありげに殺して、物語に介入しようと企んでたコウキも仕掛けて来ない、か……ちぇっ、つまんねぇの」


これでも伏線紛いな事は残してきたつもりだったし、首はかなり突っ込んだ方だと思う。にも拘わらずなんも起きない現状、暇で仕方ない。


「天使や悪魔達はどこ行ったのさっ!!この地図も曖昧な書き方でわかんねぇしよぉ…!」


飛行魔法や空を飛ぶ魔物がいるんだから地図を正確に書くのは容易いだろうに…!異世界、俺はお前を許さんぞ!後次いでにリコスもだ!


──────────


「おいそこのお前!お前今は話題になってるテンドウ・アキ────ぐはっ…!」


「チッ……ここもダメか」


結局あの後は何も起こらず、日が落ちてきたので適当な街で宿を取ろうと思った矢先、重厚な装備の騎士に止められるっていうね。鎧ごと腹パンするのかなり痛いからキツいわ、気絶させんの。


「お面……すっかなぁ…」


狐面を装着して、俺は街を歩く。まだそこまで遅い時間では無い為、まだ街には活気があっていい。オレンジ色の光が綺麗に光っている。


「今日の飯はここにすっかな。レヴィアタンも何かを食べるだろ?魔物の素材が結構いい値段で売れたからいい物食おうぜ?」


──う、ん…食べ、る…!


「おっしゃ」


…おっと、レヴィアタンの声は他人には聞こえないから独り言の激しい奴だと思われてしまったな。周りの視線が痛い。

それは兎も角、お店に入店。やっぱ異世界の食事処は造りが決められているのか、やっぱり【ダンまち】みたいな造りになっている。おもろい。



「おい、しい…!」


「やっぱ旨いもん食ってる時って幸せだよな」


メランコリーの奴はスカしてて食わなかったが、やっぱり美味しそうに食べてくれるのっていいよね。またご馳走したくなる。


「レヴィアタン……って呼ぶの少し長いよな。あっ、短くしてレヴィとかどう?」


「なん、でもいい…よ、アキラ…に、呼ばれるなら」


「んじゃ決まりね!改めてよろしく、レヴィ!」


少し口角を上げてコクりと頷いたレヴィ。初めて人間体を見た時から思ってたが、ちゃんと髪の毛を整えれば絶対美人だよな、レヴィって。


「……うん、明日レヴィの服買いに行こう!折角の美貌が勿体無いよっ!」


「…?別に、わた…しはこのまま、で……いいけど…アキラ、がそう…言うなら…っ」


アッ……(急死)

何その可愛らしいモジモジした反応は!?オイオイオイ、死ぬわ(アイツ)。旧リンガス王国で対峙した時の威厳はどうした!?




「んだとテメェ!!」


「なんだよヤンのかコラァッ!!」


レヴィの突然の可愛さムーブに混乱していた俺だったが、恒例行事の喧嘩が始まった事でいつも通りの俺に戻れた。


『始まりましたねぇ!ここで俺に絡んできて欲しいな!!』


……と言っても、飲みの席での喧嘩は別に珍しくもない。そもそもこちらから干渉しなければ喧嘩を吹っ掛けられる事はまず無い。つまり何も起こらないという訳だ。

行動を起こさないとね?


「コラコラ、ここは喧嘩する所じゃないぞ。やるなら外に行きなさい」


「なんだテメェ!!邪魔すんじゃねぇよ!!───イテテテテ!!」


「はいはーい、外行きましょうね。ジャッジは俺がしてやるからさ」


当然喧嘩を止めます。

本来なら、ここで2人をボコボコにした方が主人公らしいんだが、それはねぇ…?お店側に悪い。これでも社会人として生きてきた俺は、こういう所にはちょっと気にするタイプだ。てか殆どの日本人はそうだろうけど。



「ほら、続きどうぞ。俺が見ててやるから、両方とも頑張れよ!」


力を示すのは酔っ払いの拳を受け取れるシーンだけで終わってる。ここからは異世界モノじゃまず公開されないような酔っ払い同士の喧嘩だ。個人的に見てて面白いよ。


2人は俺を『なんだコイツ…』という視線を送っているが、力の差を分かっているのか襲っては来ない。そして仕切り直しと言わんばかりに両者罵声と共に声を荒げていく。


「合意と見てよろしいですね!?酔っ払い~、ファイトォ~ッ!!」


謎の掛け声と共に幕開けした酔っ払いファイト。実に人間らしい取っ組み合いを、俺は真剣な眼差しで両者応援しつつ、両者をジャッジした。




レヴィアタンは絶対巨乳!!(迫真)


メタい事を勝手に言うアキラ君は嫌いです。たまに第4の壁も越えようとするから、いつも書いててヒヤヒヤしてます。

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