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205話:嘘つき

体調が良くなるまでは、2日に1回のペースを守りたいと考えてます。ただでさえ文力の無い私が、投稿まで遅れると良い所が何一つ残りませんが、どうか暖かい目で見守って頂ければ幸いです。

「完全に想定外だ…クソ…!ここは撤退だ!!」


同じ役職のラディウスとは違い、メルムには蘇生魔法を扱うことが出来ない。メルム自身の売りはその圧倒的な速度で放たれる魔法と、相手の行動を読む読心能力。そして天使から授かった“嫉妬“へのアンチ能力。

だがアンチする筈の“嫉妬“に自身の能力を消されたメルムは、瞬時に撤退を選んだ。



「逃がす、訳無い…!」


「────ッ!!あがぁぁぁぁぁッッ!!?」


だが身も凍るような憎悪の全てを向けられたメルムは、レヴィアタンの前から逃げる事など出来ず、左足を黒い水の刃によって切断されてしまう。


「こんな……筈じゃ…!!ちくしょう…ッ!!ナメるな!!」


純白の羽のオーラを帯びた光の刃。それを上空で見下すようにメルムを見ているレヴィアタンへと放つ。

どうやらこの魔法は消せないようで、一瞬表情を変えたレヴィアタン。そしてレヴィアタンの体に光の刃が直撃し、煙が上がる。



「神聖、魔法か………人間にしては中々、だと思うよ………これが天使、の一撃だったら…不味かった……」


「まさかッ…!!天使の力を宿した神聖魔法だぞ…!!?」


煙が晴れるとそこには傷1つ負っていないレヴィアタンの姿があった。万全の状態では無いとはいえ、掠り傷1つ与えられていない事に驚きを隠せないメルムは、歯を噛み締めながら地上に向けてもう1度神聖魔法は放つ。


「煙幕、代わり…?」


ただの水魔法ではレヴィアタンによって消されてしまうと判断したメルムは、唯一消される事が無い神聖魔法を敢えて煙幕の代わりに使用。

そしてメルムの思惑通り僅かな時間ではあるものの、レヴィアタンから隙を奪う事に成功した。


──今回は撤退を選びますが、“嫉妬“の悪魔、そしてテンドウ・アキラ…!貴方達は必ず!俺が討伐してみせます…!


煙幕が晴れると同時に、メルム一行はその姿を消すと同時に、中央広場にそう言葉を残した。


「アキラ……」


先程の憎悪を塗り固めた表情とは裏腹に、メルムの残した言葉などまるで眼中に無い顔をして瀕死状態のアキラへと近付くレヴィアタン。


「酷い、傷………この傷、で…生きている、なんて……流石わた、しの契約者…」


クスりと小さく笑ったレヴィアタンは、全身が黒く焦げているアキラの頬を撫でる。炭のように黒く焦げている皮膚がザラザラとしているのを感じ、レヴィアタンはまた微笑む。


『“怠惰“の気配、を感じる……わた、しのアキラに…余計な事、を…』


自分以外の悪魔の気配を帯びたアキラ。それを触れた事で感じ取ったレヴィアタンは、ベルフェゴールへと強い殺意を向けた後、小さく息を吐く。


「1つ、になれば……傷は治る……でも、ここじゃあ、不味い……よね?」


ヒョイとアキラを軽々とお姫様抱っこ体制で持ち上げたレヴィアタン。細身のどこにそんな力があるのか、アキラに意識があったのならば、間違いなく突っ込んでいただろう。


────────────


「あ~あ、連れていかれちゃったぁ。おっしぃな~、後少しここに来るのが早ければアキラを助けに来た者は僕になる筈だったってのにぃ~」


レヴィアタンがアキラを抱え、どこかへと飛んで行った姿を確認した後、はぁ~っと大きな溜め息を吐いた黒尽くめの男。それはこの状況を作り出した本人、メランコリーだった。


「折角聖道協会にアキラの居場所を教えてやったってのに……やっぱ枢機卿って言っても人間レベルって所かなっ?つっかえないなぁ~…」


それもこれも、ここに来るまでの道中に襲い掛かってきた天使達のせいだ。あの“勤勉“の邪魔さえ入らなければもう少し早く到着出来たと言うのに。


「お陰で“勤勉“から痛い傷貰っちゃったしぃ~……そんでアキラの信頼も得られない。あーあ、やっぱ無駄だったなー」


自分が動けばいつも無駄になってしまう。それが嫌だから何もしないってのに。

どうやら自分はよっぽどアキラに入れ込んでいるようで、つい笑みを浮かべてしまう。


「まぁチャンスはいくらでもある、よねっ?アキラは僕を絶対に拒まない。それなら何回だってチャレンジ出来る……あはは!」


無邪気に笑ったメランコリーは、屋根の上から飛び降りて中央広場に遅れてやって来たコルップ兵士達への近付いた。


「む…?おお、君はあの青年と一緒にいた………えっと、なんて名前だったかな?」


「名前ぇ?そんなのどうでもいいじゃん?それより……この有り様の原因、知りたくないかな~♪」


「…!詳しく聞いていいかな?」


アキラと聖道協会の戦闘によって酷く荒れている中央広場。だが残念ながら、遅れて到着したコルップの兵士達には何故こうなったのかは知らない。情報では突如爆発したとの事だったが、、


「気になるよねぇ?こんなひっどい事したのはね?テンドウ・アキラって奴の仕業なんだよぉ…!」


「何…?テンドウ・アキラってあの最近悪魔と契約したと言われている人類の裏切り者の事か?」


「あははっ!そうそう!ソイツだよ。しかも砂漠の死蠍(デザート・スコルピー)を倒し、毒を消したあの黒ローブの男なんだから驚きだよねぇ~、僕も騙されてたみたいでねぇ~……知ったのはついさっきなんだよぉ……」


ザワザワとしだすコルップの兵士達。兵士達はまさかそんな…!と疑念の声を上げて戸惑っている。こうなれば後は一押しだ。


「───“テンドウ・アキラがこの場を荒らした犯人“……いいね?」


「………はい」


余計な事を考えてしまう前に、自身の力で思考を停止させ、僕の言う事を信じてもらう。

どうやら上手く行ったようだ。こうなればもう僕のする事は無い。後は人間達が勝手に話を大きくしてくれる。奴らはそういう生き物なのは昔から知っている。



「フフフッ、ゆっくりと着実にアキラの居場所を奪おう。迫害され、存在自体が悪だと周囲から叩かれる…!そうすれば彼は絶望し、差し出した僕の手を救いの手だと認知して掴んでくれる…!ああ、楽しみだなぁ…!!」


フードの下に隠した笑み。それはまるで純粋無垢な子供ように、狡猾な犯罪者のように、どちらとも形容しがたい笑みを浮かべ、メランコリーはこの場を後にした。

この辺で物語の半分(詐欺)

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