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202話:情報収集

「まさか職質されるとは……この国の警備はしっかりしてる…」


職質から解放された俺は、あまり怪しい格好をするなと注意を受けた為、折角着けていたお面は頭に被せている。まだフードがあるから素顔は見えないが、その怪しいお面のせいで注目はそこそこ浴びている。


「この辺で魔物が出る区域は知らないし、折角狩るならギルドで依頼を受けた方がいい……ここは無難に情報では探すか」


いくつか知りたい事もある。

まず知りたいのは世界で起きている大きな事件だ。記事になるレベルのイベントは、所謂通過イベントであり、必ず通らなければいけないイベント。それをこなせば、俺の主人公レベルと名声が上がるって訳だ。


「情報屋から買うには懐が心許無いし……ここはケチって主婦さんから情報を盗み聞きしよう」


てな訳で移動を開始。

まず向かうは食べ物を売っている商業地区だ。海外とかでよく見るテントのような物が張ってある場所だ。

その区域を回ったら、次は住宅地区へと向かう。そこではあまり怪しい姿で回れないので、フードを取ってお面を腰に下げて歩く。





「成る程ね、大体分かったかな」


歩き続けて1時間半。欲しかった情報はいくつか掴めたので、休憩がてら紅茶が美味しいと評判のお店に立ち寄った。


まず得られた1つ目の大きな情報。それは北にある要塞都市ストルブリッツと言う大きな国が【厄災の十二使徒】獅子宮のレオによって崩壊させられたらしい。流石は十二星座でもトップクラスだ、その被害は恐ろしい。

そして2つ目に得られた情報が、西南の方角にあるアルパパル森林共和国にて、“憤怒“と“慈悲“がぶつかったらしいという不確かな情報。


「そして気になのが3つ目だな」


最後に得られた情報。

それは光と闇、2つの聖剣と邪剣を扱う英雄・ベリタス・ブレイブが“強欲“に破れたという情報だった。


ベリタスは剣闘大会にて優勝(ソードマスター)した人物であり、いつの間にか聖剣と邪剣を扱えているのに驚くが、問題はそこじゃない。


「まさかアイツ(強欲)が主人公補正に勝てるとは……これはあまり穏やかな案件じゃないぞ…」


俺の勘が正しければ、アイツも恐らく転生者、又は転移者だ。あの男は異世界の物語に必ずと言っていい程にお馴染みの敵役転生者。本来なら、ベリタスのような正規の主人公には負ける運命にある。それなのに勝者は予想外の“強欲“だった。


『つまりあの男は物語のボス位置にいるって事なのか…?』


噂程度の情報の為、どこで戦ったのか、ベリタスは生きているのか、そもそもこの話は本当なのか……考えれば色々出てくるのだが、俺はこの話が本当だと思っている。確証は無い。ただの勘ではあるのだが……


「単なる噂であって欲しい……主人公以下の俺が漸く主人公勢を倒すと息巻いてた時にこの情報は堪えるわ…」


それにしてもメランコリーの奴は何をしているんだろうか。用事があるとか何とか言っていたが、また変な事をしでかすんじゃないか心配だな。


────────────


「おいメランコリー、ここ最近どこをほっつき歩いてたんだ?」


「あ~ごめんごめん♪そんな怒らないでよコルぅ~」


「チッ…!馴れ馴れしく触れるな!!」


ヘラヘラと笑いながらコルから離れたメランコリー。そんな彼を忌々しそうに睨み付けるコル。


「どこに行っていた?お前が何も話さずいなくなる事は今までに無かった。何故あの日突然飛び出していった」


「ん~とねぇ~、僕が目に掛けている最有力の駒が殺されそうになってねぇ~。助ける序でに考えてたんだぁ♪───彼をどうやって絶望させるか、ね…♪」


「ッ……」


それはまるで恋をする乙女のように熱の籠った瞳。だがその瞳はどこまでも深く歪む黒緑の光。その悪意の塊のような笑みに、コルは本能的に禍雨(まがさめ)レイニングネブラへと手を掛けた。


「…お前がそこまで入れ込むとはな」


「あっはは!何言ってんのぉ~?君も知っている人物じゃあないか♪」


「何…?」


「ほらっ!アキラだよア・キ・ラっ!君の妹ちゃんの弟子の♪」


「…!」


メランコリーが語ったのは意外な人物だった。あの才能も無く、ミルに守られていた非力な男が?理解が出来ない、メランコリーがあそこまで入れ込む程の力量も才能もまるで感じない男に何故……


「あはははははッ!!何故って顔だねぇ?彼はスゴいよ~?あそこまで深い欲望は見たことがない!!僕も今まで生きてきて長いけど、あんな特殊な人間始めてみたよ。きっと僕の日頃の行いがいいから、神様が僕に与えてくださったんだよぉ~っ♪」


「どの口が言ってるんだ?俺はまだルミナスをカルネージに襲わせた事を許していないぞ、メランコリー…!」


「怖ぁ~い♪」


最大級の殺意の籠った瞳をメランコリーへと向けたコルだったが、そんな殺意も気にならないと言わんばかりにニタニタと腹立たしい笑みを浮かべるメランコリー。


「……チッ」


これ以上メランコリー相手に剣を向けていても、奴が喜ぶだけだと判断したコルは鞘へとレイニングネブラを納めた。


「あっは♪どうしたら彼は絶望してくれるんだろう…!?あの余裕と自信に溢れた顔ッ!!それが一瞬にして全てを失った表情へと変わる!あぁ~…!早く全てを諦めて、僕のだけの駒になっておくれよぉ~…!」


「付き合ってられないな」


興奮気味にベラベラと語りだしたメランコリーへと背を向けて、コルは扉を開けて出ていってしまった。

彼には越えなければならない者がいる。それは他でもない血の繋がった実の妹であるミルだ。コルはミルを越える為に今日も1人、厳しい稽古をする為“魔境“へと向かう。


「待っていろ、ミル…!お前はこの俺が倒す…!絶対に…!」


強く握り締めた拳。そして強い意志が籠ったその瞳で、“魔境“へと繋がる黒い穴へとコルは消えていった。

久々の登場、コル・クリークスと、ベリタス君。ベリタス君はいつの間にか聖剣と邪剣の二刀流が出来るようになってるよ!

キリトかな~やっぱw(言いたいだけ)

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