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201話:流れが俺に向いてくれない

「本当にどうもありがとう!お陰で助かったよ!これ、少ないけど受け取ってくれ!」


治療所にて、毒に苦しむ人の毒を全て消した後、隊長らしき兵士の方がお金の入った袋を手渡してきた。


「いえ、俺はただ消しただけです。お金はいりませんよ」


まずは謙虚に行こうじゃないか。ガツガツしてたら、現在今行っている主人公ムーブが全て台無しになる。

しかし俺がこう言っても、向こうは必ずお金を渡してくる。いやぁ~参ったなぁ!w


「そうかい…?いや参ったな、こんな謙虚な方がいるとは…」


そうだろうそうだろう!

さっ!お金をくれ!(貧欲)


「このまま受け取って貰わない訳には……あっ!そうだ、君のその思いを無駄にしたい為にも、このお金は恵まれ子に寄付をしよう!」


「……え?」


「くっ…!くくくっ!!良かったねぇ~アキラ、これで子供達も少しはマシなご飯が食べられる。ぷっ…!w」


え、えっ?………え??

あれ…これって、この展開って……


『…選択肢ミスったかも…』


どうしよう、取り消せないくらい兵士達が盛り上がっている。流石だ、謙虚な方だ、そんな声が聞こえる事はホントに嬉しい事なんだが……ぶっちゃけお金は欲しかった、今後のイベントでバカみたいな額の買い物をする為にも(自分の屋敷など)


『でもまあ……一応名声的なのは手にいれたからからいい……のか?』


この国は小国。言い方は悪いが、あまり発言力などは無いだろう。それに俺とメランコリーが行った事は、国を襲った龍を討伐した!とかではない。ただ大量発生した蠍を駆除しただけ。


『駆除と言えば駆除人を思い出すが、虫とか倒してて経験値って貰えんのかな?……無いか、この世界はレベル制じゃないしな』


そんな事を考えつつ、俺は乾いた笑みを上げて謙虚な青年を演じた。当然俺は謙虚でもないし、青年でもないんだけどね。


─────────────


「いやぁ~!今日は本当に楽しい日だぁ!そうは思わないかい?アwキwラw君ww」


「うるせぇなぁ!!お前いつまで笑ってんだよ!!ヘラヘラしてんじゃねぇも!」


「いやいやいや、それ君が言うのぉ?人前だとヘラヘラしてるのはむしろ君じゃあないかな?」


「うっ……」


そ、それは主人公特有のヘラヘラ顔の癖が染み付いているせいで…!べ、別に自分の意思なんかじゃないぞ!!勝手になっちゃうだけだ!!


……はい、それは置いておきましょうか。

え~現在俺とメランコリーはこの国にある食事処で絶賛食事中。蠍の討伐金や、治療代は(半ば勝手に)寄付されてしまったので、当然自腹だ。


「お前は食わないのか?俺持ちだから金なら気にしなくていいぞ?」


「あ~……僕あまり人間の食事はしないんだよねぇ。食べるなら───いや、何でもないよ♪」


「……そうかよ」


食べるなら人間ってか?ぶっちゃけ悪魔が何を食ってるかは知らないが、大方人間なんだろう。たまにメランコリーはフラっと消える事がある。その時にでも狩ってるんだろう。


「ところでアキラ、この後の目的はどうするんだい?」


「あー…そうだな、特に考えて無かったわ」


武器屋にでも寄ろうと考えていたのだが、俺は[黒水(こくすい)]であらゆる武器を生成可能。水を扱ういい訓練になるし、血を出せば黒水以上に錬成した武器を作れる。

煙幕とか薬草、毒消し草などがそれぞれ30個程欲しいとは思うが、俺には異空間収納庫は無い。つまり手持ちって訳だ。あまり持ち物を増やすのは得策じゃない。もっとも、ダンまちのサポーターのような後衛職なら話は別だが。


「ギルドの再登録も出来たしな、特にやる事が無いんだよ」


「ふぅ~ん?」


テーブルに肘をていて、手に顎を乗せて上目遣い気味に俺を見るメランコリー。だがメランコリー、残念ながらフードが邪魔で何も見えないぞ。後お前男だから何の需要も無い。まあ男の娘なら勿論話は180度変わるんだけど。







「ちょっと僕は用事があるから、一旦離れるねぇ。どこに行ってもいいよ、必ず追い付くから!あはは!」


「怖ぇよ!」


食事も済ませた俺は、店から出ると突然そう言い出したメランコリー。そんな思わせ振りな言葉を言って、彼は小さく手を振りながら路地裏へと消えていった。アイツ路地裏好きだな。


「何か1人の時間が出来たな」


久しぶりな気がする。アイツがいては心が休まらないし、久々に羽を伸ばすとしよう。


『って言ってもやる事なんか全然無いんだけどな。せいぜい魔物狩りくらいか?でもそれならギルドを通した方が儲けも良いしなぁ……』


今さっき食ったご飯も、お金が掛かる。お金はいくらあってもいいが、無いのは激しく困る。ここはやはりギルドを通してパパっと依頼を受けるべきか……

だがそれが原因で通報されたらホント笑えない。それどころか、さっき手にいれた名声も地に落ちる。なんの良い事も無い。


「あれ?これって……」


プラプラ適当に歩いている内に、大きな露店会場へとやって来ていた。ちょうどそこで見付けたのがとあるお面だった。


「おっ!兄ちゃんお目が高い!そいつは東洋から流れてきた珍しい面さぁ!面白い形だろ?どうだい、買ってかねぇか?」


それは日本の縁日とかで見掛ける狐のお面だった。日本生まれ、日本育ちの俺にとってはなんら珍しくはないのだが、、


「ん~、そうだなぁ。まっ、いいか!記念に買ってくよ、いくら?」


「まいどあり!丁度大銀貨1枚でいい!」


5000円……日本なら700円くらいで買えるんだが…まあ縁日のはプラスチックだしな、ちゃんとしたお面は高いんだろう、多分。


「はい装着っと。呪いの装備とかって展開は無いかな!?俺は999個までなら呪いの装備が付けられる!って展開は!?」


……無かった。

普通のお面だよ、呪いでも何でもない。異世界なら珍しいお面ってだけだ。


「べ、別に期待してた訳じゃないさ。あはははは……そ、そう!この白と黒が模様カッコいいからさぁ!?」


陰陽って言うんだって?この模様。日本で売られてる狐の面は白か黒が多い気がするから、ある意味珍しい。

そんな誤魔化しは捨て置き、このお面を買ったには色々理由があって、ただの衝動買いではない。なら何故買ったか、それは姿を隠して戦う時の為だ。異世スマやデスマでもあったやつ、あれが俺の時に来た時の為に買ったのだ。


『そしてこのお面があれば、俺の顔はバレない!フードとのダブルコンボで最強だな!』


自信満々。我が物顔で道を歩いている時だった……



「あー君、ちょっといいかな?」


「えっ?」


黒フード&謎のお面。厨二要素を盛り込んだ格好に舞い上がっていた俺は忘れていた。

この格好は、端から見たら完璧不審者である事に、、



天道明星、18歳(30歳)無事職質を受ける事となりました。



当たり前だよなぁ?

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