200話:大群の虫はキモい
ダラダラ書いてたら200話行っちゃったよ……どうすんだよ、これ…
それは置いといて、ブックマークが120突破しました!アクセスも12万いってて、正直驚いてます。
何やら国が賑わっている。それはお祭りなどではなく、イレギュラーらしい。お決まりの魔物襲撃ってやつだな。
「砂漠の死蠍、か。メランコリー、お前は何か知ってるか?」
「いいやぁ?興味の無い事は忘れてしまう質でね、中格レベルの魔物なんて興味は無いよ~♪」
あの高い壁と兵士達を越える程の強さをもつ魔物が中格レベルか。まあメランコリーを始めとした大罪悪魔達にはそんなもんだよな。
「俺は今からそのなんちゃら蠍を倒しに行ってくる。お前はその辺でプラプラしてれば?」
「ん~、普段ならそうするんだけど……今日は君がいるから僕も行くとしようかねぇ~♪なんなら手を貸そうか?」
「必要ない。今回は大罪の能力を使わないで戦うから、メランコリーの助力もいらない」
「あっそう?なら僕は屋根の上から見学させてもらお~っと♪」
縛りプレイと言う名のを舐めプはお約束。当然俺もその道を通る。
てかメランコリーの奴…今どうやって浮かんだんだ?羽も生やさず上に上がってったが……少し感じた微風が何か関係が───あるわけ無いか。
「さあ~て、どんな怪…ぶつ…………」
思考が停止する。
砂漠の死蠍。皆はこの名前を聞いたらどう思う?毒が強いのかな?とか思うじゃん?そんで異世界だし、兵士達を越えた怪物。普通はそう思うよね。でも今俺の前にいるのは、、
「く、来るな…!!」
30cm程の微妙に大きな山吹色の蠍。それも100を軽く越える大群だ。ヤバい、とても気持ち悪い。
てっきり俺は巨体の単体タイプの魔物だと思っていた。が、予想を裏切るビジュアルと大きさ、そしてその数。ヤバい、鳥肌が止まらない…っ!
「リアルな虫は嫌だぁぁぁぁ!!!!」
俺は縛りプレイを完全に無視した、[黒水]を使用した水の壁を張る。
初期の頃に出会ったバカデカイ蜂の魔物も怖いが、現実的なサイズ感の大群はそれ以上にとても怖い。
「キモいキモいキモい!!こっち来んなし!!?」
水の壁だろうが突っ込んでくる蠍達。この黒水は毒性がある筈だが……まさか蠍も毒があるから平気理論とか無いよな…?
そんな考えが当たったかのように、蠍達は黒水の壁を突破。そして両腕に付いているハサミ部分から緑色の液体を噴射する。
「ッ!!?このっ…!飛ばすのは狡いだろうが!!」
そう叫びながら、アキラは必死になって回避しつつ黒水の槍を飛ばす。混乱しているからか、自分で言ったそばから黒水の槍を飛ばすという事をしでかす。そんなパニック状態のアキラを、メランコリーは屋根の上から爆笑しながら見学してきた。
「アキラ君~♪助けよっかぁ?www」
「~~~っ!ああ!もう助けてくれ!!」
殺しても殺しても、後続からどんどん現れる砂漠の死蠍。虫特有の仲間が殺されても気にしないアレだ、じり貧過ぎる。せめて火の魔法でも使えれば結果は変わったかもしれないが……
「あ~笑った笑ったっ♪笑わせてくれたお礼はしようかなぁ?あははははは!」
珍しくニヤついた顔ではなく、純粋な笑みを浮かべているメランコリーは、その笑い声を響かせながら砂漠の死蠍へと一振りする。
すると石畳を埋め尽くす程に溢れ返っていた蠍達は、突如動きを止める。
「またこの現象……ホントに何をやってるんだ…?お前は…」
「別にぃ?ただ生きる事を面倒に感じさせただけさ♪」
「それがお前の能力なのか?」
「さぁ?まだまだ隠してる力があるかもよぉ~?」
掴み所の無い奴だ。その表情や仕草、それら全部が嘘に見えてしまうのだから。
それにしてもメランコリーの能力は相手の生きる気力を奪う……って所か?それはもはや“怠惰“の力なのか怪しいが、俺の[嫉妬罪]だって相手の能力を消す力だ。あまり大罪は関係無いのかもしれない、アスモデウスの力も幻影とプラズマだったし。
「そう考えれば妥当……なのか?」
「まぁ~たブツブツ独り言出てるゾっ?そんなんじゃ嫌われちゃうよぉ~♪」
「うっせ。無駄に長い独り言はお約束なんだよ。それにこれはガキの頃からの癖がまだ残ってるだけだ、無視してくれて構わないよ」
主人公の真似をして行ってきた独り言。だがそれはあまりウケがよくなくて、1度はやめようとしたのだが……こうしてたまに声に出てしまう時がある。直したい、この癖。
「メランコリーのお陰で無事に全滅させる事が出来たが……やっぱ俺は活躍出来ない運命なのかな…」
モブとネームドキャラ。その2人がイベント発生時にいたら、当然ネームドキャラに軍配が上がる。こうなるのは物語の筋書き通りって訳だが……俺はいつかその筋書きをぶち壊す。そうしなければ主人公になれないってんならやってやる。
『努力する事だけが俺の取り柄みたいなもんだ。今まで通り、粘り強く耐えるとしよう』
そう心で呟いて、俺は生きる事を止めてしまった砂漠の死蠍を見つめながら暫く待機していると、読み通り兵士達がやって来るのが見えた。そして状況説明だ。
「この数の砂漠の死蠍をたった2人で倒したと言うのか…!?」
「えと、まあ…………はい」
500の内、18匹ぐらいが俺の倒した数だ。残りは全部メランコリーが瞬殺。だが2人で倒したの嘘じゃない。別に協力した訳じゃないんだがな……
「本当に助かるよ。この砂漠の死蠍は東の方から時折大量にやって来るんだ。その強い毒性で命を脅かすから皆逃げ惑うって訳だよ」
「毒に犯されたばかりの人はいますか?死んでしまった人は無理ですが、毒を受けたばかりの人なら多分俺、治せますよ」
「本当かい!?いや助かるよ、解毒剤はあるとはいえ効き目が遅いからな、毒に苦しむ者の苦しみをすぐに払えるのはありがたい!」
適材適所だ。
火力の無い俺だが、能力を消す事が出来る俺ならではの治療法。活躍出来る場面で活躍しないと俺は本当にモブになってしまうからな。いっつもギリギリのラインを歩いてる、それが俺だ。
そして兵士の方の案内を受けて、俺は国の治療所へと向かう事になった。
中では現代でいうナースが駆け回っており、苦痛の唸り声が響いている。
『しかし……普通疑いそうなもんだが。解毒剤でも治るのが遅いってのに、それを越える治療方法がある奴なんて。よっぽど切羽詰まってるのか?いやでも解毒剤で治る訳だし……うーん…』
異世界七不思議ですね、クォレハ…
それは兎も角、俺は[嫉妬罪]を発動して次々と毒に犯され苦しむ人達を、その苦しみから解放していく。
「凄い……嘘みたいに体が軽い…!」
どうやら成功したようだ。ぶっちゃけ消せるかどうかの確証は無かったのだがまあ……終わりよければ全てよし、だ。
「僕の力で人が笑顔になるって、いいもんだな(冬夜)」
なんだよお前……主人公みたいじゃないか。




