1話:ロリ神と会って転生だってさ
扉を開けられた後、眩い光に包まれ何も無い空間にいた。どこかで見た事…あっ、【このすば】のカズマさんが転生した時の部屋と似てるな。
「来ましたねーっ!待ってましたよ!!」
ふと見れば偉そうな椅子に座る幼い女の子。あぁ…ロリ神か。興味ないね。
「だ~か~ら~!心の声は全部聞こえてますからね!?」
「思考盗聴やめてよね」
これって卑猥な事思ってればあの子に伝わるのか?グヘヘ
「なっ!何考えてるんですっ!?やめてくださいよ!!」
「嘘だよ。君みたいな子供にそんな事しないさ。からかってるだけだよ、今こう見えてスゲェテンション高いんだよ」
「この…っ!…はぁ、まぁいいです。それより転生について説明なのです」
そして始まる異世界転生についての説明。
俺はロリ神に進められみすぼらしい椅子に座るように言われる。別に気にしないけど…気にしないけど悪意を感じる。
「ではでは説明なのです!貴方が行く世界は剣と魔法の世界!魔物も英雄も怪物もいる世界なのですっ!」
「うしゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
椅子から立ち上がり俺は両手を空へと掲げ、ピョンピョンジャンプをして喜ぶ。(30歳男性)
「ふっふっふっ~、しかもなんとっ!1つの転生オプション付きです!」
「イヤフォォォォォ!!」
俺はロリ神が座る椅子の周りをくるくる回りながら盆踊り。
ロリ神から無言でヤバい奴を見る目を向けられるが、俺は負けない。だって俺、頭おかしいもん。
テンションが上がってるのは許して欲しい。だってここまで何年掛かったと思ってる!約20年だぞ?しょうがないって。
「いつも考えてたんですよ!貰う能力を!やっぱ神スマホとか、暴食、全属性魔法とか!」
「は、はぁ…」
異世界でチート魔術師にだってなりたいし、賢者の孫になって魔王って呼ばれたい。まぁ例の2つは境遇が良かったからそうなれたってのもあるが、やはり主人公と言った所だろう。
「貰うなら[略奪]。相手の能力をスティールできる力がいいです!」
「ではそうするのです「オナシャス!!」あ、はい…」
椅子に座り直し、俺は満面の笑みでロリ神を見つめる。やはりヤバい奴からキモい奴を見る目に変わった。そんな視線を向けられるのが解せぬ。
「それじゃ…後は特に無いのです?」
「あっ出来たら体は若い時間が長いのがいいかなって。成熟した時の肉体をじいさんになってもキープしたい!」
「まぁそれくらいならOKですね。後はあるです?」
「いえっ!もう無いです!ありがたやロリ神様…」
「ロリはやめるのです~!うぅ…手のひらクルックルですよ……さっさと行け!!」
プンスカ怒ったロリ神様は椅子をバンッ!と叩くとガチャ!と何かが開く音が聞こえる。
下を見れば黒い穴が…
「あっ、こういう感じィィィィィィ!!?」
「バイバイでーす」
ロリ神に手を振られ、黒い穴へと落ちていく。
この後目を覚ましたら俺は赤子。どんな家に生まれるのだろうか。貴族の八男とか王族?一般家庭?それとも奴隷系?なんにせよ胸が高まる。
『小さい頃から能力は鍛えなくちゃな!』
そして始まる新しい人生。
あばよ現世、フォーエバ~↑
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『うっここは…』
まぶたに感じる太陽の光。肌を優しく撫でるそよ風。
目を閉じていても感じる、ここは…
「異世界だ!!………あれ…?」
体を起こしておもいっきり目を見開くとそこは新しい父と母がいる赤ちゃんベッド、ではなく…
「何で…草原…?」
見晴らしがいい草原。右を見ても左を見ても草原。あっ少し先に森もあるわ。わぁ~凄い自然♡
「ってそうじゃねぇだろ!?は?え、なにこれ」
手を体に当てれば肉付きがしっかりしている体。シックスの腹、極真習いたての頃に負った消えない傷。
「どう見ても俺の体…だよな…?っ!おいっ神ィィィィィィ!!出て来い、ロリ神ィィィィィィィィィィィィ!!!!」
俺の魂の叫びは静かな草原へと響き渡った。
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明星が転生を終え、そよ風を感じている頃、ロリ神は…
「まったく!私をロリ神だなんて失礼なのです!」
彼女はまだプンスカ怒っていた。
どこから取り出したのか、手にはカステラを持っていて、それをバクバク食べていた。
「でもまぁ…初めての転生にしては上手く出来たら方なのです!緊張したけど、上手くいって良かった良かった!」
甘いお菓子を食べて落ち着いたのか、彼女は満足げに頷く。口の回りにはカステラの食べカスが凄い。カスだけに。
は?
「天道明星、か。超変な人だったですねぇ…。そう言えば…ちゃんと転生させられた…よね?」
初めてだからか、つい心配してしまうロリ神。
まぁ大丈夫だろと呟き、彼女は他の甘いお菓子を食べる。
しかし彼女は気付かない。
転生では無く転移をさせてしまった事。
そして…
転生の醍醐味、神からギフトである能力を持たせなかった事。
彼女は知るよしもない。
次から異世界のお話です。