196話:エラー表示
なんで投稿されてないんだ?
「ん…っ………んん…?」
「やぁやぁやぁ、漸くお目覚めかい~?随分と苦しんでいたけど、悪夢でも見ていたのかなぁ?」
「ッッ!?!?」
目が覚めた瞬間に写り混んだメランコリーの姿に体を硬直させ、全身から冷や汗が出る。
ただでさえ逆光でその顔が見えないと言うのに、フードの中で輝く2つの黒緑色の光にゾッとする。
「俺は………」
「悪魔と契約した者特有の症状だよぉ、発現条件は知らないけど、それが現れたって感じだねぇ♪」
そうだ…俺はよく分からない様々な黒い感情に心をグチャグチャにされて……
結局自分で頭を打ち付けて、強制的に気絶に持ち込むしかなかった。こんなのが今後続けば、俺は何をするか分からない。
「あははははは!!そんな気落ちしないでくれよなぁ?それでも症状は極めて軽症、本来ならあり得ないくらいに、ね…♪」
「軽症……あれで軽症なのか」
「まあ君はちょっと特殊だからねぇ~♪他の人間とは症状自体が違うんだ~け~ど~!まっ、細かい事はいいじゃん~♪」
「細かい事って……俺にとってはかなり重要な問題なんだけどな。はぁ…まあいいよ、俺はもう行くけど……お前は?」
「なになになにぃ~?僕も付いていっていいのぉ~?」
「知れた事を……どうせ勝手に付いてくるクセに」
どれだけ拒もうが、コイツは絶対に俺に付いてくる。盗賊を殺した後、逃げるようにここまで飛んできたと言うに見付かったしな。
「んでぇ~?目的地は決まってるのかなぁ?」
「レヴィアタンとの合流は勿論だが……そうだな、奴隷として売られた時に盗られたギルドカードの再発行でもしようかなって考えてる」
今言った事は本当なのだが、隠している事がある。ローザの件だ。彼女にコイツを会わせるのは危険な臭いがする。まだ過ごして短いが、コイツは俺と同じで目的の為なら人を殺すし、非道な事だって平気でやる。故にローザの存在は言えない。
『もっとも……コイツが俺の心を読めるならその時点で詰んでるんだけどな』
そして俺を天使から救った時に、ローザの存在を認知しているのなら、それでも詰み。こればっかりはメランコリー本人にしか分からない。
──────────────
そして定期的な飛行を続ける事約3時間。コウキ達に連れていってもらった町とは違い、そこそこの大きさをもつ町に到着した。
それでもここは今までの国などと比べると田舎の部類なので、残念ながら列車は無い。それでも小さな冒険者ギルドがあるのは助かる。
「あっ、そういえば俺…そんな金無いんだよな…」
レヴィアタンに会う為に持ってきていた資金は、もう残り少ない。このままではランカスター家に戻る事が出来ない。それならそれでいいんだけど、ローザに少し悪い気がするので戻る予定だ。
「その辺の人間を殺せばいいんじゃないのぉ~?」
「バカ、それは本当に金が無い時にやるんだよ」
なんて物騒な事を言うんだろうか。あー怖い怖い、これだから悪魔…!(過激派)
そんなやり取りは兎も角、お金が少し余分に必要なのは確かだ。発行するのは確か、小金貨1枚いる。日本で1万円くらいだ。
『テンプレが通じるなら、宗教に入ってる人にお金を恵んで貰ったり、チンピラから奪うってのがお約束だが……うーん…仕方ないか』
周りを見渡すが、それらしい人がいない。そしてここの町はかなり警備している人が多く、カツアゲ紛いな事はとても出来そうにない。また捕まるのは嫌だ…
てな訳でメランコリーと共に冒険者ギルド内へと入る。以前入った冒険者ギルドとは違い、少し狭い印象を受ける。それでもちゃんと酒場があるのは流石だわ。後でエールってやつ飲もうかな、お約束だし。
「あの、ギルドカードの発行をしたいんですが」
「はいっ!では此方にお名前と、小金貨1枚をお願いしますっ!」
銀っぽい色の髪に、猫耳という要素を持った受付嬢に内心で『おお…』という声が漏れる。
それは兎も角、手早く名前を書いて、料金を支払う。こっちの文字にも大分慣れた。勉強した甲斐があるってもんだ。
「あれっ?テンドウ・アキラ?どっかで聞いた事があるような……うーん?」
「…!あの、早くお願いできませんか?少々急いでまして」
嫌な予感を読み取った俺は、急かすように受付嬢にそう言うと、彼女は『は、はいっ!』と言って駆け足で奥へと入っていった。
急いでる奴が手続きや発行をするな、そんなツッコミは自分でしておこう。
「では此方の魔水晶に手を置いてくださいっ!」
「はい」
異世界のギルドが必ずと言っていい程保持している謎機械。そんな機械の魔水晶に手を当て、暫くすると機械音と共にニュッとカードが出てきた。
「わわっ!凄い魔力数値…!こんなの見たことないですよ!」
「そう…」
俺は本来魔力が低い。高いのは全部ランカスター家の王族の血と、レヴィアタンのお陰。俺の実力なんかじゃない。
「…………」
「あっはは!だいじょ~ぶ、気にしない気にしなぁ~い♪」
また嫌な感情が沸いてきた所で、背後にいたメランコリーが俺の肩を揉みながらそう言った。不思議と黒い感情は収まり、全身に疲労感を感じる。
名前:テンドウ・アキラ
Fランク冒険者
種族:人族
性別:男
魔法:
スキル:[嫉妬罪][皇帝][双子座][黒水]
加護:[治癒の女神・リコスの祝福]
「あ、あれ…?スキル欄がおかしい……何でエラー表示なのんだろう……」
覗き込んできた受付嬢はそんな事を言っているが、しっかり俺には読める。以前奴隷として売られる前にもこんな事があったが……もしや前例が無いスキルや魔法だとエラーが出るのか?
『いやしかし……【なろう】の主人公の能力は大体提示されるし………あ、でもそれは主人公達は常に自分の能力が分かってるから…』
あのゲームみたいな光の画面、それに転生者や転移者のチートが載っている。
考え方が【このすば】基準だったのが失敗だったな、もっと早くに気付けばよかった。
今時アイテム持ち込みタイプは珍しい。何かしらのスキルやら異能、天職にギフト等々……それをどう確認するか、それは光の画面なのだ。
「俺にそれは無いからなぁ……ステータス!プロパティ!…………ほ~らね」
プロパティと叫んでも、魂に刻まれていないから当然何も出ないし思い出せない。
メランコリーのニヤニヤ顔がムカつくので、俺はギルドカードを受け取ってすぐに、冒険者ギルドを後にした。
「ステータスオープン!プロパティ!鑑定!鑑定!!」
ヤケクソ気味にそう叫びながら、、
遅れましたが、今日の文です




