192話:龍帝の警戒
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「それで?アキラ達はどこに行くつもりだったんだい?」
「特には決めてない。宿がある場所ならどこでもいいよ」
これは割りとマジの話しだ。さっさと寝て夜を明かしたい。それとコウキ達といるのがかなり精神的に来るから長時間一緒にいるのはキツイ。
「それなら私達が向かってる場所でいいんじゃないかしら?ねっ、コウキ」
「そうだね。リオクスっていう小さな町なんだけど、そこでいいかな?」
「寝れるならどこでもいいよ。こっちは乗せてもらってる立場だしな」
ホントは別の町が望ましいが、ちょっと眠たくなってきたから早めに休みたい。何かを得るには何かを耐える。今回はハーレムパーティーを楽しんでらっしゃるコウキ君に、耐えるとしよう。……乗せてもらってる身なんだけどね。
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「結構快適だった…」
「当然だ、我は龍帝だぞ?」
町の近くに到着した俺達は、緑色の龍から降りると突然龍が喋りだした。テンプレ。
そして龍の体が光だし、やがてそれは緑色の髪を靡かせた蜥蜴目の幼女となる。テンプレ。
「……驚かないのか?」
「別に…知ってたし…」
「「ッ…!」」
おっと……コウキとセレナの表情が変わったな。つい口が滑ってしまった。言ってなかったのに知ってたら怪しいもんな、俺だってコウキと同じ立場なら怪しく思うし。今のは失敗だった。
「……な~んて!つい知ったかぶりをしちゃったよ!あっはっはっ!……俺もう眠いから宿に向かうな、乗せてってくれてありがとな!」
俺はその場から逃げるように駆け足で去る。最後に振り返り、コウキ達一行に手を振る。その際にコウキとセレナの表情を確認したが……こりやぁヤベえかもな。
「あはははは!あの龍種、僕の気配に気付いてたねぇ」
「やっぱりか…俺も最初に強い眼光で睨まれたからもしやと思ったが……」
「特にアキラ、君に警戒をしていたぜ?なぁ~んか、恨まれるような事したのかなぁ~っ?」
「どう…だろうか。なるべく関わらないようにしていたんだが……───てかお前いつまで付いてくるんだよ」
「まあまあまあ♪気にしない気にしなぁ~い!あはははははッ!!」
笑って愉快にしているが、何か俺に隠すように振る舞っている気がする。相手は“七つの大罪“の悪魔だ、絶対に油断は出来ない。それは勿論レヴィアタンでも同じだ。
『まあコウキについて、こちらから関わらなければ問題は無い筈だ。失敗なのはこちら側に怠惰“のメランコリーがいる事、だな』
物語に必ず関わりがあるであろうメランコリー。コイツがいるから少し心配だが……まあ物語が進めばメランコリーはコウキ側に行くかもしれない。そうなれば俺は自由だ。
そう1人考えながら、隣を歩くメランコリーを全く気にせず宿へと歩いた。
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「……な~んて!つい知ったかぶりをしちゃったよ!あっはっはっ!……俺もう眠いから宿に向かうな、乗せてってくれてありがとな!」
我達の表情から読み取ったのか、自分の発言をすぐに取り消し、逃げるように走り去ってった。途中振り返って愛想よく手を振っていたが、その目線は我とコウキに向けられていた。
『コウキ』
『分かってる……でも彼は絶対に悪い人間じゃない…!それはセレナも分かるだろ…?』
アキラを庇うようにそう言ったコウキ。本当にお人好しだ。だが人を見る目があるのは本当だ。だが……
『……我もあの男は裏があっても善人だと考えていた。が、それは今回で完全に覆った』
『そんな…!?』
『コウキ、お前は何故我が地上のあの者達に火炎を放ったと思っている』
『それは……魔物と見間違えた、とか…?』
本当にこの男ときたら……契約者として心配になるほど愚かだ。
『アキラの隣にいた者、あれは人間ではない。あれは恐らく悪魔だ、上手く隠してはいるが…とてつもない力を秘めている』
『悪魔…?それって確か……リンガス王国に出たっていうあれ?』
『そうだ。そしてお前が庇っているあの男、奴はもう人間ではない』
『…!それは…どういう事だよ』
普段じゃ出さないような震えた声を出したコウキ。理由は分からないが、よほどあのアキラと言う男を信頼しているようだ。
『僅かに漏れているオーラ、あれは完全に魔族の気配だ。そしてそれさえも塗り消してしまう程に漂う悪魔のオーラ……アキラの隣にいた者と同格の強さを感じる』
『っ……』
『用心しろ、コウキ。あの男は何故か我の存在を認知していた。思えば初めて会った時から我に視線が時折向いている事が気掛かりだった』
そう、あの男は初めて会った時からコウキ共に我に視線が向いていた。今でも鮮明に思い出せる……あの嫉妬にまみれた醜い瞳が。
あそこまでの嫉妬を抱けば、コウキに手を掛けてもおかしくない。なのにあの男はコウキに手を出す所か、【厄災の十二使徒】との戦いに協力をした。分からない……長い時間を生きてきた我でも理解が出来ない人種だ。
『アキラ、か…』
お人好しのコウキだけでは心配だ。もしもの時は我があの男を止める。なんとしてもコウキは守らねばならない。そう心に決めたセレナは、アキラが去っていった方角へと顔を向けた後、再度歩き出した。
「お前と同じ部屋は絶対に嫌だッッ!!」
「え~?え~?え~?別にいいじゃんかよぉ~、ここまで旅をしてきたんだしぃ~?」
「いや旅って言うには短すぎるだろうが!大体お前別に寝なくても平気な奴だろ!?」
セレナがアキラに対し、強い警戒心を抱いた同時刻。アキラとメランコリーは宿の受付にて揉めていた。
男同士で同室は地獄過ぎる。ましてやほぼ初対面の他人って新手の拷問だろ、それ。大体なんでコイツはこんなに俺に固執するんだよ…!
そんなアキラの考えとは裏腹に、宿はまさかのメランコリーと同室となってしまう。
宿というものに初めて泊まるメランコリーは部屋をウロチョロとし、アキラは椅子に座って燃え尽きたボクサーのようなポーズ取って、ただただ沈黙していた。
仕事の都合により、明日は投稿出来ないかもです……




