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187話:慢心の穴

ある意味ざまぁ回?

「おいおい、なんでお前がこっちにいるんだよ…!」


「ホッホッ、そう悲しい事を言ってくださるな」


全くのノーマークだったラディウス枢機卿からの奇襲。レヴィアタンの力が宿っていなければ、今頃俺の上半身は無いだろう。

それは雲を突っ切る程に伸びた十字架の光が物語っている。


「貴方は……」


「申し遅れました、私聖道協会にて枢機卿を務めております、名を────!!」


こんな状況にも拘わらず、天使を相手に自己紹介を始めたラディウスに向けて黒い水の槍を飛ばす。


「ホホッ、汚い手を…」


「おまいう」


名乗りの最中で攻撃されないのは特撮の中だけだ。まぁアニメなんかでもよくあるのだが、何故隙を見せているのに攻撃しないのか……令和になっても解き明かされなかった謎だ。


「ラディウス、そう覚えて頂ければ光栄です」


「えっと…味方してくれるって事でいいんだよねっ?」


「勿論で御座います、ウリエル様」


初対面の筈なのに、ウリエルの名前を知っているのか。どうやらラディウスは悪魔だけでなく、天使の事まで調べあげているようだ。


「思惑が少々気になりますが好都合です。ここは力を貸して貰いましょう」


「3対1、か。いいね、うん、興奮してくるよ」


七大天使2名と、聖道協会の枢機卿を相手に立ち回る……実に主人公らしい対決じゃないか。ここを勝ってこその主人公、負けるわけにはいかなくなった。


「やっぱこれだよな!!こうして本気でぶつかり合うのが最ッッ高なんだよ!!」


近接を仕掛けてくるラミエルの攻撃を2本の血剣で捌き、遠距離から光線を飛ばすウリエルの能力を無効にし、建物の屋根から姑息な援護をするラディウスにも[黒水(こくすい)]を飛ばす。


「くっ…!何故ここまでの力が…!?“嫉妬“は分離している筈なのに…!」


「バーカ、なんてったって(ここ)が違うからだよ」


「っ…!ふざけるなっ!!」


激情して猛攻をするラミエル。流石2つ名が付いている天使だけある、立ち捌きが訓練を積んでいる者特有の動きだ。

だがそれ故に、フォームが綺麗過ぎる。そうなってくると、次の動きが粗方読める。


「うぐ…っ…!!」


「うぃ~入った」


右に握っていた剣を上へと投げ捨て、一瞬視線が剣に向いた瞬間に右拳をラミエルの腹へと沈める。


戦い方に型などがあると、相手が予想外の動きされると弱い。俺も昔はそうだった。だから変則的な攻撃を主流にしている。


「っ────!!?」


重い拳が腹に沈んだ瞬間、その一瞬の隙を突いて俺は空中で前宙のように回転し、ラミエルの左肩に踵落としを放つ。


「ラミエルちゃん!?」


地上へと高速で落ちたラミエルへと声を掛けるウリエル。流石は天使、仲間想いだ。

だからその仲間想い故の隙を頂くとしよう。


「んなっ…!?」


屋根の上にいるラディウスへとクロス状の刃を飛ばしつつ、高速でウリエルへと接近。そのまま首目掛けて剣を振るうが、紙一重でそれを回避。


「っっ…!!な、なんで…!?」


「君が避けるんじゃないか、そう考えて仕掛けておいたんだよ」


ウリエルの横腹に突き刺さる黒いトゲ。それはウリエルが今の剣撃を避けた時の為に仕掛けておいたトラップだ。無事範囲内に入ってくれたウリエル。そうなれば後は狙うだけだ。


「海竜に呑まれろ、[海竜渦(リバイアサン)]」


回復なんてさせない。どうせ相手は天使、殺すつもりでやっても問題ないだろう。そう考えて放った渦巻く海竜。だがそれはウリエルに届くあと一歩の所で消されてしまった。屋根の上にいるラディウスの手によって。


「チッ…シラケることすんなよ」


「偉大なるウリエル様にそのような攻撃などさせま───」


得意気な顔をしてそう語っていたラディウスが猛烈に嫌悪した俺は、手に野球ボール程の黒い水の球体を出現させて[疑似神之怒(ぎじメギド)]を放つ。

最後まで言い切る前に、太陽光がラディウスの脳を貫いた。


「なんて惨い事を…!それでも人間ですか!?」


「残念ながら人間ですよ、どこにでもいる普通の人間(モブ)です」




「普通の人間なら、悪魔となんか契約しませんよっ!!」


「復帰はえ~」


下から雷の如く高速で迫ったオレンジ色の光。それは俺の右腕をさらっていってしまった。が、大した問題でもない。


「…っ!再生能力まで…!」


「アキラ君は悪魔の力だけじゃないと言うの…!?」


吸血鬼族(ヴァンパイア)の王族の力がバレかけている。だがそれも問題はない、早急にこの天使達を撤退まで追い込めばいいだけの話だ。


「………………。どうやら向こう側でも異変があったみたいだな。そういう訳で、そろそろ終わりにしようか」


血剣を投げ捨て、右手から黒い水の球体を複数出現させ、空中で留まらせる。

そして左手からは滴り落ちた血を武器に、いくつもの紅い小さな剣を生成する。


「名付けるなら……そう、[血剣の王冠(ブラッディーアーチ)]ってとこか?」


『ま、いいや』そう呟いたアキラ、小さく左手を天使達に向けると、50本の血剣が一直線に突き進む。

空を縦横無尽に飛び交い、回避行動に移るラミエルとウリエルだったが、軌道を変えてどこまでも追尾してくる血剣達。そして、、


「[疑似神之怒]」


遥か上空にある黒い水の球体から伸びた太陽光が、空中にいくつも展開された水球に反射。それは放った本人でさえどこに飛ぶか分からない、無差別の死光線。だが近辺にはアキラの味方はいない。都合が良かった。


「ああっ…!!」


「っ…!ラミエ──うっ…!きゃああああっっ!!」


どこから来るか分からない光線が飛び交う空中で、逃げ場など無いようなものだった。

ラミエルの翼が太陽光に貫かれ、止まった瞬間に胸を貫通する光。

それを横目に見たウリエルが、すぐさま治癒を開始しようとした瞬間に複数の光に翼を貫かれ撃墜。



「俺の勝ち、だな。………………あぁ?」


思わずニヤけ顔が出た瞬間、アキラの前後左右、そして上下を囲う光。それはまるで四角形のように展開された壁だ。


「──!!なっ…!ふざけんじゃねぇぞ!?」


壁を消す為に[嫉妬罪(レヴィアタン)]を使用する瞬間、四方から巨大な光の十字架が展開された。


逃げる。だが壁がある。

消す。無理だ、時間が無い。

ならばあの十字架消す。無理だ、1つを消しても残り3つが消せない。


「やられたッッ…!!」


[嫉妬罪]はアキラの視界内のモノしか消す事が出来ない。四方に展開された十字架を全て消すには、四方に眼がいる。

完全に[嫉妬罪]の穴を突かれた。唇を噛み締めながらそう悔しんだ瞬間、3方向からの光線によってアキラは貫かれた。

アキラがざまぁを受ける。当然だよなぁ?


王冠って丸いじゃないですか?だからアーチ的な…?(8歳脳)

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