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183話:もう1度、1つに

この辺から本編()

「それ、は……“契約“、という事…?」


「まあ…そうなるのか?なーんか、お前からは特別な感じするんだよ」


「変、なの……」


「ふふっ、そうか?」


「う、ん…変」


俺が笑うと、レヴィアタンとつられるようにクスクスと小さく笑う。それは先程までの嘲笑うような笑みではない。


「ちょ、ちょっとアキラ!相手は七つの大罪の悪魔なのよっ!?」


「うん、分かってるよ?」


「分かってるって……信用出来ないわよ!」


うまく行けば、レヴィアタンが言う“契約“とやらが出来たというのに、ローザは反対気味だ。


「大丈夫、コイツは絶対に大丈夫だよ」


「……また『何となく』、かしら?アキラの勘はよく当たるけど、今回は信用しきれないわ」


確かに、ついさっきまで殺そうとしていた奴を信用しろと言う方が無理な話だ。[治癒(ヒール)]をしてくれているローザなりに、妥協した方なんだろうが。


「勝手、に話を…進める、な。わた、しはまだ…契約する、と言って…いない」


「ああ…そうだったな。だが……その言い方からして断るって事か?」


「ふ、ふふ……そうだ、と言ったら?わた、しを殺す…?」


「なんだよその顔は……別に殺さねぇよ、お前が生きている方がこの世界は絶対に楽しい」


死んだ目をしてニヤリと笑うレヴィアタン。まるでこちらを試すように見ているが、別に殺すつもりは本気で無い。


「ホン、トに……君って人間は、分からない………」


「そりゃあ……褒めてんのか?貶してんのか?」


「さぁ…?どっち、かな…?」


「何なんだよ」


まるで構って欲しい子供を相手にしているようだ。楽しそうに笑っているのに目だけは死んでる。なにこれ怖いっ!!



「ッ──!!なんだ今の衝撃…!」


ローザの[治癒]によって、切断された左腕をくっ付けた瞬間、城に大きく揺れる。まるで巨大地震のようだ。


「はぁ…面倒、な事に…なった、よ」


笑みを浮かべていた表情から一転、レヴィアタンは不機嫌な顔をして溜め息を吐いた。

その顔を見て、俺も何となく想像がついてしまった。


「まさか聖道協会の連中か?」


「アキ、ラ正解…!」


ビシッ!っと俺を指差して口角を上げたレヴィアタン。コロコロと表情が変わる奴だ。目は死んでるけど……ハイライト抜け落ちてんじゃん。


「あの数を敵にするのは不可能よ…戦力差があり過ぎるわ。ここは逃げるのが得策よ」


「確かに逃げるのがこの場では正解なんだろうけど……俺的には不正解なんだよな」


「こんな時にまでふざけた事を言わないでよっ!あの男の強さはアキラも分かっているでしょ!?あの男は怪物よ、そこの悪魔と一緒でね…!」


レヴィアタンを指差し、そう怒鳴るように叫んだローザ。怪物呼ばわりされたにも拘わらず、クスクスと楽しそうに笑うレヴィアタン。


「この国、から……逃げるのは、不可能……。完全に…囲まれて…いるよ」


「そんな…!」


楽しそうに笑いながら、ローザに絶望的な言葉を述べるレヴィアタン。

その言葉にショックを受けたのか、ローザは下唇を噛んで表情をしかめた。


「レヴィアタン、お前はどうするんだ?逃げるのか?戦うのか?」


「当然、戦い…殺す。でも……厄介、な存在…も来ているから無傷、では無理だろう…けど」


厄介な存在。それが何なのか分からないが、俺は立ち上がってレヴィアタンへと手を差し出す。


「立てるか?」


「平気……だけどありが、とう」


「こうなった以上、俺達は戦う。だからここは共闘しようじゃないか。お前が厄介だと言う程の存在がいるのなら、少しでも戦力は多い方がいいだろ?」


「ふ、ふふふふふっ…!」


俺の提案を聞いたレヴィアタンは、唖然といった表情の後に口を押さえて笑いだす。かなりツボっているのか、かなり長い。


「わた、しは契約しない……とは言って、ない」


「え…?それって……」


「いい、よ……力を貸して、あげる…………アキ、ラの目指す先を……わた、しは見てみたい…から」


差し出されたレヴィアタンの手。

俺はそれを見てゆっくりと頷いた。


「分かった。レヴィアタン、お前が見たことも無いような面白い世界を見せてやる。お互いに上下の無い相棒(パートナー)として、俺と共に来てくれ」


「ふふっ……その言葉、忘れないでね」


最後にそう小さく呟いたレヴィアタン。すると彼女の体が青く輝きだし、光の粒子となって俺の体へと入っていく。


不快感は無い。むしろ欠けていたモノが埋るような感覚。俺とレヴィアタンが1つとなったその瞬間、俺の頭に膨大な記憶が入ってきた。


『この記憶は…………そうか、俺は…』


冒険者ギルドでの記憶、剣闘大会での記憶、ルナとソルとの記憶。何故俺がアルテルシア魔大陸にいたのか、漸く繋がった。


『だけど何故だ…?』


夢に何度も現れた少女との記憶が無い。記憶に違和感を覚えるのは何故だ?忘れてしまっているのか?俺は……


──────

────

──



「アキ…………ラ…!…………キラ…!」


「ん、ぅ……?」


目を開ければそこにはローザがおり、心配そうな表情をして俺を揺すっていた。


「青い光がアキラの中に入ったと思った矢先に倒れるんだもの、心配したのよ…?」


「ごめん……もう大丈夫です」


「本当に平気なの…?あの悪魔と契約するなんて普通じゃない……体に違和感とかは?血は出てない?私の事が分かる…?」


お母さんかよ!っと言いたくなる程心配してくれるローザ。最後の方は恥ずかしかったのか、少し小さめだった。


「ホントに平気ですってば、ローザ」


「…!良かった…」


ホッと胸を撫で下ろしたローザ。心配ばかり掛けてしまっているのは自覚しているが、こればっかりは譲れない。ローザの胃に穴が空いてしまわぬよう、ある程度は自重しよう。少なくともローザのいる場所では。


───────────


リンガス王国上空。

そこではとある少女が下の様子を窺っていた。


「あれが聖道協会ですか。…?一際歪んだ思考をしているあの人間、ミカエル様の気配がする」


白いローブを捲った濃いめのクリーム色をした髪色に、ショートヘアー。そして眼が黄色く、十字架のような模様が眼に刻まれている少女がそう呟く。


「んー、そっちも気になるけど、“嫉妬“の気配が1度消え、莫大な気配となったのが気になるなーっ」


純白のドレスを着て、その大きな2枚の蒼い翼を生やした金髪の少女は口に指を当ててそう言うと、ショートヘアーの少女は頷く。


「はい、確かに異常です。先程ドーム内に入ったテンドウ・アキラと何か関係があるのでしょうか……」


「彼は“暴食“に呑まれ、記憶を失ったと報告を受けてるからー……どうだろうね?」


「分からないんですか……」


「えっへへ!」


「えっへへ!じゃないですよ…!はぁ…───地上の人間達も動くようです。私達も行きましょう」


「うんっ、そうね」


ニコリと微笑んだ金髪の少女と、ショートヘアーの少女はその背中に生やした大きな翼をはためかせて、リンガス王国内にある城へと向かった。













「仇を…………アキラの仇を…」


くすんだ琥珀色の瞳をした長い三つ編みの少女もまた、リンガス王国へと近付いていく。譫言のように『アキラ』と発しながら、、

ヤバい連中ばかりが集うリンガス王国君可哀想……


レヴィアタンがリンガス王国を滅ぼした理由は“国民が幸せそうに暮らして憎たらしかったから“……たったそれだけです。親に似て、浅いながらも本人は本気でそれが大事な事だと考えています。

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