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178話:過激派

この章では七つの大罪メインです。

ローザが俺の事を父親と重ねていると分かってから数十分後、竜車は目的地に到着した。

目的地と言ってもリンガス王国付近の町ではなく、現代で言う所の乗り換えに近い。この町でリンガス王国方面に向かう竜車に乗り換えるのだ。


「列車があると聞きましたが、乗らないんですか?」


「列車はある程度大きな街や国にしか引かれていないの。全ての町に列車が通れば便利なんだけどね」


確かにそう考えると現代の日本って便利だよな。ある程度文明が発達しているこの異世界での移動手段って言ったら竜車や列車、後は船とか飛行船だもんな。


「あっ、すいませーん、リンガス王国方面に向かう竜車はここであってますか?」


「あってはいるが……まさか君、リンガス王国に行くつもりなのかい?」


「はい、そうですよ?」


俺がさも当然のように答えると、若い御者の兄ちゃんは顔をしかめる。あからさまにヤバい奴を見る目だな。


「悪いことは言わないから止めておいた方がいいよ?今リンガス王国近辺は地獄だ…」


「地獄…ですか」


これは詳しく聞く必要がある。

だが取り敢えず竜車の出発時刻なので乗り込むが、誰1人乗っていない。どうやらリンガス王国方面は御者の兄ちゃんが言う通りヤバいらしい。


「本当に行くのかい?本音で言えば僕が行きたくないんだけど……」


「出発しなさい、仕事でしょ」


「うぅ…分かったよ…」


ホントに怖いのだろう、露骨に嫌な顔をしている御者の兄ちゃん相手にローザはブラック企業顔負けの働け宣言。怖い。しぶしぶ竜車を走らせる御者の兄ちゃんに、俺は知らん顔をする。ごめんね、俺も我が身が1番なんだ。



「それで、地獄というのはどういう事なんですか?」


「知らずに行こうとしてるのかい…?まぁいいや…。聖道協会って知ってるだろ?その連中が七つの大罪・嫉妬のレヴィアタンを捕まえようとしているらしい」


「確か新聞にも書いてあったが、捕まえようとしているのは初耳だな」


「なんだ、新聞見てるのか。なら話は早いな。その嫉妬の悪魔がリンガス王国に立て籠っていて、聖道協会は何としてでも手に入れたいらしく、かなり過激な方法で攻撃しているらしい。お陰でこの町に逃げてくるリンガス王国近辺の住民でごった返してるよ」


確かに言われてみれば人が多かったな。どんだけ聖道協会の連中は過激集団なんだ?まあ異世界じゃよくある事だけど。


「だけど何でまた好き好んで……まぁ仕事だからやらなくちゃいけないんだけど」


「そうよ、仕事はキチンとこなしなさい」


怖い……ブラック企業のお偉いさん感が凄い。あの見下すような鋭い視線、いいよね…!

だがしかし、こうして見てみれば綺麗な瞳だな、ローザは。深紅の瞳って中二心をくすぐる。


「な、何よ……なんで急に見つめてくるのよ…っ!」


「あ、いやすいません」


俺がローザの顔をジッと見てたら、視線を泳がせながらドンドン赤く染まっていくローザ。遂に耐えられなくなったのか、テンパりながら声を出してきた。

可愛いよね、こういう反応されると。これがあれか、好きな子には意地悪したくなる男の気持ちか。でもあれ…?それって小学生のヤツじゃなかったか…?



「全く……アキラに構っていたら疲れてしまうわ。……だから少し寝る」


「どうぞ、着いたら起こしますね」


俺がそう言うと、ホントに寝てしまうローザ。まぁ彼女も疲れているのだろう、少しくらい疲労を回復して貰いたいな。

そう考えながら外の風景を楽しんでいると、俺の肩に少しの重みが加わる。


「…………」


「ありゃりゃ……」


漫画のように俺の肩に頭を乗せて眠るローザ。皆見たか?これがヒロイン補正だ。主人公補正とはまた違った能力を持つのがヒロイン補正…恐ろしいな、可愛いけども。


俺はまるで髪に付いているゴミを払うように、優しくローザの頭を撫でてみる。

この頭乗せをされたら、男の人は全員撫でなくてはいけないのだ(童貞妄想末期)


『結構重いな…』


頭の重さってボウリング球と同じって聞いた事がある。でもそれは成人男性の場合だったか?まぁローザのヒロイン補正を漏れ出てるのを利用して、もう少しこの苦痛とドキドキを楽しむとしよう。


────────────


「ごめんなさい、重かったかしら…」


「いえ、全然平気ですよ」


リンガス王国の1つ手前の町に到着した俺達は、降りて早々謝罪を受ける。

ここは皆さんも『重かった』とは絶対言わないようにしましょう、ビンタされますかね。


「ホント物好きな連中だな、わざわざこんな所まで来るなんて。僕は巻き込まれる前に帰らせてもらうよ」


「どうもでーす」


めっちゃ竜車を飛ばして、逃げるように去って行った御者の兄ちゃんに手を振って見送る。


「さて、ホントに人の気配がしませんね」


「そうね…大通りに人がいないととっても不気味…」


本当に人がいないこの町で、火事場泥棒とか出ないのかな?とか考えてしまう。

だがその泥棒の気配すら感じないのが、聖道協会のヤバさを物語っている。


「ローザは聖道協会ってどういう組織か分かりますか?」


「あまり詳しい事は分からない。確か……過激派と穏健派に分かれているとは聞いた事があるけど……ろくでもない組織とは聞いた事があるわ」


過激派と穏健派か。

なら今回は過激派が原因でこんな状況になっているんだろう。穏健派とやらはどこまで穏建なのかは分からないが、まぁ悪魔に厳しいのは変わらないんだろうけど。


「さっ、行きましょうか!」


「ええ」


リンガス王国に向かう為に、町の出口へと歩きだす。この町から遠くに見えている黒いドームから考えて、リンガス王国までは大体徒歩で40分程だろうか。




「おや?君達は……魔族かな?」


「わーお……運が悪いわ」


町を出て、リンガス王国までの道を歩いていると、突然白いローブを被った連中が現れる。

どこから現れたのかは大方予想がつく。だが問題は俺とローザを見た瞬間、魔族と判断して視線を強めた事だ。


「ローザ」


「分かってる」


数は5人。顔はフードのせいでよく見えないが、強い殺気を感じた。奴らは特に話し合う事も無く、いつでも魔法を放てるように手に魔力を溜めているのが見えた。


「何故こんな所に魔族がいるか分からないが、そんな事はどうでもいい。──貴様らには消えてもらおうかッッ!!」


余裕の笑みのまま各々が俺達を囲うように動き出す。前方からは黄色に近い炎が放たれ、後方からは金色の矢が放たれる。上からの小規模の落雷も合わさり、逃げ場が完全に無い。

アキラとローザはその場から動く事無く、白ローブの者達の攻撃を受け、激しい爆音と共に砂埃が舞った。

軽く三下戦ぶちこみ。

本戦はまだ先。

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