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172話:鬼畜な攻撃

タイトルはアキラではなくアクエリアスを指す。

数を計測出来ぬ程に見える空の赤オレンジ色の光。それはまるで飛行機が飛んでいるかのような風切り音と共に大きくなっていく。


「10mは越えてるか!?──ぐっ…!あれじゃあ海にも逃げられないぞ…!」


推定でも10mを越える隕石。それを空中で回避するのは困難と判断した俺は、再度海中へと逃げようとする。

が、海に突如出現した無数の渦が俺の動きを止めた。あれに飲まれれば一溜もないと判断したからだ。


「このッ…!鬼畜野郎があああッッ!!」


逃げ場など無い。ならあの隕石を全て回避するかない。俺はチートも無ければ邪剣も無い。ならその足で、その翼で動くしかないんだ。

俺はアクエリアスへとそう咆哮を上げながら空を高速で飛び回る。雨のように隙間無く降り続ける隕石。ハジメやローザはそれを苦戦しつつも回避しているが、俺はまさに命懸けの紙一重で交わしていく。


だがここまで鬼畜な攻撃をしてくるアクエリアスは、このまま終わらせるつもりが無いらしい。海に仕掛けておいた無数の渦に隕石が落ちた瞬間、それを渦が飲み込んで上へと飛ばす。実質永久機関のように隕石が降り注ぐ事になる。


「ざッッけんじゃねぇぞ!!オラァッ!!」


上からも下からと隕石が命を狙ってくるこの海上で、俺はそれを縦横無尽に回避しつつアクエリアスへと猛進していく。まさに特攻のような勢いのままアクエリアスの触手を切り裂き、残る水瓶を狙う。


──ギギギギギギギギィィィィィイイ!!!!


「が、はッ……」


アクエリアスが甲高い咆哮を上げると同時に海の水がせり上がる。激しい水流の威力に押された俺は、翼の制御が効かないまま上空へと突き上げられた。

そして空へと上げられた俺に当てられる太陽の光が遮られた。


「───ッッ!!?」


太陽の光を遮ったのはアクエリアスの触手の1本だった。鞭のように振るわれたその触手に、俺はガードや受け身を取る時間も与えずに振るわれた。

まさにジャストヒット。全身の内臓が飛び出たのではないかと錯覚する痛みと、耳にへばりつくように聴こえた骨の砕け散る音。そして海面に高速で叩き付けられた事で、水はコンクリートのように硬化し、背骨を潰す。


「ッ…!ッッ…………!?」


息が全く吸えない。目が燃えるように熱く見えない。手足の感覚が無い。

今の俺に何が起こっているか全く見えない。だが理解は出来た。いや出来てしまった。


『ヤバイヤバイヤバイヤバイッ…!このままじゃ死んでしまう…!さ、再生を急がなきゃ俺は…!!』


考えたくもない状態になっているであろう自身の体にパニック状態になりつつ、俺は生き残る為に必死になって体の再生を急ぐ。

だが海面には無数の渦と、空から降り注ぐ隕石がある。頭の片隅で考え付いてしまう。もう助からない、と……


「─────!!」


『…?誰だ……』


太陽光を浴び、逆光と再生したての眼では顔がよく見えない。だが誰かが俺へと手を伸ばしているのだけは見えた。


『君は……』


──生きる事を諦めないで…!


薄灰色の髪の毛に、とても長い三つ編みを少女らしき姿を確認出来た。顔は見えない。だがそれは知っている。絶対に知っている人だ。


「アキ───!!アキラっ!!」


だがそれは幻覚だった。

実際に俺へと手を伸ばしていたのは薄灰色の髪の少女ではなく、漆黒の髪を靡かせるローザだった。


「私の手を掴みなさいっ!アキラっ!!」


「あ…………ぁぁ……!」


自分でも分かる程に震えている手を伸ばし、俺はローザの手を掴んだ。優しくも強く感じる暖かな手。それはとても懐かしく感じる。まるで昔にも握られたかのように……


「本当に貴方って人は……私にどれだけ心配させれば気が済むのかしら?」


「えっと…その……」


「…………はぁ、まったく……心配、掛けさせないでよ…」


ローザにキツい目付きで睨まれた俺は、言葉に詰まっているとローザはため息を吐いた。

やれやれと言った感じの表情の後、ローザは少し照れながらそう小さく呟く。

あまりに可愛いので、戦いを無視してローザを凝視する。すると見る見る内に茹でタコのように真っ赤になるローザ。


「お、おほん!兎に角っ!あまり心配させないでって事!いいわね?」


「はい、精進します」


「ホントかしら…?心配ね…」


疑いの眼差しを向けるローザは所謂ジト目で俺を見つめて来やがる。これがローザのチートかぁ(※違う)


「痛ッ……!え、え!?」


しょうもない事を考えていた俺の首に突如痛みが走る。見ればローザが俺の首を噛んで、血を吸っているじゃありませんか。地味に痛いのよね、これ…


「───ぷはぁ…………何ボサッとしてるのかしら?早く私の血も吸いなさい」


「え…?なんの為に…」


理解できない。何故今血を吸う必要があるのだろうか。ただでさえ今このやり取りさえ、戦いの最中にする事じゃないってのに。


「っ~~!キ、“キング“と“クイーン“が血を交換すれば一時的に強くなれるのよっ!」


耳と頬を赤く染めながら、ローザはグラッジゾークを振るって隕石を消滅させた(殺した)。え、え…?今色々起こりすぎて感情がグチャグチャなんだけど…?そう思いながらも、言われた通りローザの血を吸った


「っ……ん………吸ったわね。これから夜が来る。そうなれば私達は更に強くなる。ハジメだけには頼っていられないわ。まだ戦えるわね?アキラ」


「勿論です───いや…勿論だ、ローザ。何度やられたって俺は諦めない……今度こそ、アイツの命を貰おうかッ!」


敬語を無くしてそう言うと、一瞬驚いた顔をした後に笑ったローザ。

ここまで大分時間が掛かっちまったが、もう負ける気がしない。怖くない……とはまた違った感情だ。


「っ…!な、なに…?」


「ごめん、少しだけ……」


ローザの手を許可無く握る。

やっぱり暖かくて優しい手だ。ローザが近くにいてくれれば、俺は怖くない。これはきっと信頼と安心。


『懐かしい…か……ふふっ』


名残惜しいが、ローザの手を離し流れる俺の血で剣を作る。

そして俺はローザと共に空を駆けた。アクエリアスを共に倒す為に、、

ホントなげぇよ……何回似たような場面になってんだよ、はよ倒せ。

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