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159話:白髪が生えたよ…

シリアス(笑)が続いたので、少し主人公には初心の頃に戻ってもらい、話を繋げる、、


今年最後ですね。皆様お疲れ様でした。

風に揺れる薄灰色の長い三つ編みの髪。後ろ姿で分からない。だがその後ろ姿はとても見慣れた姿であり、懐かしく感じる。


『アキラ、行こ…!』


聞き慣れた気がするその声。顔は背後からの逆光で見えないが、俺に伸ばされたその手は何度も体験した気がする。


『き、君、名前は!?』


『どうしたのアキラ……ボクは────』


──────────

────────

──────

────

──


「あ、れ…?」


名前が聞ける後少しの所で目が覚めてしまう。天井に向かって伸ばした手が、少し間抜けに見えてしまって恥ずかしい……


「ここは…ランカスター家の部屋か。えっと…あ、そうだ…戦いは終わったんだよな、確か」


今回は怪我が無い。体が勝手に再生していくのはやはり素晴らしいな。

そう考えながら俺はベッドから降り、服を着替えようと姿見の前に立った時だった。


「なっ!?え、ちょ、はっ!?ウソウソウソ!!?」


俺は姿見に近付いて目玉を見開いて髪の毛を触る。プルプルと震えたその手を先には一部真っ白に染まった髪の毛が…!


「ウソ……し、白髪…!?いやいやいや、これじゃあ軽いメッシュだろ!?」


目の横辺りから一部白く染まっている髪の毛。憎たらしい程真っ白で綺麗だ。いや綺麗だけどさぁ…!!

なろう系主人公はいつだって黒髪短髪でなんか癖っ毛。なのにこんな一部メッシュなんて個性あっちゃダメなんだよ!


「どどど、どうしよう!?染まる!?白髪って染まるっけ!?異世界で白髪染めってあるのかぁ!!?」


え、マジでどうしよう!?

そんな時部屋の扉が開かれ、艶やかな黒髪を揺らしてローザさんが入ってきた。


「…!目が覚めた───って……何しているの…?」


「あ、いや……その白髪が………」


「あぁ…それね。それは“キング“になった者の証拠よ、私のお父様もそうなっていたわ。ジギタリスとの戦いの最中からそうなっていたわよ?」


あーよくあるヤツね……外見に変化が表れるやつ。いやでもなぁ……


「これって……染められますか?」


「なっ!?ダメよ!アキラはお父様と同じく血に適合した数少ない人間なのよ!?その象徴を自ら消すなんて…!」


「でもこれは俺的にも、【なろう】的にもアウトなんですよ……」


「な、なろう…?よく分からないけど……いいじゃない、結構似合ってるわよ?私と同じ黒髪だから映えて綺麗だわ」


確かに自分でもいいなぁって思ってたりする。白髪って男なら1度は憧れるしな。だが俺は『またオレ何かやっちゃいました?』や『HIPのYOU』、『まるで将棋だな』と言ってる主人公になりたい。先ずは形から、それを続けて15年程やって来たからなぁ…


「ま、取り敢えずいいか。それで…ローザさん、俺に何か用ですか?」


「アキラが目を覚ます頃かと思って来てみたの。何となく起きるって感じたから」


「そうでしたか…!」


そう言って、俺とローザさんは屋敷の廊下を談笑しながら歩く。屋敷内では少し忙しく使用人達が走っている。壊れた部屋の補修や、荒らされた庭の手入れ何かをしているようだ。


「俺も後から行かないとな」


バルコニーに出た俺達は、暖かい風に当たりながら空の雲眺め、そろそろ忙しそうにしている同僚達の元へと行こうと考えていた。


「そう、ね。ごめんなさい、私の話に付き合わせてしまって…」


「いえいえ、ローザさんとのお話はとても楽しいですよ」


「そ、そう?ありがとう」


髪の毛を弄って少し照れてるローザさん。やっぱり男性との会話とか免疫が無いらしい。初々しくて可愛らしいな。


『まっ!俺も女性に免疫ないんだけどねっ!!』


色んな意味で。はぁ……

そんな自虐的事を考えながらローザさんと別れ、再度部屋をと戻って執事服へと着替えに戻った。


───────────


『夢に出てきた子、誰だったんだろう……』


声や姿は完全に見覚えがあり、俺の中でとても大切な人だという事を分かった。恐らく記憶が無くなる前に出会った人なんだろう。


『……ダメだ、思い出そうとすると頭痛くなる。思い出したくない、とかなのかな…?』


そんな事を考えながら執事業をし、取り敢えず一段落となる。この後はセルリアお嬢様の遊び相手にならないとなーっと考えていると、テーブルに置きっぱにされているこの世界の新聞に目が止まった。


「ふーん、この世界にもこういうのあるんだな。てっきり紙は高い物だと思ってたけど」


まぁこの家はお金持ちだしな。多少高くても買うんだろう、多分。

そう考えながら静かに新聞を立ち読み。どっかの国で戦争が始まったとか、どっかの屋敷の当主が暗殺されたとか……物騒な事しか書かれてない。


面白そうなゴシップも無いし、4コマ漫画も無いからそろそろ読むのをやめようとした時だった。


「七つの大罪・“嫉妬“によってリンガス王国陥落…?」


七つの大罪と聞いて、ゾクッとした俺はその記事を読む。なんでも、ガンナード人大陸の西側にあるリンガスと言う小国が、1匹の悪魔によって陥落したらしい。


「“嫉妬“、か。…?何だろう…なんとなく知ってる気がする…?────あうっ!」


「アキラ君、お仕事中に立ち読みはダメですよ」


背後から俺の頭に軽くチョップをしたのは、使用人頭のヴィノさんだった。怒られる(現在怒られてます)と判断した俺は、バッ!っと背中に新聞を隠す。


「それで隠したつもりですか……ってそれは七つの大罪の記事ですか」


「へっ…?あ、これか。ヴィノさんも興味ありますか?」


怒られずに済みそうだと判断した俺は、話をすり替える為に新聞を敢えてヴィノさんに渡す。

一瞬暗い表情になったヴィノさんだったが、すぐに元の表情へと戻して新聞を受け取った。


「ええ、まぁ……そうですね。悪魔とはそこそこ関係ありましてね。しかし七つの大罪ですか…恐ろしい存在ですね」


「ヴィノさんは何か知ってるんですか?」


「…昔母から聞いた事がありましてね。悪魔の最上位に立つ7人の悪魔…通称七つの大罪がいると……奴らは人間の抱く強い負の感情に反応し、それを依り代にしてこの世界にやって来るそうです。この記事を見れば分かる通り、単騎で国1つ落とせる程の強さを秘めています…」


「何だが怖いですね……」


「ええ……間違っても相手にしたくはないですね。っとと…少々お話をし過ぎましたね、仕事に戻りましょう」


しめしめ、俺が新聞読んでサボっていた事を忘れてくれたようだ。くくっ…!計画通り…!(デスノ笑み)

※彼は後でちゃんと叱られました。







そしてその日の夜がやって来た。

セルリアお嬢様の遊び相手を全力でやった俺は、結構筋肉酷使で疲れました、ええ。

でも筋トレになったのでOKです。


「にしても七つの大罪・“嫉妬“かぁ。なんでこんなに引っ掛かるんだろう?何か忘れてる気がする……会いに行けば…記憶を取り戻せる、かな…?」


夢の中で会ったあの子の事も思い出せるかもしれない。近い内に長めの休暇でも貰えたらリンガス王国に行ってみようかな?いや危ないか?


「ふぁ~……ねっむ。疲れたし今日はもう寝よっと」


部屋の灯りを消して、俺はベッドに入って瞳を閉じる。日が経つにつれて、夢の中で記憶を取り戻している。何となく今日も今朝の子に会える気がし、俺はゆっくりと深い眠りへと落ちていった。

次話はミル達が何をしてるか描写予定です。


来年も頑張っていきますので、どうぞ密かに応援しててください(笑)

あっ、良いお年をっ!来年もよろしくです!

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