14話:魔石について
次でようやくアキラのステイタスが判明します。無駄な寄り道が多くてすいません。
急いでルカ君達の家へと走る。そこまで広くはない村だからすぐに到着した。
「すいませんっ!今戻りました!」
時刻は昼過ぎ、だと思う。太陽の位置的に。朝ごはんを用意してくれていたのに無駄にしてしまった。お昼も無駄にしてしまったと思う。
「アキラおじさ──えぇぇ!!?だ、誰!?」
「アキラ…おじさんなの…?」
扉を開ければドタドタと走る音が聞こえ、ルカ君とリオ君が俺の元へと駆け寄るが、若返ったせいで驚く2人。そう言えば説明する前に家を出たんだった。
「あはは、若返ってるけどアキラおじさんだよ」
苦笑いしつつ2人の頭を撫でる。2人は俺の顔をまじまじと見つめてくる。疑ってるのか?
「アキラ君っ!心配したのよ…?」
子供の疑いの眼差しに耐えきれず視線をずらすと、奥からミオさんも心配そうな顔をして出てくる。
「心配掛けてしまいホント申し訳ないです…。それにご飯を無駄にしてしまって…」
「ふふっ、いいのよ。アキラ君が無事なら」
口に手を当てて微笑むミオさん、マジ綺麗ッス。これで300歳越えの二児の母なんだからすげぇよ。
「お腹空いてるでしょ?今ご飯温め直しますね」
そう言って台所へ向かうミオさんには頭が上がらない。俺も何かお手伝いをしようとミオさんの後を追う。
「うわっ!アキラおじさん背中どうしたんです!?」
「ボロボロだ…」
「あっ!そうだった」
熊公に背中をおもいっきりやられたせいで破けているジャージ。これ気に入ってたんだけどなぁ…
「縫えっかな………無理だよな」
諦めるしかない。それほど酷くやられた。
熊から得たステイタスとイーブン…か?異世界の物って結構高価に取り引きされるシーンをよく見るが…少し勿体無い。
少しため息を吐いて俺は台所へ向かう。ミオさんがフライパンらしき物で温め直している。この世界にフライパンってあるんだな。
「ミオさん、何かお手伝いできる事ってありますか?」
「あら、いいのよ?…でもそうね、お皿を用意でもして貰おうかしら。そこの棚に入ってるから」
ミオさんが指差す棚に向かい、何枚かお皿を出す。ミオさんのご飯は美味しいから楽しみだ。
用意したお皿をミオさんに手渡し、着席して待つこと数分。ミオさんのご飯がテーブルに並べられる。今日のお昼はどうやらパスタで、しかも俺の好物のナポリタン。最高ですミオさん!。それだけでなく、用意されたパンに挟んで食べてもいいらしい。高校の頃に買ってたナポリタンパンみたいで最高に旨そうだ。
「うっま!やっぱりミオさんの料理は最高ですっ!!」
フォークを使ってナポリタンを啜る。こっちの世界のトマトが旨い。日本、てか向こうの世界とはやはり違う品種なんだろうか。
「あらあら、そうな風に言ってくれるなら作りがいがあるわね」
にしてもマジで旨い。俺は既に実家を出ていて独り暮らし。ご飯はあまり自炊しなかったし、しても雑な料理だ。こんなに旨いのはホント久々。
「そう言えば…俺の死体ってどうなってんのかな…」
独り暮らしだから発見は遅れるだろう。ベッドに横たわって死んでたし…ドロドロに溶けてないといいなぁ…。うぇっ…食事中に考える事じゃないな。
「そう言えば俺の死因ってなんだっけ?ロリ神から聞いてないんだけど」
安定のガバ転移。なろう小説だけじゃなくて他の小説でもよくある説明なしの転生やら転移。どうやら俺もそういう感じらしい。この場合はあの神のミスだけどな。
そんな事を考えながらご飯を食べ続ける。
因みに食事中にブツブツ言うのはマナーが悪いからやめようね。俺が言えた口じゃないが。
「ご馳走さまでした!」
「はい、お粗末様でした」
食べ終わった食器を片付ける。居候させて貰ってる身なので、洗い物もやらせて貰う。
蛇口にセットされた石から水が出てくる。魔石から水が出るとは…たまげたなぁ。
「さぁ!食事の後はお勉強の時間ですよ、アキラおじさん!」
眼鏡を掛けたルカ君が俺の手を引いて魔法書がある部屋へと連れていかれる。
文字を教えて貰う次いでに教えて貰いたい事がいくつかあるから聞いてみよう。
□
「う~む…これがこの文字で…これが…こうか?」
「そうですそうです!覚えるの早いですね!」
ルカ君監修の元この世界の文字、と言うより世界共通言語を学んでいる。ルカ君はこう言ってくれてるけど、覚えが悪いのを自覚できてしまう。因みにリオ君は同じ部屋で静かに魔法書を読んでいる。
「ふぅ~…あっそうだ、少し質問いいかな」
「はい、何ですか?」
「この世界の魔石について知りたいんだけどいい?」
少し前から気になってた魔石について質問する。大体は異世界物を読んできたから分かるけど、ちゃんと知っときたい。
「勿論構いませんよ。そうですねぇ…どこから話しますか…」
顎に指を当てて考えるルカ君。ちょっと君、美形過ぎないか?羨ましいぞこの野郎。
そんなくっだらない事を考えているとルカ君が口を開いた。
「えっと、この世界には五大属性って言うのがありましてね?それぞれ火、水、風、雷、土の力があるんですよ」
「ほうほう、テンプレですな」
「そして魔石っていうのはその名の通り、魔力を宿した石なんです。鉱山などで採れるのは通常の魔石です」
そう言ってルカ君は棚からゴルフボール程の薄い青紫色の石を見せてくれる。どうやらあれが通常の魔石らしい。色までもテンプレだ。
ただ魔物からは採れないのね。
「通常って事は、他にも魔石ってあるの?」
「ええ、さっき洗い物をした時に見たと思いますが、蛇口に付いていた石も魔石です。あれは水の魔石、水を生み出す魔石ですね」
「成る程成る程」
てことは火の魔石ならそのままの通り火を生み出すとかか。便利なこった。でも回数制限とかありそう。
「そして稀に白の魔石と言うのが採れたりします。白の魔石は何にでも染まる石と言われています」
「何にでも染まる?もしかして他の属性の魔石に変わる、とか?」
「正解です!白の魔石に魔法を掛けるとその属性の魔石になるんです。凄いですよね!」
若干興奮しているルカ君。やはりエルフだから魔法関連の話は好きなのだろうか。でもこの村のエルフは特質だからわからん。
「何にでも染まる、つまりは五大属性に定まらない魔石を生み出す事が出来ると言う訳です!」
おぉ!何と夢のある魔石なんだ!この場合主人公が新たに編み出した魔法をその魔石に付与させる構図が見える見える…!
「因みにステイタスを見るには、白の魔石に[鑑定]を付与させる必要があるんですよ。父さんが今白の魔石に[鑑定]を付与して貰いに行ってるので、もう少し待ってて下さいね」
「えっ!?白の魔石って高価なんじゃないの?何だか悪いよ…」
ただでさえ居候の身なのに、俺なんかの為ステイタスの為にそんな高価な魔石まで…
ホント申し訳ないと同時にマジでこの家には奉仕活動をしようと決心する。
「白の魔石は他の魔石と比べると少し採れないだけなので、言うほど高くはないんで安心してください!」
オロオロとしている俺に優しい笑みでそう言うルカ君。なんだぁ…っと一安心。でもいつかそのお金は返そう。
「さて!そろそろ文字の勉強を再開しましょうか」
「うっす!」
話が終わり、再度文字の勉強が再開する。
…やっぱり分からない。これがまだひらがなレベルならもう泣くぞ、俺…
[鑑定]
属性:鑑定魔法
効果:物や人物のステイタスを鑑定出来る魔法。鑑定対象に[鑑定阻害]がある場合は見ることが出来ない。
通常の魔石:薄青紫色の石で、主に家庭で使用する魔石灯や魔法船などの道具の燃料に使われるなど、幅広く使われる魔石。
火の魔石:薄赤色の石で、少し暖かい。現代で言うコンロの役割を果たしている。
水の魔石:薄水色の石で、少し冷たい。現代で言う水回りの役割を果たしている。
風の魔石:薄黄緑色の石で、少し風を感じる。風を必要とする魔道具(扇風機系)の核として役割を果たしている。
雷の魔石:薄黄色の石で、少しピリピリする。魔物や動物の罠などで使用される事が多い。
土の魔石:薄茶色の石で、少し手が汚れる。砕いて、建物の大切な柱の材料にされる事が殆んど。
白の魔石:真っ白で、光沢がある石。様々な魔法の効果に染まる珍しい石で、上記の石と比べると採取されにくいが、滅多に採れない訳じゃない。
魔石は専用の道具を通して使わなければあまり効果は無い。




