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145話:嫌な恒例行事

この章では、主人公強化を狙っています(大胆ネタバレ)

「おおーっ!」


「あはは!楽しそうだね、アキラ」


俺はローザさんとブロンさんと一緒に屋敷から少し離れた街へとやって来た。見たこと無い種族が沢山おり、人間が1人もいない。それはとても新鮮で、俺は興奮していた。


「はしゃぐのはいいけど、迷子にならないようにしなさいよ?」


「はいっ!」


初体験で興奮してはいるが、俺は30歳の男だ。流石に迷子とか、勝手に歩き回るつもりは無い。

ただここ最近は屋敷での生活で、寮生活に近かったので違う景色を見て興奮してしまうのは許してほしい。


「今日は何をするんですか?」


「特に決めてないわ。ただ街をブラブラしていたいのよ」


ウインドショッピング的なやつだろうか?知らんけど。そう言えばローザさんは人大陸で出会ったって言ってたし、もしかしたら旅行とか好きなのかもな。


そんは事を考えながらローザさんとブロンさんの後を着いて行くと、その先から何やら騒ぎ声が聞こえてきた。よく見れば人だかりまである。どうやらイベントが始まったらしい。


「どうやら半人(ハーフ)への差別行動のようですね」


「…不快ね」


騒ぎを起こしている者達へと軽蔑の眼を向けるローザさんとブロンさん。その視線の先では頭から耳が生えた人間などがいる。所謂ハーフってやつだな。その半人に向かって罵声と共に石を投げる……か。


『デスマーチやん、完全に』


あれは亜人だったか?どうでもいいけど、自分飛び込みたいんすけど。

が、しかしだ……俺は今ローザさんの護衛的な位置におり、執事見習いで奴隷とはいえランカスター家の者。下手な真似は出来ない。


「ブロン、止めてきなさい」


「はい。お任せください」


ブロンさんに指示を出したローザさん。俺に指示をくれよぉぉぉ!!そしたらあの投石されてる半人達の前に立ってやめさせたというのに……残念。


指示を受けたブロンさんは、投石している人達の上を越えて、半人の前に颯爽と立つ。飛んでくる石を剣で切断してるではありませんか。


『何今の跳躍力…!?3mくらい跳んだろ、今。後なんであんなちっちゃい石真っ二つに出来んだよ……はえ~異世界スッゴ』


そんな事を考えながら、ブロンさんへと羨望の眼差しを向けているその時だった。


「やめろーっ!!」


『は?』


突如飛び込んできた学生服を着た青年。黒髪黒目だから日本人だとすぐに理解した。その学生は、怒鳴りながら飛び込んできたと思ったら半人達の周りを風の壁を作って守る。投げられた石は風によって反射され、投げた者へと返される。


『あれ危ないな。どこに石飛ぶかわかんねぇじゃん』


報復って程じゃないんだろう。ただ持ち主に返してやった的な意味を込めて反射しているのだろうが……他の関係無い人まで危険が伴う。止めない奴も悪い的な意味かな?


「ほーらこっちまで飛んできた……────よっと!」


「あ、ありがとう…」


「いえいえ」


ローザさん目掛けて飛んできた石を素手で3つキャッチ。う~ん気分はお兄様やね!……まぁあれは銃弾なんだけどさ……い、石でもカッコいいやろうがい!!


「動体視力…いいのね」


「昔から鍛えてましたからね。石くらいなら軽いっすよ」


まずなろうとしたのがキリトだった俺は、昔っから動体視力のトレーニングを積んでた。光った場所を押すやつとかね。挙げ句、友人に頼んで沢山の石を投げてもらった時は親にメチャクチャ怒られた。懐かしい。


「……っと、向こうも終わったみたいですね」


「ええ。でもブロンの他にも止めようとする者がいるなんてね」


異世界にやって来る奴は大体が絵に描いた聖人みたいな性格の奴だからな。よっぽど序盤で酷い目に合うか、人生2周目とかじゃない限りは主人公は性格メチャクチャ良いのだ。


その後騒ぎを終わらせたブロンさんはこっちに戻ってきた。向こうでは半人の女の子が黒髪の青年にお礼を言っていた。女の顔してました(小並感)







「そろそろ帰りましょう」


「分かりました。では竜車を呼んで参りますね」


時刻は辰刻の裏。午後4時を廻った所でローザさんは街の探索に満足したのかそう言った。待たせている竜車を呼びにブロンさんが走ってったので、俺は自然とローザさんと2人になる。ま、特に会話なんて無いから、俺が竜車呼びに行けばよかったかな?と考えていると、、


「……どうだったかしら?久しぶりの街並みは。何か思い出せそう?」


「とっても楽しかったですよ!見るもの全てが新鮮で!……でも記憶の方は残念ながら…」


「そう…それは残念ね。こうして新しい刺激があればと思って連れ出したけど……ダメだったみたいね」


どうやら俺の為でもあったらしい。ありがたい反面申し訳なさが積もるな。


「速く記憶が戻ると良いわね」


「ええ……そうですね」


ローザさんとの会話が切れた丁度その時、見慣れた豪華な竜車が此方にやって来るのが見えた。ここでローザさんとの会話を終わらせて、目の前に止まった竜車へと乗り込んだ。


─────────────

そしてお出かけイベントから1週間が経った頃、俺は特に何かをやらかす訳でも、何か功績を出すでもなく、平安に執事業をこなしていた。


「~~♪」


「あらっ、アキラ君機嫌がいいわね」


「今日は天気が良いですからね~お洗濯物干すのにピッタリな日で嬉しいんすよ」


そう言って洗われたシーツを、同僚のメイドさんと2人で干している

今日は雲1つ無い晴れた空で、とても気持ちいい。


他の使用人さんとも大分コミュニケーションが取れるようになってきて、仕事のミスも減ってきた。役職も少し変わり、執事見習い兼騎士見習いとして順風満帆だ。故にそろそろ()()()()()だ。

そう、イベントが、、



「あっ、おーいアキラ君達!セルリアお嬢様を見なかったか!?」


「いえ見てませんが……何かあったんですか?」


慌てた様子で此方へ走ってきた先輩執事。燕尾服が若干崩れる程焦る事態らしい。


「実はセルリアお嬢様がまたいなくなったそうで、屋敷は大慌てだよ……」


「あら…またセルリアお嬢様がいなくなったのね……元気なのは良いけど、元気すぎるわね…」


ローザさんの妹である、セルリアお嬢様がいなくなるのはこの屋敷ではよくある事。その度に毎回使用人達が駆け回る。勿論俺も2週間程前に探した。しょっちゅうあるんだよ……仕事も残ってるけど探さないといけないから、キッツいわ……


「残りの洗濯物は少ないから私が1人でやっておくわ。だからアキラ君はセルリアお嬢様をお願い」


「了解です」


てな訳でこの屋敷(嫌な)恒例のセルリアお嬢様探しが幕を開けた。開けちゃった……






「セルリアお嬢様ー!いませんかー!」


俺が勤めているこの屋敷は森の奥深くにあり、屋敷の周りは完全に森に囲まれている。だからこの森の中に逃げられると厄介なのだ。何が厄介かと言えば、、


「ガルルルッ!!」


「うわっ!出た!!」


尻尾が刺々しいくなっている虎のような魔物に遭遇。そうここの森は魔物が出る。だから使用人達は大慌てで探しているのだ。森に行った可能性があるから……


「今はお前の相手はしていられないんだ!───セイッ!」


「ガウッ!?」


俺は一気に間合いを積めて木剣で叩きのめす。ブロンさんの後押しで騎士見習いとなった俺は、常時木剣の所持を許されている。だから俺や、ブロンさんなどの騎士は森へと駆り出される。



「アッハハ!!つよ~い!」


「はぁ……見付けましたよ、セルリアお嬢様」


虎型魔物を追い払った所で木の上から幼女の笑い声がし、その方向へと視線を向ければ黒髪に銀のメッシュが沢山入ったツインテールの幼女が俺を見下ろしていた。そう、この子がセルリア・ランカスター様だ。


「帰りましょう…屋敷の者が大慌てで探してましたよ?」


「えー、だってお屋敷いてもつまんないんだもん!こうやって森にいた方が楽しんだもーんっ!」


「そうですか。あ、そんなに足パタパタ動かしたら……下着見えますよ?」


「え“っ!?う、うそ!?──ってあわわわ!!」


明らかに濁点のついた声を出して、スカートを押さえたセルリアお嬢様。しかしそのせいで体制を崩し、落下してしまう。


「おっと危ない……はい、捕獲」


「あーっ!!しまったー!!」


お姫様抱っこ型で捕獲。

こうして捕まえてしまったら動けないだろう。


「さ、帰りましょう?」


「ぶー!つまんなーい!!」


漫画みたいに顔を膨らませてブーイングするセルリアお嬢様。子供は元気が1番だが、元気すぎるのもホント考えものだな。


「速く戻らないと少々面倒な事になりそうなので……」


「面倒なこと?」


セルリアお嬢様はどういう訳か、魔物を惹き付ける体質らしく、一緒に行動するとその…危険なのだ。俺はあまり強くはないし、右腕はあまり使えない。そして持ってる武器が木剣だ。あまり強い魔物はとても相手に出来ない。


「………セルリアお嬢様、体制を変えますよ」


「う、うん……」


セルリアお嬢様をお姫様抱っこしたまま森を駆けていると、周りから嫌な視線を感じる。

俺は1度止まり、セルリアお嬢様を胸で抱える体制にして右手で支え、木剣を左手に持って走る。


「ッ!!」


矢が俺を……いや、セルリアお嬢様を狙って放たれる。事前に攻撃を仕掛けてくる事は予測していた為、俺はいち早く木剣で矢を弾く。


「魔物かと思っていたが……魔族か」


「え…?どういう事…?」


「セルリアお嬢様、決して俺から離れてはダメですよ」


「う、うん……わかった…」


「いい子です」


俺はそれだけセルリアお嬢様に伝えると、全力で森を走り抜ける。その間も矢がセルリアお嬢様を狙って放たれる。


『屋敷に到着すればヴィノさんがいる…そこまで逃げ切れれば……!』


そう考え、俺は全力で走った。

だが俺の考えは道を塞ぐ巨大な岩によって潰される。


「そんな!?来た時はこんなの……クソッ!」


後ろからは沢山の人の気配。

道は閉ざされた。この絶望的な状況で俺は、、


「気合いを入れろ、俺…!」


自身に活を入れて木剣を構えた。

俺を暖かく迎えてくれたこの屋敷へ恩を少しでも返すために、ローザさんに拾われた恩を少しでも返せるように……


「命の懸けてセルリアお嬢様は俺が守る…!」

騎士見習いは、“ナイト“1人につき2人までなれる役職であり、主に“ナイト“の補佐や、護衛などが主な仕事。

なので、アキラは執事業と護衛業の2つが出来るように教育されています。尚、アキラを推薦したのはブロンである。


裏業務で、森に行ってしまったおてんばなお嬢様を探すのも、騎士である“ナイト“と騎士見習いの仕事である。

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― 新着の感想 ―
[一言] なあ、いつまでこんなズルズルなネタ書くつもりだ。 スカッと感が全然無い
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