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140話:黒髪美少女に買われた

異世界あるある奴隷~♪

「おい、起きろ」


「んん………」


頬を叩かれた痛みで目を覚ました俺は、ゆっくりと瞳を開ける。どうやら到着してしまったらしく、どこか怪しい雰囲気漂う建物の前に竜車は止まっていた。


「では後は此方でお預かりします。此方はこの者の買い取り金額です」


「へへっ!こんだけありゃ暫く遊んで暮らせるぜ!」


どうやら俺が気絶している間に商談……て言える程クリーンなものではないが、話は終わったようだ。硬貨が入った袋を下衆な笑みを浮かべて笑う男達。


「あばよ人間!お前のお陰で金儲けできたぜ!ギャハハハ!!」


嘘みたいな笑い声を出して、男達を乗せた竜車は行ってしまった。

そして俺は恐らく奴隷商人と思われる人物へと視線を向けた。


「行きますよ」


眼鏡を掛けた若い男。頭に捻れた角がある事から、人間ではなさそうだ。

その男は俺の首にいつの間にか付けられていた枷から、鎖を引っ張って建物の中へと連れていかれる。気分は犬だな、完全に。




「ほほうっ!人間とは珍しいねぃ!」


奥へと連れていかれた俺は、変なハットにデブで変なちっこいサングラスをしたチョビヒゲオヤジの前へと連れていかれた。

コイツ絶対ここの奴隷商人のボスだろ。


「話によれば剣を使えるようです。見たところかなりの戦闘を積んでいると見れます」


「なぁ~るほどぉ、なら早速スキル欄を見てみようかねぃ」


正直詰んでると思ってる俺は、大人しく白い水晶の上に手を乗せる。するとブォンっと、メニュー画面みたいなのが出た。


名前:テンドウ・アキラ

種族:人族(ヒューマン)

性別:男

魔法:

スキル:[※※※]

加護:[治癒の女神・リコスの祝福]


「あれれぇ?変な文字のスキル以外何も習得してないねぃ~……」


「変ですね……故障でしょうか。この男はどう見ても剣を握っていた手をしているのですが……」


ガッカリしたように肩を落とした奴隷商人達。それて同様に俺も自分のスキル欄を見て驚愕していた。


「そんなバカな…ッ!?」


俺は確かにチートは無いし、使えない魔法1つしか覚えていなかった。だが決して俺にスキルや魔法が無かった訳じゃない。何故か習得していた物全てが消えていた。


『それに何だこのスキル…見覚え無いぞ?』


唯一スキル欄に書かれている[双子座(ジェミニ)

どうやらこの男達には見えていないようだ。なら下手に喋らない方がいいだろう。


「はぁ~残念だねぃ。これなら先日手に入った兵士の奴隷の方が売れそうだねぃ」


「は……ではこの者の値段は如何しましょうか」


俺から興味は無くなったのだろう。ため息を吐いたボス商人は『買値から2割足して売れ』とだけ言って、他の書類に目を付け始めた。何か色々起こり過ぎて焦ってるけど、俺の値段が安いのは何か……ショックだわ。






てな訳で俺は今、獄中みたいな所に入れられてます。よくある洋風をイメージした【なろう】やアニメでよく見た石で出来た牢屋だ。地面は固いし、冷たい。後薄暗くて怖いね。


『でも何故だろう……こんな状況なのに不思議と怖いって感じしないんだよな』


怖すぎで頭バグった可能性が高いが、どことなくデジャブを感じる気がする。以前も牢屋に閉じ込められた事があったのか?俺は何をやったんだよ……


それは兎も角この牢獄はそこそこ広い代わりに相部屋だ。俺の他に3人いる。残念ながら皆さん男性で、諦めきったような、死んだような顔をしている。これもよく見た光景だな。


「おいボウズ……何がそんなにおかしい」


「え…?いや別におかしくはないですよ」


「嘘つけ。お前、さっきから口元緩んでるじゃねぇか。なんだ?薬でもやってんのか?」


「いや、やってませんよ…」


強いて言うならなろう(薬物)だろうか。それは兎も角、若干苦笑いでそう言うと、人間に犬耳が生えた男性は黙った。

俺はそんなにヘラヘラしていたのか……実際に体験するって興奮するもんな。……現状はとても笑えるような状況じゃないんだけどね。


『にしても暇だな、ここ』


誰1人喋ろうとしない牢獄の中はとても息苦しい。野郎が4人も1部屋にいるだけでもあれなのに……

因みに俺の所持品は全部俺を売った奴らに取られた。黒のロングコート、投げナイフ8本、仕込み手甲、後カッコいい銃まで取られた。実にみすぼらしい格好になってしまったよ、まったく。


「イテテ……」


イライラしてきたら右肩の傷まで痛みだしてきた。俺を売った奴らは傷は無い方が高く売れると思ったんだろう。ポーションを右肩に掛けたのだが、恐らく粗悪品。だって効き目悪いし、傷がまったく修復しない。()()でもあるのかってんだよ。


『お陰で右腕全然動かせないし……はぁ』


神経とは切れてなきゃいいけど。

俺は冷たくて固い床に寝そべり、暗い天井の模様を見て時間を潰す。

そうしていると段々と眠くなってきたので、俺は欲に従えて寝ることにした。


─────────────


翌日の……多分朝。

眼鏡やデブとは違った奴隷商の人が、奴隷達に食べ物を運んできた。特に奪い合いも無いし、看守からのイビりも無い。平和で結構。

ただ問題があるとするなら、、


「まっっっず!!!オエッ…」


そう、飯不味なのだ。

獄中の飯は臭くて不味いと聞いたことがあるが、実際は結構豪華らしい。それは現代の日本の話であって、ここ異世界。ぜんっぜん!不味いし貧相です、えぇ。


「何だよこれ……お粥…ってレベルじゃねぇぞ」


ドロドロしてて冷たいし……味もよくわからんくせして、ちゃんと不味いと来たもんだ。日本生まれ日本育ちの俺にはとても食えるレベルの物じゃなかった。


「……これ、皆さんでどうぞ」


お皿をス…と差し出して俺は寝っ転がる。

これがもっと緊迫した状況なら食べる。もう1週間も食べてないとかね。でもまだ……まだこれを食べるレベルまで下りたくはないな…うん……



「あっ、こうやって好き嫌いするのってゆとり世代っぽいな……へへ、へへへ……」


ギリギリ平成生まれだからセーフ!!(※ゆとり世代ではありません)


『そう言えば……昨日のスキル、何なんだ?』


[背水の陣]が消えている変わりに、[双子座]というスキルを所持していた。一緒に見ていた筈の奴隷商達には読めなかったらしいが……んー…俺の持ってるスキル全部と交換した、とか?いやいやそれは無いだろ。


双子座と言ったら星座。星座と言ったら【厄災の十二使徒】だろうか。何か関連はあるのだろうか?うーん…どんな能力かも分からんな。


「おいお前、出ろ」


「あ、はい」


飯の時間から少しして、俺だけ呼ばれたので重い腰を上げて立ち上がる。うおっ、バキバキ鳴ったな。

そして犬のように鎖を引かれて地上へと上がる。


「もう買い手がいるんですか?」


「その買い手を見つける為に、これからお前を路上で宣伝するんだ。人間は珍しいからな」


「へぇー」


なんか百錬の覇王と聖約の戦乙女で似たようなの見た気がする。……あー、思い出した。確か美人なお母さんと、可愛い娘さんだったな、あれは。いやどうでもいいわ。


そして……



「将来性のある十代の人族(ヒューマン)、教養もあり、様々な仕事が可能。愛玩具としてもご利用可能です」


最後のはペットって意味だよね?ね?性的な意味じゃないよね?ね?

……いやペットも嫌なんだけどね?


それは取り敢えず置いておいて……道よく人達が俺を物珍しそうに見ている。俺に掛けられた値段は白金貨1枚。日本円で50万円。中々手が出る額ではない。でも人間を買うのに50万円って安くね?


皆興味の目で見てはいるが、買いはしない。言うなら冷やかしだな。今の俺は所謂客引き。俺を宣伝に、他にも沢山奴隷はいますよ~的なやつだ。だから、売れなかったら俺は裏に戻される訳なのだが、、


「その人間…買うわ」


なんと購入者が現れたのだ。

腰まで伸びたストレートで、艶のある綺麗な黒髪をした美少女。しかも紅い眼をしていて、まるでルビーのように綺麗な瞳だ。後怒ってるのか、素なのか知らないが、無表情……てかクールか?な表情をしている。


「お嬢さん…お金あるの?」


「これで足りるかしら?」


スっと出したのは光輝く白金貨。それを受け取った奴隷商はニヤリと笑って『毎度あり』と言う。下衆め。


「良かったな。売られた次の日に買い手がついて。しかも綺麗な嬢ちゃんだ。たっぷり可愛がってもらいな」


可愛がってもらう……性的な意味ですか?SM的な意味で?ほほーう……それはそれは…うん、反応に困るな。俺はそんな性癖無いから……


てな訳で、俺はクール系美少女に購入されました。

アキラはメチャクチャ楽観視してますが、本来なら絶望的な状況ですよね。

因みにこの美少女はかなり前に登場してます。分かった人には300アグニカポイント進呈()

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