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13話:熊公と再戦闘だと?ふざけるな

ブックマークを増やす方法が無いと感じる今日この頃。

「んぁ……あれ?」


目が覚めたら少し暗い洞穴。

俺はそこで目を覚ます。


「……10秒間だけ待って?」


俺は4本腕の熊公と戦っていた。んで、熊公の首に槍を刺したら折れたから何度もナイフのように刺した。そしたらぶっ倒れて、幼い誰かに助けられた。と、思う。そんで今。


「回想終了。さて、俺の背中は…おぉ!血が出てない」


若返ったお陰で背中に手が届くので触ってみると、服は破けてワイルドになっているが出血はしていない。やはり治っているけど、体は痛い。地面で寝たせいだな(デジャブ)


「あれからどれくらい寝てたんだろ…」


気絶していたせいで今が何時かも分からない。流石にまだ朝って事は…無いよな…。


「帰ろう…心配してるかもしれないし」


倒れている熊を横目に呟く。苦しい戦いだったが、得た物も多い。あんなに強かった化け物を倒したんだ、結構強くなった筈だ。


「この化け物め…!よくもやってくれたな」


石斧を拾って熊に近付きながら悪態をつく。勝者の特権だよね、こういうのは。…小物臭い気もするけど。


「槍は……うん、いいや」


首に突き刺さってる槍は既に折れてしまって、20㎝くらいしかない。もはや槍ではない。

槍とはここでお別れだ。


そう心考えながら俺は出口へと向かう。少しの道を歩いたらすぐ出口。日を見れば結構高い。昼過ぎだろうか。


「朝ごはん作ってくれてたのに申し訳ないな…」


少し重い足取りで俺は帰路へとつく。




筈だった。




「なっ!!?」


「グオォォォ…!」


俺の背後から体をキツく締め上げるのは先程倒した筈の熊公。

熊に勝ったと思っていた俺は完全に油断していて、気付いた頃には既に4本の腕で締め上げられていた。


「ガッ…!!あ…あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」


ミシミシと嫌な音が鳴り出した俺の体。

相手の熊も酷い傷をおっているお陰なのが不幸中の幸いだろう、まだギリギリ耐えられる。しかしこのままでは本当に絞め殺される。


「ク“ッソ“…!ナメんなっ!!」


首を振り、後頭部で熊公の顔面にぶつけて抵抗する。しかし相手も中々手を緩める事は無く、小さく唸り声を出しながら少しづつ力を強めていく。


「…っ!!こっの…野郎!!しつけぇんだよっ!!」


腕や背中に激痛を感じ、これは不味いと感じた俺は何度も首を振っては後頭部を当てる。こちらも頭を何度も振ったせいで脳が揺れる。

だがその甲斐もあり、少し力が緩む。


その隙を逃さずに俺は少しの隙間から右腕を出し、熊公の右頬に強烈な肘打ちを食らわす。

お陰で遂に熊公からの拘束から逃れる事に成功。


「はぁ…はぁ……折れて…無いよな?」


折角治して貰ったばかりなのに折れてしまっては困る。困ると言うか痛いしな。そういうのは出来れば勘弁だ。


腕は内出血していてうっすら青い。

それよりも目の前にいる熊公に意識を向ける。


「お前…しつこいし、しぶと過ぎだ!」


「グルル……!」


熊公の首元を見れば、槍の破片から血がダラダラ出ているのが分かる。動いたせいで出血量が増えている。

このまま回避を続けていればワンチャン勝てるかもしれない。でもさっきは逃げようとして背中をやられた。更にタックルも怖い。


「今度こそぶっ倒してやる」


[略奪]の効果で弱体化している熊公と、ステイタスを奪った俺。何発か攻撃すれば勝てる筈だ。


そして俺は素早く熊公に接近する。巨大な爪が俺の頭を狙う。それを俺は身を低くして回避する。そしてポケットから出した物を熊公の心臓部分にぶっ刺す。


「グァ!?」


「食らえ!文明の力!!」


熊公に刺したのは以前作った石ナイフ。刃渡りは短いが刺されれば誰にだって効く…筈だ。異世界だからわからないけど。


苦痛の声を上げた熊だったが、即反撃に出てくる。すぐに反応して攻撃してきた反対の腕の方へと飛ぶが、左腕を爪で傷つけられる。


「イッ…!テメェ…!!」


熊公を強く睨み付ける。痛すぎて頭おかしくなりそうだ。そう言えば今考える事じゃないんだが、何故か異世界来てから辛い、痛い思いばっかりしている気がする。ぶっちゃけ運が無くなった気がする。


そんな考えをしている間に熊公は俺を吹き飛ばしたあのタックルの体勢に入っている。


「ヤッバ!?うわぁぁ!!」


迫る熊公のタックルを俺は、真横にダイブして回避する。しかし大体な回避のせいで体を地面に叩き付けられて地味に痛い。


俺が立ち上がっている間に旋回してきた熊公は手を大きく広げ、2足で立ち上がる。そのまま俺を潰すように4本の腕を使って倒れてくる。


その攻撃を回避するのと同時にバク転をする。バク転と同時に足を使って熊公の顎を狙う。


「へへっ!どうよ今の!こちとら筋肉だけじゃなく、軟体も極めてんだよ!!」


誰に言うでもなく、説明口調で鼻を指で擦って呟く。

予想だにしない一撃は熊を驚かせるには十分だ。


「グオオォォォ!!」


調子を取り戻した熊は俺を恐ろしい目で睨み付けてくる。それだけで足が震えるが、俺は臆せず熊から視線を外さない。


トドメを決める為に俺は走り出す。切り裂き攻撃を俺は紙一重でかわす。頬を切ったが俺は止まらない。熊公の懐に入った俺は顎を狙って拳を全力で上げる。いわゆるアッパーだ。


脳を揺らされれば生き物は意識を保つのは困難。それを狙った一撃の効果は絶大で、熊公はゆらゆらと後ろへ一歩下がり、そのまま倒れる。


「人間ナメんな!!」


ガッ!っと拳を高々と掲げて叫ぶ。

流れは変わり、俺は熊公に完全勝利した。

唐突に始まった中ボス戦を、俺は見事に勝ち抜いた。


「…念の為に脈確認をしておこう」


もう戦うのは嫌な俺は遠くから小石を投げて確認した後、ゆっくりと接近して脈確認。その後、完全に心拍が止まったのを確認(3回)した後俺は、周りを異常警戒しながら村へと帰った。





「いてて…うわっ…左腕の傷がひでぇ」


右腕に石斧を持ち、左腕に大きな引っ掻き傷がある18歳(※30歳です)の青年。実に怪しい人物が村へと向かっている。

俺だよ。


「あっ!!アキラ!いったい何処へ行ってたんだ!?」ルカ達が探して──って凄い傷じゃないか!」


村に到着すると凄い驚いた表情をしてフールさんが出迎えてくれる。


「あはは…しくじりました」


「一体何が…いやそれよりも傷の手当てからだ[治癒(ヒール)]」


「ホントすいません…」


見る見る内に治っていく傷を見ながら謝罪する。治癒してくれている間フールさんから話を聞くと、ルカ君達が探してくれているとの事。


「さぁ治ったよ。さぁルカ君達の元へ行ってあげて」


「はい!ホントありがとうございました!」


そうお礼を述べて俺はルカ君達の家へと急ぐ。





「若返ってすぐに事件に巻き込まれるとは…アキラ君も厄介な神様に加護を貰ったなぁ…」


走っていくアキラ君の背を見ながら呟く。村長が言っていたアキラ君の加護は神聖龍(じんせいりゅう)の加護ではないが、他の神の加護があると言っていた。


「神の加護がついていてあの不幸。大体予想はつくよ…」


神の加護がついていれば基本的に本人に不幸な事は起きず、驚異的な力を手に入れる。しかし神の加護持ちの筈のアキラ君が傷を負っていた。そんな不幸を呼ぶような神様は限られる。


「頑張れよ、アキラ君。この先起こる災難に少しでも幸福があるように祈ってるよ」


胸に手を当ててアキラ君へ幸せが舞い込むことを祈り、村の見張りへと戻った。


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