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127話:星砕き

アキラ、物語にいらない説。完全に主人公を装ったモブですね。主人公補正が皆無なので仕方ない事ではありますが。


久々ブックマーク増えて舞い上がってます。深く感謝を。

「兄貴の敵……取らせて貰うぞ…ッ!【厄災の十二使徒】!!」


激しい叫び声と共に駆け出したジェーン。それを風と水が数千と矢のように飛来する。だがジェーンが聖剣・鳳赫(ほうか)クリメイトリヴァイを下から振るうと、巨大な炎の壁が出現。風を散らし、水を蒸発させて炎の壁から飛び出たのはジェーン。


「───!!キイィィィィィッッッ!!!!」


数千の風と水の矢を完全に消されたジェミニだったが、巨大な絶叫と共に至る所に黒い穴が出現。前後左右そして上空に作られた無数の穴からはまるで彗星のように氷結した隕石が降り注ぐ。

その彗星は当たらなければ別の黒い穴へと入り、再度別の場所から放たれる。至る所から無限には放たれる彗星を紙一重で回避していくジェーン。


「うッ…!!危───!?」


まさに四方八方からの攻撃。俺には六剣のように隕石を真っ二つに出来るまでの技量は無い。故に回避するしか方法の無い俺は、飛んで左へと回避した瞬間下から彗星が飛び出る。


──俺の体に傷を作るな


アスモデウスの声が脳内に響くと同時に、左腕が勝手に動き出す。俺の左腕は飛び出た彗星を粉々に砕く。

見れば俺の左腕は丸々ピンクの電気で出来た腕へと変化していた。しかも指が発達しており、まるで爪のように鋭い。


「勝手な事するなよ!これじゃあ弓を使えないし…!……てかこの体は俺のだからな!?お前のじゃねぇから!!」


揉めながらも俺は地上を駆ける。

弓は使えなくなってしまったが、剣の代わりには十分過ぎる程の威力を持っている。形状はアスモデウス任せであるため、ここからの変化は出来ないものの、飛び交う彗星を砕き進むには必要な爪だった。


「く、そっ…!片翼じゃ飛べねぇから回避がしずらい…!!」


──な、ら……わた、しを…宿、す…?そう、すれば……飛べる、よ…?


「ッ……それは……」


脳に聞こえたレヴィアタンの声。同時に悪魔の能力を使用出来れば、空を飛べるし切り替えの時間さえも省けるだろう。悪魔固有の能力である電気と水、そしてスキルを使える。

だがあまりにリスクがデカ過ぎる。


『抑えられるのか…?俺に……』


──で、も……いいの、かな…?周りを、見て……そんな迷ってる、時間…ある…?


レヴィアタンの言葉を聞いて、俺は辺りを見回す。そこはまさに地獄のような状況が広がっていた。融合したジェミニが破壊の限りを尽くし、竜巻や津波を引き起こして暴れまわる。聖剣士4人と六剣士を相手にしているにも関わらず、この被害。弱点の頭にさえ近付く事も出来ない。


ヘイトを俺が集めれば……空を飛べたなら、、



「……わかった、来い…!どちらにしろ主人公は乗り越えなきゃいけない道なんだ…フェーズ2と行こうじゃねぇか!来いよ、レヴィアタン!!」


その瞬間、俺の中でも溢れる強い感情。

嫉妬、羨望、憧れ、劣等感……心がグチャグチャになるような不快な感覚と2つの負の感情。それを解放出来ればどれ程楽だろうか。

だが、、


「お、れ…は…ッ!絶対に……!!負け、ないッ!!」


俺は叫び、1歩前に足を出す。思考を邪魔してくる負の感情を抑えながら走り出す。

右側の背中がムズムズしてくる。それを解放すると、背中を突き破って生えてきた黒い翼。

左右非対称の黒い翼と蒼とピンクのオッドアイと化した瞳。


「俺、は負けない…!」


走り出したアキラは、足に力を込めると同時に飛び上がる。左右非対称の翼をはためかせ、空へと舞い上がったアキラは黒い涙を手へと集め、槍へと変化させる。


「チィ…!やっぱダメか…!────ッ!!」


高速の槍を投げたが、それはジェミニの頭に当たる直前に黒い穴が出現。その穴に飲まれた槍は俺へと返される。


「遠距離攻撃は全てダメになったのか…!?水のジェミニがやられたのを見ていたせいか…!!」


ならもう電気の矢は通用しない。唯一と言っていい攻撃が通じないのは痛すぎる。

そうなると近距離での攻撃しか出来ない。


「クソッ…!」


そう舌打ちしながら電気の鞭を生み出し、飛び交う彗星を捕縛。そしてそれを武器にして振り回す。まるでレムのモーニングスターのようだ。


『不用意に突っ込めば大爆破が起こる……それを消して進めるのは恐らくこの場で俺だけだ。……俺が体を張らなくては…』


彗星を砕き、どんどん近付いていく俺に顔を向けたジェミニ。全身から嫌な汗が流れるのを感じると同時にジェミニが叫ぶ。


「うぐッ…!!?」


超音波のような竜巻が俺を飲み込む。全身を切り裂くような風の刃と鼓膜を突き破り脳を揺さぶるような超音波。

まるで水中で回転しているかのようにどこを向いているか分からない感覚で吐き気がこみ上げる。


「ッ…!み、ミル…!?」


「大丈夫…?アキラ」


かなりの距離を吹き飛ばされた俺は、誰かに受け止められた。誰かと顔を見ればミルが俺を抱えていた。……お姫様抱っこで。デジャブを感じる……


「こんなに傷が……頑張りすぎだよアキラ……」


「心配ありがとう、でも平気だよ。……後下ろしてね」


そう言うとミルは俺を下ろしてくれる。一体どうやって空中では下ろしたのか……そう考えていると、足元は氷の台が出来ていた。見晴台のように出来ている巨大な氷の塔を狙った水の波動。


「危ないミルッ!!」


瞬時にミルを抱えて氷の塔から逃げる。翼を広げて空を駆けながらジェミニの攻撃を回避。そして地上へと向かいミルを下ろす。


「遠距離攻撃は反射される。だから近距離で弱点を突く必要がある。俺がその隙を作る。だからミル達が決めてくれ」


「わかった。でも……死なないでね…?」


「おうとも!」


そう言って拳を合わせ、お互い走り出す。

空へと舞い上がった俺は、高速で移動する。狙い通り俺を狙ってくれるお陰で六剣達の攻撃が入りだした。


昇る巨大な火柱。それを発生させたジェーンは炎でその身を燃やしながらジェミニへと猛攻を仕掛ける。切り裂かれた場所は焼かれ、再生が出来ていない。


「ギィィィィィイ~~~ッッ!!!」


痛みからか、怒りからか…ジェミニは4本の腕を使って風と水を生み出し周囲の地形を変える。それでも攻撃の手をやめないジェーンへ、ジェミニはその巨木のような足で上へと蹴り上げた。


「ジェーンッ!!?」


激しい音と共に上に向かっていく肉の塊。それはジェーンの姿だった。あの蹴りを喰らってはとても生きてはいられない。俺の中に消失感が生まれた瞬間、血だらけのジェーンは紅い炎に包まれる。


「────イテェじゃねぇかこの野郎ッ!!」


燃え盛る紅い炎から姿を現したのは完全に再生したジェーンの姿だった。

ジェーンはそう怒鳴りながら、聖剣を振るうと巨大な炎の柱が生まれ、真っ直ぐにジェミニへと向かっていく。風や水では対処が出来ないレベルの熱を持った炎。それを飲み込もうとした黒い穴ごと貫く紅い炎。


ジェミニの悲痛な悲鳴が地上からする中、ジェーンが俺に向かって叫ぶ。


「アキラッ!!このまま一気に決めるッ!!力を貸してくれ!!」


「了解したッ!!」


1人では届かなくてもジェーンと友になら…!

俺は黒い水とピンクの電気を合わせ、2つの属性を宿した細剣を生み出した。


「チャンスはこの落ちる瞬間だけだッ!!絶対外すなよ、アキラ!!」


「そっちもなッ!!」


重力による落下スピードではまだ足らない。ジェーンは背中から炎を出してジェット機のように加速。対して俺は翼に力を込めて、限界まで翼に力を込めてはためかす。


次々と放たれる高速の光線を回避しながらジェミニへと近付いていく俺達。

ジェミニの頭まで残り100mまで迫った所で、ジェミニの首から顔にかけて水膨れのように膨張しだした。


『アレがエクスさんを死に追いやった大爆発だな…!そんな事させる訳ねぇだろうがッ!!』


アキラは右目の一際蒼く染めて[羨望(エンヴィー)]を使用。だが消したそばからすぐにジェミニは体を爆破させようとしてくる。


「ガッ…!!ガアアア…ッッ!!」


ならば俺も続けて[羨望]を使用し続けた。体が裂けるような痛みを堪え、内臓を掻き回される吐き気と激痛に耐える。

残り30mを切った所でジェミニは2本の手を使って壁を作り出す。


「無駄だッ![焰戒(えんかい)]ッ!!」


クロスに振られた聖剣から生まれた赤黒い炎が手を焼き付くして切り裂いた。だがまだ2本の手が残っている。


「邪魔だっつってんだろッ!!」


アスモデウスとレヴィアタンの力を使い、黒い水の刃とピンクの雷の刃を作り出し、そこから[情欲(ラスト)]の能力で複製。この幻覚の刃は本物となる。


「ギイイイイイイイッッッ!!!!」


4本の手を落とされたジェミニはその痛みから泣き叫ぶように絶叫。鼓膜が破れる程の音を無視して、俺とジェーンは最後の一撃を放つ。残り15m。


「[絶炎之暁(ぜつえんのあかつき)]ッ!!」


「[天雷水牙(てんらいすいが)]ッ!!」


太陽が昇るように、辺りを照ら水中で眩い炎と、落雷のように、水圧の刃のように鋭い2属性の一撃。

俺とジェーンの技が1つになる。


「「はああああああああッッ!!!!」」


「ギイイイイィィィィィアアアアアアアアッッッッ!!!!」


2人の剣がジェミニの額にある輝く星に突き刺さる。体を大きく揺らして大絶叫をするジェミニに、2人は振り落とされぬように必死に剣を刺しこみ、必死に耐える。

ジェミニの顔の至る所が膨張し、爆音と共に破裂。熱風が2人の肌を焼き尽くす。だがそれでも2人はその剣と共に折れる事はなく耐え続けた。

そして、、


バキンッ…


砕ける音と共にジェミニの発光していた体が収まり、声が止まった。


「勝った…のか…?」


「それフラグ……でも俺達の勝ちだ……」


崩れるような音と共に、ジェミニの体が黒く染まり、ブヨブヨと柔らかく変化していく。それはまるで【星屑の厄】を倒した時のように体を崩壊していっている。


このままでは俺達2人は転落してしまう。漸くジェミニを討伐したにも関わらず、そんな下らない理由で死ぬのは嫌だった。

俺は爛れ触れただけでも痛い体に鞭を打ち、残る力でジェーンと共にこの場から離脱する。


『………あ…?何だ…?』


ジェーンを両手で掴みながら飛んでいると、背後から光を感じて振り返る。

そこには地面に横たわるジェミニに亡骸がある。黒く染まった体に流れる青いライン。それが何度も点滅していた。


「ッッッ!!!!」


全身から噴き出した汗。今までに無いくらいに音を鳴らす心臓。全身から体温が抜けたようにひんやりとする。

俺は喉が裂けるような声で地上の六剣達へと叫んだ。




「皆今すぐこの場から逃げろッッッ!!!!──────爆発するぞッッッ!!!!」


蛇足・嫌いな人は飛ばしてね。


読んでいて分かるとは思いますが、双子宮のジェミニはかなり弱い部類です。能力事態が2体に増える事と、器用な業を使うタイプなので。もしジェミニがルミナスに聖剣士が6人いた頃にに出現していれば、討伐出来ていたレベルです。そもそも設定上【厄災の十二使徒】は十数年に1度現れるかどうかです。何体も1年の内に出現する事自体が異常な訳です。

以上、多分物語に登場しない設定でした。表現力と文力無くてホントすいません…

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