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113話:焦りからくる心情

この回では、主人公の性格が大分変化しているように見えますが、タイトル通り焦りからくるモノであり、割りとこんな奴です(予防線)



そして話し合いの末、俺とミル、そしてルナとソルはエリーンさんの家に泊まる事になった。

流石に瓦礫まみれで風通しが良すぎる部屋では無理だと判断したからだ。


もうじき夜がくる。明日になれば2人はまた1人になってしまうが、今は警戒の方が大事だ。


『しかし……天使に悪魔か、今更ながら凄いな、異世界って。今日は仕掛けてくるんだろうか…』


エリーンさん家の小庭にある椅子にもたれながら流れる雲を見ながらそう考えていた。


「何考えてるの…?」


「ん…?ああ、ミルか。いやちょっと今後の予想をね。それに久し振りにあったエリーンさんとの再開を邪魔する訳にはいかないしな」


俺の隣に腰掛けたミルは、首をコテンの可愛らしく傾げた後にニコッと笑う。


「優しいんだね」


「そんなんじゃないよ。ただ1人の時間が欲しかっただけだしっ!」


「ふーん…?ならボクもいない方がいい、かな?」


悪戯っぽく目を細めて俺を見つめるミル。その口元は若干緩んでいる。

こんな顔も出来るんだなとちょっと驚きながらも俺は慌てて否定する。


「ふふっ…!冗談だよ」


「よ、良かった…」


チロっと可愛らしく舌を少し出して微笑むミル。ミルのヒロインムーヴがエグいんですが…?

っと考えながらも、実はミルって主人公なんじゃないかと少し思ったりもしている。起こるイベントの殆どがミルを中心に起こっているからだ。


『ほんのちょっりぴりだけ?羨ましいなぁ~っなんて思ったり?なんて…』


これはきっと[羨望(エンヴィー)]やレヴィアタンの影響など関係無く抱えている物。ホント自分でも嫌になる。でも羨ましいなモノは羨ましい。

そんな事を考えている内に、ため息が出てしまった。


「もう…またため息が出てるよ」


少し俺を咎めるような目をして、白くて細い指で俺の頬をぷにっと突っついたミル。え、何これ。今日のミルはなんだが凄く積極的というか何というか…。…え、こういう時ってどうすればいいんですか?


「…?どうしたの?顔、赤いよ?」


「~~っ!何でも…ないよ」


そのセリフは天然系のハーレム主人公が言うんじゃないんですかねぇ……

そんな不思議そうに見られても困るよ、ミル……


「あっそうだ。俺筋トレしないと!」


俺は普通の流れでその場で腕立て伏せや上体起こし等の筋トレを開始する。

それを不思議そうに見た後に、小さくクスクスと笑っている。


「アキラは分かりやすいね」


「うっ…!そんな事は……無いと思うけど…」


「ふふっ、そうかな?」


そう言って笑顔で微笑んだミル。ミルは初めて会った時と比べて、本当に笑顔が増えた。冷たい顔もいいけど、やっぱり笑顔って素敵だな。

俺はミルの笑顔に見惚れながら、俺も笑顔を向けた。


──────────────


そしてその日の夜。俺は1人、エリーンさんの家に近い公園へとやって来ていた。ここは時計台がある巨大な公園程広くは無いが、体を動かすには十分な広さだ。


「はぁ…!はぁ…!………………もっとだ」


上体起こし、腕立て伏せ、シャドウ、極真の型、走り込み、魔法練習、そして最後に剣術。その全てを俺は1人でただ黙々とこなしていた。


何故それを行っていたか、それはとても簡単な事だ。

新たに仲間になるルナやソルの実力や才能を目の当たりにした事で感じた“焦り“。それが俺を動かした。


「もっと頑張らなくちゃ…俺は………俺は…!」


そう呟いた俺は再度細剣を振るう。

なりたい自分になる為に。夢を叶える為に。師であるミルに認めて貰う為に。……お荷物にならない為に。


だがその想いとは裏腹に、ミルと共に稽古を続けているが未だに[終雪(しゅうせつ)]の内3つの[霧雪(きりゆき)][氷冠(ひょうかん)][砕氷(さいひょう)]しか習得出来ていない自分に苛立ちを覚える。

一朝一夕では無理なのは分かっている。それでも焦らずにはいられなかった。


「俺にもっと力があれば……くそッ…」


そう溢れた言葉を気にしないようにして、俺はタオルで汗を拭った。

どれだけ焦っても仕方のない事だ。地味ではあるが1歩ずつ進んで行こう。…皆に迷惑を掛けない内は。


「はぁ……体を動かしたらスッキリしたな。………帰るか」


そう呟いて、細剣を鞘に納めてエリーンさん家へと戻ろうとした時だった。

眼に反応があった。それは近くに“同類“がいる事を示す反応だった。


「まさかアスモデウス…!?この方角は……」


不安を抱いた俺だったが、眼が示す先はエリーンさんの家でも【太陽と月の交差】があった場所でもない。それはミルと稽古していた時計台のある公園の方角だった。


「…………」


頭に過ったのは罠。俺が1人になった時を狙ったかのようなこのタイミング。怪しまずにはいられない。普段の俺なら向かわず、ミル達には相談していただろう。

だがこの日の俺はその方角へと向かってしまった。たった1人で、、








「ここか」


到着したのは時計台のある公園。眼が導くのはこの先の公園中央にある巨大な時計台。そこから同類の気配を感じる。

俺は暗い公園の中へと入り、時計台へと向かった。



「…………ふぅ…」


時計台前までやって来た俺は、時計台の中から感じる気配に汗を流す。そのまま時計台の裏へと回り、中へと入れる扉の前に立った。よく見れば扉の鍵が壊されているのに気付く。俺は懐から[纏雷(ドンナーシュラーク)]を構え、ゆっくりと入っていった。


階段を登って行けば行くほど強くなる気配。それは完全にアスモデウスの時と同じだった。

そして階段を登りきった所で、俺は[纏雷]をソイツへと向けた。


背後にある巨大な時計を背に座り込んでいる黒い服装をに淡いピンク色の髪をした男。その男はゆっくりと顔を上げ、俺を見て少し驚いた顔をした。


「ははっ……まさか来るとはなぁ…正直賭けだったんだがなぁ」


額から血を垂らしたアスモデウスは小さく笑い、そして咳き込む。よく見れば身体中に傷があり、もはや立てるとも思えない程衰弱していた。


「……何の用だ?わざわざ俺を呼び出して」


「そう警戒するなよなぁ……俺は、お前に助けて貰いたいんだよ」


「………は?」


アスモデウスが俺に助けを求める?何をバカな事を言っているんだコイツは。数時間前までミルやルナ、ソルを殺そうと奴を助ける?警戒するな?コイツは本気でそう言ってるのか?


「あまりふざけた事を抜かすなよ、アスモデウス。本当の事を言えよ。お前らの組織に俺が入れって話なんだろ?」


「はっ…!ツクヅクお見通しってか。そうだよ、お前の言う通り“嫉妬“を宿したお前を連れ帰れと言われた………だが、助けて欲しいのは本当だ……」


そう言ったアスモデウスは吐血しながら再度咳き込み、話を続けた。


「宿主との関わりを切られた俺は…再生もろくに出来ない体になっちまったぁ……このままじゃ俺はクソ天使にやられた傷でいずれ消滅する………俺は…死にたくない…ッ!どれだけ惨めでも死ぬのだけは嫌なんだ……!ゴホッゴホッ……」


俺がこのトリガーを引かなくても、アスモデウスは数分としない内に消滅する。そう分かる程弱々しく体を引き摺りながら俺の元へと近付いてくる。


「頼む…ッ!俺をお前の体に宿させてくれ……!お前に危害を加えない事は約束する………契約したっていい…!悪魔の契約は“絶対“だ……!何があっても守る…!だから──」


「いいよ」


「…!!本当──」


「ただし、俺にお前の……アスモデウスの力をくれ。そして俺と周りの人物には危害を加えるな。それを守れれば……俺はお前に協力する」


たとえどれだけ危険な存在だろうが、俺やミル達を殺そうとしていた奴だろうが、俺が契約で抑え込めばいい。

そして本心はとても単純。ただ力が欲しかった。七つの大罪に憧れていた。それだけだった。


「ああ…!約束しよう。俺はお前と“契約“する…ッ!」


その言葉を言った瞬間、アスモデウスの体はピンクの煙となり、俺の体の中へと入っていった。


──ドクッ……


俺の中にアスモデウスが入っていくのを感じる……そして、、


「ガッ…!!──あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“ッッ!!!!」


真夜中の時計台内にて、若い男の断末魔のような絶叫が響いた事は、誰1人として知る者はいない。

弱体化していたせいで、アキラのステイタスには反映されていませんが、アスモデウスはアキラの中に宿り、体を再生させています。


尚、七つの大罪系の悪魔は決して宿主の味方ではありません。自分の都合のいい方にベッドします。同じ系統でも、結構仲が悪いです。



ここまで読んでくれた方は分かっているとは思いますが、アキラは結構情緒不安定であり、30歳になっても転生するもんだと思ってる程……あの…頭がね…?あれなので、、

この機会に次の後書きにでもアキラのスキル以外のプロフィールを載せようかと思ってたりしてます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こ、こここ、これは……!! 大罪コンプリートフラグですか……!? アキラくんが日に日に強くなって嬉しいけど、どこかで”ツケ”を払わなくっちゃあな。 [一言] ソルとルナも仲間になり、パーテ…
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