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112話:終戦と仲間イベント

ブックマーク70をキープせねば!

優雅に空から降りてきた美少女、ウリエルは両手を合わせて謝罪の言葉を言うと、4つの光の十字架によって拘束されたアスモデウスへと視線を向けた。


「随分と成長が早いと思ったら……先代の生き残りだったのかー…」


「テメェは…!何でここにクソ天使がいやがるんだ!?」


驚愕の表情をしたアスモデウスは、光の鎖を必死になって破壊しようとする。鎖が壊されたら今すぐにでも逃げ出しそうな剣幕で。


「無駄だよー。人間ちゃん達が頑張ってくれたお陰で、堅固な[神聖なる聖域(ホーリサンクチュアリ)]を展開する事が出来たからねー」


そう言いながらウリエルはアキラの元へとやって来て、手を翳すと貫通した腹部が再生されていく。


「凄いっ…こんな完璧な回復魔法、初めて見た…!」


同じ魔法が使えるルナは驚きつつも、興味深そうに治癒を見る。それに対して苦笑いのウリエル。

やがて完全にアキラの傷は塞がり、次にルナとソルの元で倒れている水色の髪をした魔女、エリーンへと歩み寄る。


「や、やめろッ!!その女に触れるな!!」


「んー、それは出来ない話かなー。[浄化(カタルシス)]」


エリーンのおでこに人差し指を置いたウリエルは、白い光を指先から出すと、エリーンの体から黒い靄のようなものが溢れる出てきた。


「よしっ、これで悪魔との関わりは切れた。この人間ちゃんは元の人格に戻ったよー」


にこやかにそう言いながら俺達へと振り返るウリエルに対し、憎悪にまみれた顔で此方を──いや、ウリエルを睨み付けるアスモデウス。


「よくも…ッ…!!やってくれやがったなぁ…!!クソ天使がッ!!」


「宿主との関わりを切られた悪魔は感情提供されなくなり、力を落とす……本当にそうなんだねー」


話の流れ的にウリエルが悪魔との関わりを切ったようで、アスモデウスは弱体化したらしい。

そしてウリエルはチラッと俺の方へと視線を向け、俺のおでこに人差し指を伸ばしてきた。


「君も念のため[浄化(カタルシス)]させて貰うよー」


「や、やめてください!」


俺はその手を弾いた。レヴィアタンに操られたとかじゃない。俺の意思で弾いたのだ。


「俺を2度も助けてくれたのは感謝してます。でも俺にはコイツの力が必要なんです。危険なのは分かってるけど……消されちゃ困るんですよ…!」


「んー…君は本当に分かってるのかなー?いい?人間に宿った悪魔程危険なモノは無いんだよっ?大体何でそこまで…──っ……まさか君…悪魔と契約したんじゃ────」


俺を少々強い目付きでそう言い掛けた時、ウリエルの背後でガラスが割れる音と共に黒い雷のような物がどこかへと向かうのが見えた。


「っ…!まさか[神聖なる聖域]を破壊するなんて…!!」


そう発しながら大きな蒼い翼を広げて黒い雷を高速で追い掛けるウリエル。

突然の事に茫然としていると、エリーンがゆっくりと起き上がった。


「あら…?ここは…どこかしらぁ…?」


「エリーンさん…でいいんですよねっ…?」


「…?何を当たり前な事言って───ってどうしたの!?」


「良かった…!エリーンさんだ…!」


涙を流しながらエリーンに抱き付いたルナ。それを驚きながらも優しく撫でるエリーン。


「色々と聴きたい事もあるが…今はグリモバースへ戻った方が良さそうだな」


「ん…そうだね」


分かっていたが、こんなに大事になったんだ。ここにいてはまた魔導局の者に捕まってしまう。もう1回あそこに行くのは嫌だ…!


取り敢えずここは魔物も出るので、一旦はルナとソルの家へと向かう事になった。


───────────────


その後2人のお店の付近に到着すると、沢山の野次馬と現場を検証している魔導局員達がいた。店の持ち主である2人に事情聴取した結果、炎魔法での攻撃と断定。すぐに犯人を探す為に局員達は帰っていった。


まだ野次馬はいる為、比較的被害の少なかった居住スペースへと向かう。


「私達のお店が…」


「仕方無い、で片付けたくは無いが…今回はやむを得ないな」


瓦礫と化した【太陽と月の交差】を悲しげに見つめる2人。今は無事だった事を祝いたいが、俺が言うにはあまりに部外者過ぎた。


「ねぇソル君…これは一体どういう事なのかしらぁ?」


「何と言えばいいか……攻撃されたのいうか…」


オロオロとしながらソルに何があったか聞くエリーンと、当事者であるエリーンになんて言えばいいか困っているソルは、若干濁してそう言った。


「あのエリーンさん、でしたね?」


「ええ…そうですけど…」


「俺はアキラと言います。端的にお訊きしますが、何があったか覚えてますか?また最近の事は覚えてますか?」


俺がそう聞くと、エリーンさんは少し俯いて思い出すように黙る。暫くの間があいた所で口を開いた。


「最近の記憶は全く無いの……でもかなり前の事なら記憶にあるわ。朧気ではあるけどね…」


「朧気でも構いません。教えてくれませんか?」


「ええ……確か1年くらい前の事だったわ。用事があって遅くなったその日、私は夜の街を歩いていたの。その日は不気味なくらい人がいない日で、そこで……」


「そこで?」


「道の真ん中で立っていた黒い服にフード深く被った男性がいたのよ…」


黒い服にフード深く被った男、か。その格好から考えるにメランコリーの可能性がある。だとしたら1年前から動いている事になるな。


「その男性は私に向かって『うんうんうん、素晴らしい器だ。君が丁度良い』と言って、小さな箱を開けたわ。そこから出てきたピンク色をした煙が私の体に巻き付いてきて……そこからの記憶はあまり………力になれなくてごめんなさいね」


「いえ、十分情報は頂けました。な?ミル」


「ん。やっぱり繋がってたね」


俺の事を殺さずにどこかへ連れて行こうとしている時点で薄々分かってはいたが……やはり裏で繋がっていたようだ。

ならいっその事、わざと仲間になったフリをすればコルさん達には辿り着くんじゃないだろうか。……なんて言ったら俺はミル滅茶苦茶怒られるだろうな。


「しっかしどうしようか……まだアスモデウスが消滅した訳じゃない。つまりルナやソルを狙ってまた来る可能性がある」


「仕掛けてくるなら今夜…?でも手負いだから……いつになるか分からない…」


俺とミルはうーん…と唸りながら考える。アスモデウスがいなくなるまでここでルナとソルを護ってはいられない。俺達にはやらなくてはならない事があるからだ。


「ねぇ…1つ提案なんだけどさっ…?その…私達も2人の旅に同行するってのどう、かなっ…?」


おっ?


「ボク達の旅はとても危ない……それこそ今回のような戦いが毎回起こると言っていい……」


「私達と同じ辛い想いをする人を無くしたいっ…!その為だったらい、命だって張れるっ!!辿り着く目的は2人と同じ……」


「俺だって姉さんと同じ思いだ。絶対にあの野郎を赦せない…!……それに店もこんなんだしな……」


おおっ?


「……正直おすすめはしない。けどその想いが本気なら、ボク達の方からもお願いしたい」


そう言ってルナとソルに頭を下げたミル。これはまさか…!


「私達の方こそよろしくねっ!ミルちゃん、アキラ君っ!」


「まぁその……よろしく頼むよ」


そう言ってニコッと笑うルナ。可愛い。そして少し恥ずかしそうに目線を反らすソル。ある意味可愛い。


『おおおおおっ!!仲間入りイベントだあああ!!』


ポーカフェイスで『よろしく頼むよ』と言ったが、内心俺は大絶叫。イベントが発生した事が嬉しくて思わず表情を緩ませる。


聖剣使いのミル。全魔法が使えるルナ。攻防一体万能タイプの魔道具使いソル。危険指摘魔物の子供シアン。黒い服装をした変な剣士アキラ。

全体的に隙の無いチームになるな。


『ん…?あれ…?主人公ってどれだっけ?ある意味一際浮いているのが俺ってどうなの?いやまあ……主人公ってのは他とは違うって言うし……これでいい、のか…?うーん…』


「何だかよく分からないけれど…良かったわね、ルナちゃん、ソル君」


そんな俺の思考はエリーンさんの言葉によって切られた。色々と思うところはあるが…今日は2人が無事だった事を祝おう。

そして俺より強い新たな仲間を歓迎しよう。

宿主との関わりを切られた悪魔は、力を劇的に落としてしまいます。力の増加も無ければ、再生もろくに出来ない。

もう1段進化すれば、宿主との関わりも関係無く活動できるのですが、その為には強い指定の感情が必要となります。


[纏雷](ドンナーシュラーク)

ソルに作って貰った小型レールガン銃。

モチーフは完全にありふれのドンナーであり、シリンダーまで完全再現されてはいるが、ただの飾りであり、普通にマガジン式の銃である。段数は12発で、本人曰く、いちいち入れてる暇無いらしい。

レール状に敷き詰められた大量の雷の魔石によって、弾丸が加速される仕組み。

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― 新着の感想 ―
[一言] 纏雷のルビヤバくないですか? まだブックマークはしてないですが、最新話になったらするつもりです。 応援しております♪
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