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111話:色欲のアスモデウス

そろそろ終わりそう。

膨大な電気を帯びた衝撃波によって、覚醒したアスモデウスを中心に円上に広がる魔森林(マジック・フォレスト)だった場所。


「くくくッ…!ふははははッ!!素晴らしい!素晴らしいぞ!力が無限に溢れるようだ!!」


高々と両手を広げて太陽を浴びるアスモデウス。淡いピンク色をした長い髪を後ろで一本にした髪型。真っ黒のトレンチコートのような服装と一見人間のように見えるが、悪魔と知らしめる捻れた片角に黒の翼。そして以前よりも黒ピンクに輝く瞳には紋章が描かれている。

同じ系統の悪魔であるレヴィアタンにはその眼に描かれた紋章の意味は理解していた。


「色欲の魔眼……面倒、だ……」


眼が合うだけ即洗脳という能力を持つ魔眼。そしてアスモデウスの能力は魅了に幻覚を司る。実に厄介で面倒な悪魔だ。


「まぁ……殺す、んだけど…」


眼から溢れる黒の涙を操作して、複数の水滴が弾丸へと化す。それを更に動かす事で、無限に追尾してくる弾丸になる。

アスモデウスを囲うように展開された[黒水(こくすい)]だが、アスモデウスはそれを電気の壁によって蒸発させる。


『触れ、たら…感電死、しそう……』


そう呟きながらも、もう1度[黒水]を展開する。[羨望(エンヴィー)]がある自分には、如何なる能力も意味を持たないからだ。


「ほう、壁を消したか。だが……今のお前にはそれが限界だ、そうだろ?」


黒水が被弾したアスモデウスだったが、体を煙のようにしてその場から消えた。そして俺の周りに現れた十数人のアスモデウス。


「……幻影、か」


「ご名答。今の俺は気分がいい、お前は生け捕りで連れて帰る」


十数人のアスモデウスは両手にピンクの電撃を溜めて喉を鳴らして笑う。

明らかに下に見られているその態度に、アキラは表情を少しずつ歪ませていく。


「──死なない程度に死ね!!嫉妬ッ!!」


全方位から放たれた電撃の塊。それは幻影なんかではない実態を持った電気。明らかに空へと誘い込まれているのを承知で、シアンの羽を使って飛ぼうとした時だった。


「アキラに…!手を出すな…!!」


その声と共にアキラを守るように地面から生えてきた氷塊。そして上空から降り注ぐ氷柱がアスモデウスの体を貫いた。


アキラの横に立ち、本体と見られるアスモデウスに向けて聖剣を向けるミル。


「何、で…?」


「今はいつものアキラじゃないのは分かってる。それでも………それでもアキラに辛い思いをして欲しくない。だからボクも戦う」


アキラの顔を見ずに、鋭い眼差しをアスモデウスに向けたままそう言ったミル。それを見たアキラは勝手に口元が緩むのを感じた。()()笑っているのは契約者だとレヴィアタンはすぐに理解した。


「くくく…!くくくくく…ッ!!聖剣使いに同類の悪魔!最高の相手じゃねぇかぁ…!ああ……興奮してきた」


紅潮させながらアキラとミルを見つめるアスモデウスは、自分の股間を撫でるように触れて笑う。

笑い続けていたアスモデウスだったが、突如顔が爆発する。否、それは炎の魔法が当たった事で起きた現象だった。


「……何のつもりだぁ?ルナちゃん」


顔から煙を出しながら炎魔法を放った本人へと顔を向けるアスモデウス。その先には震えるように杖を向けているルナと、それを支えるソルがいた。


「あなたから感じる魔力だけで足が竦む……───でもっ…!だからってお父さんとお母さんを殺したあなたがまた好き勝手に生きるのは許せない…!」


ルナは自らの足で立ち、杖をアスモデウスへと向けてそう言い放つ。


「だからここで終わらせるんだ…!もう2度と俺達と同じ思いをする奴らが生まれないように!」


ルナの横に並び立ち、そう叫んだソルは姉のルナと同じように剣を向ける。


「俺と「()()が!」」


「「お前(あなた)を倒す!!」」


ソルとルナ、2人の声が重なった瞬間、鼓舞するかのように日食の光が2人を照らした。



──俺と私じゃなくて私達、か………レヴィアタン…もういいよ、ありがとう。後は俺に任せてくれ。


『……分かっ、た…でも死んじゃダメ、だからね…?』


──ああ、勿論分かってるよ。


その言葉を最後にアキラはゆっくりと瞳を閉じ、そしてまた開く。その眼は黒い蒼ではなく、サファイアのように輝く蒼。


「ただいま、ミル」


「…!お帰り、アキラ」


隣に立つミルは驚いたように眼を見開いた後、優しく微笑みそう言った。

こんなにも頼もしい仲間がいるんだ。例えそれが“色欲“のアスモデウスが相手だろうと、何も怖くはない。


「はっ!!どんな意思を持ち、どんな奴らが手を組んだ所で所詮は無駄ッ!!お前らごときじゃ俺には届かない」


「それはどうかな?人間ってやつがどれだけ強いか……お前に見せてやるよ!!」


その言葉を皮切りに、俺はシアンの羽を使って高速で加速して体を捻り、アスモデウスに向かって回転刺突を放つ。


「バカがぁ!!わざわざそっちから来る───チィ…!!」


「させないよっ!!」


反撃に出ようとしたアスモデウスを狙い撃つルナの炎球。それが邪魔をして反撃に出られない。炎球を回避した事で出来た隙をミルが突く。


胸に傷をつけらたアスモデウスは忌々しそうに表情を歪ませながら十数人へ増える。

だが、、


「姉さん!アイツだ!!」


「任せてっ!!」


ソルの手に持つ魔道具によって本体を看破され、そこを姉のルナがジェットのような高水圧で狙い撃つ。

本体に命中し、幻影が消える。

完全に俺達の優勢。その筈だったんだ……



「こんな…!!バカな事があってたまるか…!!俺は“色欲“のアスモデウスだぞ…!?72柱の悪魔が人間ごときに敗ける訳にはいかねぇんだッ!!」


身体中に帯電させている電気を両手に集めたアスモデウスは、電撃の形状を変化させていく。

それはまるで鞭──いや蛇の魔物のような大きさで、それを左右それぞれに宿している。


「ッ…![氷冠(ひょうかん)]!!────カハッ……ッ!!??」


盾として生み出した分厚い氷の塊。だがそれを易々と貫いたピンクの電撃の鞭は、真っ直ぐ俺の腹に向かって突き進み、[羨望]を使う前に俺の腹を貫いた。


「アキラ…!!」


ミルの叫び声が聞こえる。ボヤけてきた視界には刻一刻と迫る電撃の鞭。回避しようにも貫かれた腹から嘘のように溢れる出る血のせいで、意識が遠退いていく。


「アキラッ!!」


だがそんな危機的状況を救ったのはソルだ。もうすぐそこまで迫っている電撃の鞭を気にもせずに、俺を抱き抱えて素早く逃げ回る。


「ここはボクが抑える…!だからアキラを…!!」


「ああ、分かってる!──姉さん、頼めるか!?」


「大丈夫…!今すぐならきっと…!」


ミルがアスモデウスの電撃鞭、プラズマ衝撃波、電気砲を全て聖剣の吹雪で書き消している間に、ソルはルナの元へと急ぐ。

ルナも焦りの表情と共にすぐに回復魔法を掛ける。だが、、


「っ…!だ、ダメ…!体内の損傷が激しすぎて私の[治癒(ヒール)]じゃ治しきれない…っ」


「そんな…!姉さんでもダメなのか…ッ!」


今も尚[治癒]を掛けているが、ドクドクと出血が続く。ルナが掛けている魔法では止血にもならない。


そんな中、アスモデウスの猛攻を1人で耐えているミルにも限界が近付いていた。

顔や膝などにある無数の傷からは血が出ている。回避してもカクンと曲がり追尾する電撃。氷の壁や[氷晶(ひょうしょう)]さえも貫く電撃鞭。それらから受けたダメージによって、ミルは息を切らす。


「死ね!死ね!死ね!!俺の邪魔をする奴等は死んでしまえッ!!」


黒い翼を広げ、ミルの剣が届かない場所まで移動したアスモデウスは、両手で下へと翳す。

すると帯電していた全ての電気が集まり、ピンクから完全な黒へと変色した巨大な電撃が放たれる。


『対処が出来ない…!』


焦りと絶望の表情をするミルだったが、それはすぐに驚きへと変化した。

突如放たれた黒の電撃が消滅したのだ。それと同時に聞こえてきたアキラの身を切るような絶叫。振り返れば、眼と口から血を出したアキラがそこにはいた。


「お前はつくづく俺の邪魔をしやがってッ…!!」


怒りの表情のまま、両手に集めた黒の電撃をもう1度放とうとするアスモデウス。だが代償の大きい[羨望]をもう1度使うにはあまりに深傷過ぎるアキラ。それでも、、


「ッ…!![羨望]ッ…!────ぐあああああッ!!!!」


[羨望]を使用してアスモデウスの攻撃を消し去る。その瞬間にアキラは眼や鼻から大量の出血をする。それと同時にミルとルナ、ソルが動いていた。

アキラの作った隙を逃さないと言わんばかりの剣幕で、ミルが吹雪を纏わせた斬擊を飛ばし、ルナが巨大な岩魔法、そしてソルはアキラの銃を使って狙い撃った。


攻撃を2度も消され、アスモデウスに生まれた完全なる隙を3人は突く。

三者三様の攻撃は全てアスモデウスに直撃し、耳を塞ぎたくなるような絶叫と共にアスモデウスは墜ちてくる。


「こ“ん“な“…ッ!バカな事があるか…!!」


血反吐を吐いて這いつくばるアスモデウス。翼を痙攣させ、何かが割れるような、裂けるよう音が響き渡った。

この場にいる全員がその音の発信源へと視線を向ける。


俯せに倒れていたアスモデウスの背中を突き破り、黒く長い足が左右で4本ずつ。計8本の黒く長い足がアスモデウスを立たせた。

2つの眼だけだった筈のアスモデウスの顔には、更に4つの眼が増えており、その眼と生えた足を見るとまるで“蜘蛛“化け物のようだ。


『ふざけんな…!また形態が変わるってのか!?これ以上は無理だぞ…!』


俺の[羨望]もルナの魔力も、前線で戦うミルの体力にソルの魔道具だって無限じゃないし、底をつき始めている。

それなのにこの状況は絶望的過ぎる…!


頭に過ったのは敗北の2文字。俺はこの状況からどうやって全員で離脱するか、必死になって考えている。そんな時だった。




「[神聖なる聖域(ホーリサンクチュアリ)]」


その声と共にアスモデウスを囲うように降ってきた4つの光の十字架。その4つの十字架から伸びる光の鎖によって、完全に拘束されたアスモデウスは状況を理解できずに驚愕の表情をする。


「やっと展開出来たー…。人間ちゃん達には悪いけど、遅くなっちゃった。ごめんねっ?」


純白のドレスを着て、その大きな2枚の蒼い翼を広げて優雅に空から降りてくるのその姿正しく天使そのものだった。

味方が強くて主人公が弱く見える。ま、まぁ実際の所弱いし…?レベル1が最強課金武器持ってる的な…?紙耐久過ぎるだろ。


大罪系悪魔はまず人間に宿り、次に乗っ取り、そして人間の体に悪魔を発現させ、最後に分離。っと、ポ○モンの進化みたいな仕組みになります。

最後の時が本当の七つの大罪の悪魔として力を出せます。一様この上にもあるんですが…まだ出ないと思う。


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