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110話:覚醒

覚醒するのは主人公ではなく敵。

下に向かって落下し続けるアキラは能面のように無表情で下の状況を眺めていた。


「落ち、たら……死ん、じゃう………力、貸して…」


いつもとは違い、覇気の無い気弱な声。だがその裏では確かな闇が垣間見れる。

その声は他でもないアキラの背中にいる蝶、シアンに向けてだった。


「……」


「協力、してくれない、と……この子は死んで、しまう……大丈、夫…この子に悪いようには…しない……“契約“は絶対だから………何、より…君との利害、は一致、してる…」


その言葉が通じたのか、シアンはアキラの背中へと寄生して一体化する。背中に感じる痛みに笑みを溢しながらアスモデウスに向けて……


「今、なら使え、る……[黒水(こくすい)]」


下のアスモデウスへ無表情のまま手を翳す。するとアキラの両目から墨のように黒い水が流れだし、その黒い水はアキラの手へと集まりだした。


「わた、しも…アキ、ラも……──お前が嫌いだ…!」


手に集まった黒い水を禍々しい槍へと変化させ、殺意のこもった眼でアスモデウスへと放った。放たれた槍の速度はまさに音速。


不意を突かれ、音速の速さで迫る槍に対処をする間さえも与えぬ一撃。それはアスモデウスの胸を貫き、地面に突き刺さる。

アスモデウスは苦痛の表情と共に突き刺さった槍を抜こうとするが、長すぎる槍が少しでも動く度に内臓を掠めて激痛が走る。


「ふ、ふふふ……!苦しめ……苦痛を抱いて死んでしまえ…!わた、し達より優れた者は……いらない」


上空でシアンの羽をはためかせ、表情を歪ませるアキラは静かに、それでいて純粋な顔で笑った。


─────────────


「くくくッ…!やはりこの力は素晴らしいな…!」


雷のような鋭く素早い動きはまさに迅雷。[反射神経Ⅶ][加速Ⅴ][危機感Ⅸ]これらのスキルがある為対応出来ているが、このままでは押し切られそうだ。


そう考えながら聖剣で電撃を斬っていると、凄まじい音共に眩い光が色欲へと迫る。

だが次の瞬間には色欲はアキラの目の前に立っていた。


「おっと……忘れていたよ、お前の存在を」


「───!!」


ピンクの電撃を纏ったままアキラを踏みつける。そして声さえも上げさせぬ速度で真上へと蹴り上げる。その瞬間アキラのいた場所に赤い液体が飛び散った。


「アキラ…!!?───くっ…!」


「随分とあの男に入れ込んでいるようだなぁ?」


またしても瞬きと共に目の前に現れた色欲。その言葉はボクの心を大きく揺さぶる。

色欲はそれを察したかのようにニヤリと気持ちの悪い笑みを浮かべる。


「くくくくっ…!俺はそういうのには鋭いんだよ……お前の秘めた感情さえも丸見えだぁ」


「っ…!!」


「どうした、攻撃が荒くなったぞ?」


ボクを煽るようにねっとりとした口調でヘラヘラと笑う色欲。その体を斬り裂いても、その体は煙のように消え、すぐさま別の場所に現れる。


『おかしい……ちゃんと捉えている筈なのに…感触が無い』


何度色欲の体を斬っても手応えがまるで無い事に疑問を覚える。それはまるで本当に煙を斬っているような、、


「そろそろお遊びは終わりとしようかぁ…!その後は……くくくッ!姉弟を喰らってやる」


「そんな事させ──」


「──おせぇよ」


ボクの言葉を言い終わる前に、急接近してきた色欲の電撃が迫る。回避は不可。ならば聖剣を盾にして───だが近すぎて聖剣を盾にする間も無い。

電撃がボクのお腹に当たる。そう思った瞬間に事態は変わった。


「グッ──!?ガフ……ッ…!」


突如真上から降ってきた槍のような黒い棒が色欲の胸を貫いて地面に刺さる。

色欲は眼を充血させて、吐血しながら槍を引き抜こうとするが、力を込める度に色欲は表情を歪ませて吐血しながら絶叫する。


誰がボクを助けてくれたのか。自然と向いたのは遥か上空。そこに見える黒い人影が1つ……


「………アキラ…?」


美しい空色をした羽を背に、上空で堂々と此方を見下ろす黒髪の青年。まるで感情が抜け落ちたような表情ながら、口元は嬉しそうに笑っている。表情と笑みが全く噛み合わず、不気味さを覚える。それは紛れもなくアキラだった。


アキラの目線の先には苦しんでもがいている色欲。ただそれだけを見つめ、無表情で笑っている姿はまるで────悪魔のようだった。


───────────


暫く苦しむアスモデウスを眺めた後、ゆっくりと上空から降りてくるアキラ。

そこへ不安の表情と共に、聖剣を向けるミル。


「誰…?アキラじゃ……ない…」


「………」


アキラは黙って向けられた聖剣を見つめる。微弱ながら震えているのが分かる。恐怖……ではなく別の感情を抱いている事がアキラには分かった。


「………“契約“は絶対。君、に手は出さ、ない……安心、するといい…」


そう小さく呟き、アキラは向けられた聖剣下ろさせよう触れた。


「…ッ」


すると弾ける音と共に散る火花。見れば触れた手は火傷のように赤く腫れている。


「………やっぱり…無理、か」


それだけ呟くと、アキラは胸に槍が刺さった状態で拘束されている色欲へと視線を向けた。底の見えない暗い瞳に映る、強く歪んだ妬みがアスモデウスを震わせた。


「テメェ…!どういう……事だッ…!?」


「どう、…とは?」


「しらばっくれるな…!!はぁ…はぁ………何故俺を攻撃するッ!いや、何故お前は人間側につく…!?」


口元に血をベッタリと付着させ、充血しきった眼で睨み付ける。喋る度に内臓を痛めているのか、血を吐いて息も荒い。


「俺達悪魔は己の欲に従って動くものだろうがッ…!!ゴフッゴフッ……」


「なに、を言ってる、の…?わた、しは己の欲…に従って、る………自分、より優れた存在、が嫌い…!憎い…!だから潰す…!これがわた、しの願、いであり……契約、者…アキラの願い…!」


力強くそう発したアキラは、眼から黒い涙を流してそれを指先に集める。手を銃のような形にして、それをアスモデウスに向ける。


「バ、ン…」


「がああああああッッッ!!??」


まるでアキラが使っていた魔道具の銃のようなスピードで放たれた黒の弾丸は、アスモデウスの心臓部分を貫いた。


「そこ、痛い…よね?」


悪魔の弱点は悪魔が1番理解している。そこを狙った攻撃をしたアキラはうっすらと笑う。

それは弱者を嬲る快感か、ただただ楽しんでいるだけなのか…それはアキラ本人にしか分からない。


「…?」


もう1発黒の弾丸は飛ばそうとしたアキラは、アスモデウスから発せられる雰囲気が変わった事に気付き、首を傾げる。


「こんな所で死ねるか………折角ここまで生き残ったってのに…!嫌だ…!嫌だ嫌だ嫌だ!!」


譫言のようボソボソと呟くアスモデウス。その周りでピンクのプラズマがバチバチと弾けている。アキラはゆっくりと1歩下がり、ふとミルとソル、ルナへと視線を向けた。


「護ら、ないと…!────あ、れ…?何、でそんな事を……」


自然と口にした言葉に驚きつつも、ミル、ルナとソルに向けて黒い水を飛ばし、それを膨張させて壁を半球体状に張った。


「俺はまだ死ぬわけにはいかねぇんだあ“あ“あ“あ“あ“ッ“ッ“!!!!」


黒い水で出来た壁を展開した時と同時に、アスモデウスは叫びと同時に辺り一面に電撃の衝撃波を撒き散らした。

まさに豪雷の如く暴れ鳴り響く豪音と地震。魔森林(マジック・フォレスト)に自生する木々を黒炭にして消し去る。


「“覚醒“……しちゃった、か……」


そう呟いたアキラの視線の先には倒れている水色の髪をした女性と、その横に立つ黒とマゼンタ色をした悪魔。

アキラは忌々しそうに舌打ちをして覚醒したアスモデウスを見つめた。

[黒水](こくすい)

眼から溢れた黒い涙を自由自在に操るレヴィアタンの能力。黒水には毒性があり、触れるだけで激痛を走らせる。

この水は契約時にアキラの足元にあった水です。貯蔵可能で、アキラが妬めば妬む程増えていきます。


第2形態。所謂悪魔が体に大きく発現した時はほぼほぼ悪魔個体の能力が使える。適性と心状によって出来るか変わる。尚、エリーンとアスモデウスの適性率はかなり高い。だから狙われた。


[羨望](エンヴィー)[情欲](ラスト)のように、人間に宿った悪魔を人知れず粛清し、救済しているのが天使であり、新たに悪魔が現れる度に天使達は悪魔と戦っている。……らしいよ。

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