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99話:姉弟は絶対主要キャラ!

ブクマ&評価が嬉しくて仕方ない。本当にブクマ100も夢じゃないかも。

ありがとうございますっ!

女性の悲鳴が聞こえた方角へと全速力で走り続ける。段々と人も明かりも少なくなっていき、やがて完全に外れの方まで来た。


ミルと共に悲鳴を上げた本人を探すと、物音が聞こえた。


「うっ…!」


俺は思わずそんな声が出た。

血溜まりの中で倒れている女性を見つけた。目に光を宿していない。

そしてその倒れている女性の前に立っている男の姿。


「あ、あんたは…?」


ミルと共に、いつでも抜剣出来る体制に入った。普通に考えてコイツが犯人だろう。

だがその男は俺達を無視して女性の首を触る。素人目だが脈を確認しているようだ。


「クソっ…!またやられた…!」


悔やむような声を上げて下を向いた男。どうやら犯人ではなさそうだが、まだ安心は出来ない。


「勘違いしてくれるな。僕は殺してない」


やがて立ち上がった男は、フードを取って俺達へ振り返りながらそう言った。

俺と似たような短い髪型だが、銀髪で左の一部に金のメッシュが入った18歳ほどのイケメン君。


「なら…なんでここに?」


「悲鳴がしたから……それにこの国では魔女の連続殺人が多発している。僕はそれを調べてたんだ」


ミルの警戒した質問にもキチンと答えた青年は、亡くなった女性の目を閉じさせた。


「僕はこれから衛兵を呼びに行く。だから警戒を解いて欲しい」


「なら俺かミルが行く。もし君が犯人ならそのまま逃げられる、または俺達が犯人にされる可能性があるからな」


「わかった。それで構わない」


俺はミルにアイコンタクトを送り、俺は衛兵がいる詰所がある場所まで走り出した。

途中死体の横を通ったが、俺はそれを見ないようにして走った。






それから手続きや事情聴取などで数十分拘束され、俺達は解放された。

今回も殺害されたのは魔女だったようで、これで13人目らしい。


「そう言えばお前らは誰なんだ?突然怪しまれたが」


解放された俺とミルはたまたま帰り道が同じ青年にジトッとした目を向けられた。


「ミル」


「俺はアキラ!俺達は近くの公園で剣の稽古してたんだよ」


「ふーん、そんなんだ」


興味の無さそうにそう言った青年。おい、まだ俺達は名前聞いてないぞ!


「名前…」


「あ?あぁ…言ってなかったな、僕はソル。あそこの通りにある魔道具屋を姉とやっている」


ミルの呟きに答えたソルは、律儀に営んでいる店まで教えてくれた。

それにしても魔道具屋か…今度行ってみようかな、多分ソルは主要人物くさいし。


「じゃあな、ソル」


「ああ」


そしてソルとは十字路で別れ、俺達は宿へと向かっていく。静な夜を見上げながら、さっきの事を俺は考えていた。


『俺……死体を見たんだよな』


あの時はミルとの稽古中だったから脳内物質が出ていて興奮気味だったが、いざこうして落ち着くと心がなんだがザワザワする。

目を閉じれば、女性の瞳孔が開いた目を思い出す。血の臭いだって。


思い出すと気持ち悪くなってきた。

俺は死体を見るのはこれで2度目。久し振りに見たが、やはり気分が悪いのは変わらない。もっとも、初めて死体を見た時よりも心は重苦しいが。


『死体を見ただけでこのビビりよう、情けないな』


ここは異世界。命だって俺が考えている以上に軽く扱われる場所。なら逆に俺が手を掛ける時が来るかもしれない。

いざその時が来たら……俺は人をまた殺せるのだろうか。


『殺しについて悩むのも主人公っぽいけど…………感じたくも悩みたくも無かったな』




「難しいこと…考えてる…?」


「えっ?いや、別に」


俺の顔を覗き込むようにしてそう言ったミルは、琥珀色をした目でジーっと俺を凝視する。ミル相手には嘘が通らないと分かっているのに、自然と嘘をついた。虚言癖かな?


「──難しい事って程じゃ無いんだけどさ、ちょっと殺しについて考えてた。俺もこの世界で殺す時が来るのかなってさ」


「…?変な事考えてるんだね」


「あはは…確かに変な事だよな、ごめん気にしないでくれ」


殺しについて考える…まぁ普通じゃないよな。どちらかと言えば変人だし危ない奴だ。口に出して言うもんじゃないな。


「…でも大丈夫。アキラにそんな事させないから」


俺の顔を見ずに、何気なくそう言ったミルの言葉はとても強く感じた。俺が主人公ぽく暴走しても、ミルになら斬られてもいい。いや斬られたいわ。


『そもそもそんな主人公っぽい事が起こるかどうかなんだけどなぁ…』


ガクッとミルに悟られないように項垂れる。補正の無い俺にはよくある『俺はひ、人を殺してしまった…ッ!』って展開がマジで無さそうだ。良いことなんだろうけど!


落ちていた気分は下がったり上がったり、だけど結局は下がったまま宿へと到着するのであった。

────────────────


そして次の日、俺とミルは昨夜に会ったソルの店へと向かう事にした。

あの時ソルは魔女連続殺人を調べていると言っていた。なら何か情報だって知っている筈だ。

…と、ミルに説明して行く事になった。


「本当に関連あるのかな…?」


「大丈夫、俺のなろう(知識)は割りと当たるから」


俺の言葉に、?を浮かべるミルと共に魔道具屋【太陽と月の交差】へと入っていった。


「いらっしゃいっ!」


店の中に入ると、店の店員らしき金髪の美少女がお店の掃除をしていた。

左右を三つ編みにして、それを裏に持っていく可愛らしい髪型。たしかクラウンハーフアップ…だったか?SAOのアスナと同じ髪型をしている。

多分この人がソルが言ってたお姉さんだろう。ソルとは反対側に銀のメッシュが入ってる。



「あの、昨日弟さんに会って…」


「ああっ!ソルのことかなっ?」


「ですです!」


「ごめんねー…ソルは今いないの…」


申し訳なさそうにそう言ったソルのお姉さん。残念ながらソルは外出中っぽい。


「帰るのって遅い感じですか?」


「んー…遅いって言うか、夜しかいないって言うかっ?」


「?どういう意味ですか?」


「えっとねっ?朝から夕方までが私で、夕方から夜が弟の時間なの」


…?ん?…………え?

ちょっと俺の少ない頭じゃ理解できないんだけど…どゆこと?誰か説明してクレメンス。


「あははっ!よく分かんないよねっ?えっと、私とソルは1つの体を共有してるのっ!」


「ぇ」


ミルの間の抜けた驚き声にクスッと笑うと、肘で横腹を突かれた。むぅ…っとした顔で俺を睨む。怖いどころか可愛いぞこの野郎!!


「あっ!自己紹介しなくちゃねっ!私ルナっ!ソルの姉です!よろしくっ!」


弾ける笑みで自己紹介をしたルナ。

1つの体を2人で共有するという、髪色と共に個性の塊のようなソルとルナに、俺は口を開けて驚いた。


『こ、コイツ──いやコイツら…!絶対主要キャラだ…!』


イケメンでクールの弟属性、ソル。そして美人で明るい姉属性、ルナ。

この瞬間、俺はこの2人を主要キャラと確定した。

異世界の圧倒的な兄弟率……(笑)

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