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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

世界を救ってくれ! 無理無理無理無理

作者: たっさそ


よくあるテンプレ勇者召喚に巻き込まれた



「異邦人達よ、魔物の王を倒してくれ!」


と、王様っぽい人が言っていた!


「マジ無理無理無理無理!!」


俺は九重太郎!

気弱で内気で傍観者な俺だが、


異世界転移に巻き込まれていた!!


「これってあれだろ、なろうでよくある異世界転移」


イケメンのクラスメイト

榊原楓さかきばらかえで


「田中もなろうでよく読むにゃん♪」


謎の不思議ちゃん。

田中(田中)


「悪役令嬢転生とかウチ好きやで」


関西弁の女の子

坂本ゆか(さかもとゆか)


そんな彼らに混じって召喚されたのが、俺だ。



「『追放系』とか『幼馴染ざまぁ』とか『手遅れ』もしくは『もう遅い』系とか、最近溢れてるよな」

「なにその幼馴染ざまぁって、ウチしらんよ?」

「ちょっと前流行ってたにゃん♪ 坂本にゃんはおくれてるにゃん♪」

「ウチは集団転移とか異能バトル系が好きやからなぁ。田中は?」

「田中は逆行ものが大好物にゃん! だけど転生も悪役令嬢もハーレム系もTSも、強くてニューゲーム、俺TUEEE。なんだったらランキング順に読んでいくにゃん! ミーハーで雑食にゃん」

「ふーん?まぁ、可愛いロリッ子がおったら言うことなしやな」

「わかるマン。日本人ってだいたいロリコンだしな。」

「田中ものじゃロリが好物にゃん! 九重にゃんはどうにゃん?」



「無理無理無理無理って、え?」


なんかいきなり振られた!!


「な、なわ、な、なん? え?」


困ったことに、俺は言語能力に多大な疾患を抱えている。

まぁ、言うなればコミュ障のボッチなのだ


「九重はどんななろうを読んでいるのかって話」


な、なろうで読む話?


「え、えと、最初に主人公がズッタボロになってボロ雑巾になった後に追い討ち駆けられるような奴」


「………」

「………」

「………」


「えと、泣きっ面踏んだり蹴ったり蜂だったりする、やつ………です」



しーん。


や、やばい。引かれた!


「なるほど。じゃあ追放系かな。」

「盾の奴とかありふれたやつとかやな」

「むしろ最初にズタボロにならない主人公って動機とか魅力に欠けるにゃん♪闇落ちは田中の大好物の一つにゃん♪」

「復讐系も当てはまるな。たしかに復讐系は見てて胸糞悪くなった後にスッとするのが堪らん」

「その胸糞悪い奴を胸糞悪いやり方で退治してやるんやな。同じ土俵に落ちるからこそできる外道な復讐。それもまた読者が求める非日常。素敵や九重!!」


引かれるどころか好感触だった。


「何やっても絶望だったり主人公が苦しそうに七転八倒しながら頑張るのが好きなんだ。自分にはできないから。その、頑張る力がなくて」


と、そんな愚痴を漏らすと


「わーってるよ。どうせ非日常に憧れてなろう読んでんだ。自分じゃ到底無理で、やるつもりもないものだからな。」

「なんだったら田中はエロも読むにゃん! でも処女にゃん♪彼ぴっぴ募集中にゃん♪ 田中は面食いにゃん♪」

「欲望ダラダラや。ま、ウチも似たようなもんや」


カラカラと、バカにすることなく笑ってくれる。

不思議な居心地の良さを感じた。


こんな、異世界に召喚されたばかりなのに。



「あ、あの。魔王を………」



異世界に召喚されたばかりなのに。




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