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コーヒーの味。

作者: 蹴球有閑人

 老母の葬儀を終え、莫大な遺産を得て、俺は晴れて天涯孤独の身となった。

 持病を抱え、自宅の寝室から全く外に出ない。面倒は全て俺が見てきた。そこへ今回のWH肺炎の流行だ。

 俺は進んで人混みに分け入り、感染した。老母と濃厚接触するのは俺だけだ。最後に好物を食べさせた。味がしないだと。それが遺言。直後に容態は急変し、そして‥‥。


 俺は若いから数日で回復する。すべて思い通りになった。一息入れよう。好みのフレンチコーヒーを淹れる。変だ、味がしない。まさか‥‥。




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