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詩シリーズ

世の中はバランスで成り立っている

作者: まさかす

 世の中はバランスで成り立っているはずだ。故に、誰かが幸せならその分、誰かが不幸なのだろう。


 私が太ったのなら誰かは痩せているという事だろう。何と恨めしい事か。だが反対に、私が痩せたのなら誰かが太っているのだろう。それがアノ子であるなら歓迎すべき事だ。


 世の中はバランスで成り立っているはずだ。故に、誰かが不幸ならその分、誰かが幸せなのだろう。


 私が太ったからアノ子は痩せたのだろう。何と恨めしい事か。だが良い事もあった。アノ子は付き合っていた男性にフラれたという。そうであれば、私にはもうすぐ素敵な男性との出会いがあるのだろう。なんと素晴らしい事なのだろうか。


 世の中はバランスで成り立っているはずだ。だがアノ子も私も肥え太り、付き合っていた男性にフラれてしまった。という事は、私とアノ子の分の幸せを謳歌している者がいると言う事だ。そうであればいずれその者達は肥え太り、その者達の幸せがこちらに傾くはずだ。私はじっとそれを待つとしよう。


 それなりに自分で動かす事も出来るが思い通りに動く物でも無く、時には「運」によっても動く。だが決して中立になる事は無く、最終的に辻褄が合うようにしてそれは成り立つ。


 何かを手にしたら何かを捨てる。誰かが何かを得たのなら誰かが何かを失っている。全ての人が全てを手に入れようとすれば、きっとバランスは崩れてしまう。


 私やアノ子を「個」で見たなら代わりは存在しえないが、社会という「集」から見れば常に代わりは存在する。何の変哲も無い私達の代わりが存在するのは至極当然とも言えるが、天才と呼ばれる程に能力を有する人であっても代わりは存在し、世界中の人達から尊敬され慕われるような人であったとしても代わりは存在する。どんなに優れた者であったとしても、後を継ぐ者や者達、若しくは物が存在する。故に社会は止まる事無く回っている。


 毎晩の様に死にたいと願っていた私は今も生き続け、死にたくないと涙ながらに訴えたアノ子は既にこの世を去った。どちらかと言えば体が弱かった私が今も生き続け、いつも元気だったアノ子が私よりも先にこの世を去った。それでも何ら変わらない日常が続いている。これもまたバランスが取れているという事なのだろう。辻褄は合っているという事なのだろう。こうして世界は悠久の時を刻み続けるのだろう。


2020年06月14日 2版 ちょっと改稿

2020年02月04日 初版

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