ノンストレス
ストレス発散という言葉が社会に浸透していることから分かるように、今の社会人、果ては学生までストレスに悩まされている。
ストレスはいいものではない。確かにそうだ。ストレスは我慢など結果生まれるものであって、自ら望んで生みだすものではない。ストレスを溜めすぎると精神が荒み、生活習慣が乱れ、精神病にかかり、最悪病気にまで発展したりする。
事故なんかも同じだ。交通事故は不注意と不注意とが運悪く出会ってしまった結果起きるものだからだ。誰もかれもがノンストレスで寝不足なんて一切無かったら、環境が悪くなければそう簡単に起きるものではない。
ストレスは悪いもの。じゃあストレスは減らさなきゃという考えに至るのは至極まともなことであるとは思う。しかし、そう一方的にストレスを悪者として決めつけていいのだろうか。
チャンスに強い選手という言葉がある。チャンスという事は、サッカーであればPK、野球で言えばワンナウト満塁と言ったところだろうか。
ここで、当たり前のことを言うのだが、チャンスな場面に立たされている人には相応の期待が寄せられているわけで、その分プレッシャーがかかってしまう。つまりストレスが凄いことになっているのだ。
しかし、ここでチャンスをものにするからチャンスに強いと言われるわけで、これは立派なアドバンテージだ。つまり、ストレスが存在しなければチャンスに強いという言葉、ポテンシャルは生まれなかったということになる。
ストレスの有用性についてはこれだけではない。
テストというものに迫られた学生は類を見ない集中力を見せる時がある。締め切りに迫られた漫画家なんかも同じことだ。ストレスをかけると逆に本領を発揮し始める人もいるということになる。
小説を書いている人も分かるのではないのだろうか。元気いっぱいの時より、むしろ少し疲れていたり、怒られたりしてストレスが溜まった時の方がいい案が浮かんだなんて経験をした事があるのではないのだろうか。
過剰なストレスはもちろんダメだ。
しかし、だからと言ってストレスを根絶したノンストレスの世界というのは、果たして面白いのだろうか。