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創作家のためのアクセスアップ入門  作者: 有沢翔治
ワナビのための読書入門
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第八回 ブックリストを作ろう! 

 中島敦の山月記を読み終わったら次に読む本を決めましょう。この決め方は本当に人それぞれですが、参考までにいくつか紹介します。

1.作家で読む場合

 中島敦の本をもっと読みたい場合、「中島敦 オススメ」などでインターネット検索をします。幸い、中島敦は著作権が切れていますので青空文庫にて無料公開されています。

 ちなみに新潮文庫、岩波文庫、角川文庫から「山月記」を含む短編集が出ています

・中島敦『李陵・山月記』(新潮文庫)

・中島敦『李陵・山月記・弟子・名人伝』(角川文庫)

・中島敦『山月記・李陵 他九篇』(岩波文庫)



2.作家について調べたい場合

 中島敦という作家について関心が湧いたら、Wikipediaで中島敦の項目を手始めに見ましょう。重要なのはWikipediaから文献を拾うことです。Wikipediaで終わらせてはなりません。なんとなく解った気にはなるでしょうが、徹底的に調べなければ浅い知識で創作を行なうことになってしまいます。結果、底の浅い作品になって、似たり寄ったりの作品になってしまうのです。

 調べたら参考文献は必ずメモしましょう。今回Wikipediaには、下記の文献がありました。

・森田誠吾『中島敦』文春文庫

・高橋英夫・勝又浩ほか編『中島敦全集 別巻』筑摩書房

・村山吉廣『評伝・中島敦 家学からの視点』中央公論新社

・川村湊『狼疾正伝 中島敦の文学と生涯』河出書房新社 


 また、この他にも、専門の事典が参考になります。例えば、

・日外アソシエーツ『作家・小説家人名事典』(日外アソシエーツ)

・『新潮日本文学辞典』増補改訂

 等が挙げられます。福島県立図書館のサイトも参考になるでしょう。

https://www.lib.pref.fukuoka.jp/hp/reference/004_bungaku.pdf


3.中国を舞台にした小説のうち日本人が書いた作品を読みたい場合

 「中国 舞台 小説 日本人」でインターネット検索をします。するとホンシェルジュの「中国が舞台の歴史小説おすすめ5選!」などが出てきましたね(2019年2月17日時点)

・浅田次郎『蒼穹の昴』

・宮城谷昌光『重耳』

・パール・バック『大地』

・北方謙三『水滸伝』

・井上靖『敦煌』

 が挙げられています。宮城谷昌光は古代中国を中心に小説を執筆。ほとんどが2冊以上の大長編作家ですが、『玉人』(新潮社)は短編集です。しかも「風と白猿」は誘拐事件の謎を追う、という点で古代中国を舞台にした推理小説としても読めます。



4.昔書かれた中国の小説。

 「中国文学」でインターネット検索をするか、中国文学史の入門書を読みます。


明代には白話小説が発展し「六十家小説」「三言二拍」などの短編小説集が編まれ、広範な題材を扱った。また明の時代には長編小説が現れる。有名なものに『水滸伝』『三国志演義』『西遊記 』『金瓶梅』があり、まとめて四大奇書と呼ばれる。

 清代には長編小説の傑作、『紅楼夢』や『儒林外史』が描かれた。短編の志怪小説集としては、『聊斎志異』(女幽霊とよしみを通じる話がある)が見られる。

(Wikipedia「中国文学」)とあります。


 あいにく、中国文学は不案内なのですが、聊斎志異は岩波文庫版で読みました。幻想的な話が多くファンタジー作品が好きならオススメです。短編集なので、読みやすいです。

・相浦杲『現代の中国文学』NHKブックス

・増田渉『中国文学史研究―「文学革命」と前夜の人々』岩波書店。

・吉川幸次郎述、黒川洋一編『中国文学史』 岩波書店。

・前野直彬編『中国文学史』東京大学出版会

・竹田晃・黒田真美子編 『中国古典小説選』 明治書院全12巻、2006-09年

 このような手順を辿れば読書の幅は広がるのです。ちなみに吉川幸次郎は中国文学の解説書を執筆しています。山月記と同年代の文学を知る上では『唐代の詩と散文』(講談社)も参考になるでしょう。



5.作品の舞台について調べたいとき

 作品の舞台は唐でしたが、当時について調べたいときは、「唐」でインターネットを検索します。しかし唐のどのような側面について興味を持っているのか、あらかじめ書き出しておけば、効率的に探索ができるようになるでしょう。

 歴史学なら山川出版社が得意など、出版社ごとに得意分野があります。



6.中島敦から離れて探す場合

 中島敦から離れたい場合もあるでしょう。その場合は下記の方法があります。

・国語便覧の作家を読む……古典文学などの純文学がメインになります。しかし俳句、短歌、現代詩、評論、随筆など多岐に渡っています。意外なところでは赤川次郎も収録されています(浜島書店、2000年版)

・ノーベル文学賞、ブッカー賞などの何か賞を基準に読む……例えば国際的な児童小説の賞に国際アンデルセン賞があります。『獣の奏者エリン』の上橋菜穂子が受賞して話題になりましたね。

・本屋大賞……これは大衆文学がメインです。特徴は権威に頼らず、書店員が決めるところにあります。

・叢書や全集……世界文学全集などの全集を1巻から読むのも一つの手。世界SF全集(早川書房)などの変わり種もあります。


5.専門書の場合は翻訳者からも探せます。

 専門書を読んでいて解らない場合は翻訳者から探すのも一つの手です。研究者が訳していることが多く、例えば近年ヘーゲルの新訳を出した長谷川宏は『ヘーゲル精神現象学入門』(講談社)などの解説書も多く出しています。

 これは哲学書に限った話ではありません。例えばラテンアメリカ文学の翻訳者、木村栄一は『ラテンアメリカ十大小説』(岩波新書)を書いています。

 このように翻訳者の著作を読むと、解説書が見つかることもあります。


 少しでも気になったらまずはメモしましょう! 読むかどうかは後で決めればいいのです。

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