第四回 構成はどういうふうにしたらいいの?
よく途中で投げ出す人がいますが、この理由は小説の見取り図が頭に入っていないからです。そしてこれも小説を読めばヒントが得られるでしょう。既存の作品について見取り図を作ればいいだけです。
山月記の冒頭を読み解く際、5W1Hが出てきました。山月記をより抽象化して、物語のあらすじを5W1Hで述べてください。「(1)いつ、(2)どこで、(3)だれが、(4)なぜ、(5)何が(6)どう」なるでしたね。
(1)いつ……唐の時代
(2)どこで……唐で
(3)誰が……李徴が
(4)なぜ……プライドの高さのために
(5)なにが……李徴の身体が
(6)どうなる……虎になる
次に場面がどう変わっていくかを書きます。
1.李の紹介
2.李の変貌
3.李の疾走
4.袁の登場、紹介
5.人食虎の噂
6.李の声
7.李が虎になっていたこと(回想)
8.李、叢へ姿を消す
こうしてみれば見取り図はほぼ完成です。あとは伏線となっているところをチェックするだけです。例えば以下の要領です。
1.李の紹介○
2.李の変貌○
3.李の疾走○
4.袁の登場、紹介
5.人食虎の噂○
6.李の声
7.李が虎になっていたこと(回想)○
8.李、叢へ姿を消す
どこまで細分化するかは人それぞれ好みが分かれますが、この作業を自分で行なえば物語が生まれます。小説や漫画、ドラマのあらすじと場面を書き出せば、どのような構造になっているか解ります。そしてこのように多くの作品を読めば、自ずから要領が掴めるでしょう。
ただし当然ながら完成していないと、この分析ができません。その点で、桃太郎などの絵本は未完成の作品より遥かに創作の参考になります。またこの分析を通して作品が異なっていても共通点が見えることもあります。
例えば安部公房の「赤い繭」は高校の教科書に載っていると思います。これも最終的に男が赤い繭に変わるというあらすじ。変身譚という点で山月記と似ています。
小説に限らず、変身するというキーワードで読み解けば仮面ライダー、魔法少女まどか☆マギカから「人魚姫」まで同じ分類に入れることができます。このようにキーワードごとに分類しておけば、物語が再構築しやすくもなるでしょう。どのように分類するかは人それぞれですが、ウラジミール・プロップは『昔話の形態学』で異郷訪問譚、異類婚姻譚など31種に分類しました。
そして物語の構造分析も文芸批評の一つとして立派に確立されいるのです。




