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創作家のためのアクセスアップ入門  作者: 有沢翔治
創作家のためのアクセスアップ入門
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結論──根本的に考えよう

 ライトノベルにせよファンタジーにせよ、起源があります。僕は推理小説をメインに書いているので、推理小説を例に取りますと、谷崎潤一郎「途上」などの犯罪小説がそのルーツにあります。また社会思想家のベンヤミンは大衆の誕生と推理小説を結びつけています。また謎解きそのものについて言うなら、ソフォクレスの「オイディプス王」にまで遡ります。

 このように発展していった推理小説ですが、トリックばかりを重視しすぎていて、人間が描けていないという問題があります。それを解決しようとしたのが外国ではレイモンド・チャンドラー、日本では松本清張です。しかし、レイモンド・チャンドラーが作ったハードボイルドもミッキー・スピレーンから暴力と酒と女さえ描けばハードボイルドになるという風潮が見られるようになります。

 マイケル・Z・リューインになると、当初のハードボイルドとは似ても似つかぬ登場人物になっていきます。

 一方で日本の作家はあまり追っていないのですが、メフィスト賞を境にキャラクター小説化が進んでいきます。西尾維新、霧舎巧などが挙げられます。

 希望を見出しているのが、ポール・オースターなどのスリップストリーム小説。彼らは純文学と推理小説の融合を試みています。

 ではあなたが書こうとしているジャンルには、どのような古典作品、研究があるか知っていますか? そして古典作品にはどのような問題点があり、どのように解決していったらいいのでしょうか。そして何よりどのような〈現実世界〉の問題を解決したいのでしょうか。ただ単に現実から逃げたいだけであれば、何のために発表しているんでしょうか。アクセスアップを目指すからには、それなりの意図があるはずです。自己肯定感を満たすためなら、どうして自己否定的な考えに陥ってるのか。考えてください、根本的に、真摯に。

 いまや、性急なアクセスアップこそが評価の妨げとなっていることが解ってきたと思います。あらゆる創造的な活動において、結果を急ぐことこそかえって作品をつまらなくしているのです。むしろ創作家において重要なのは特定の問題にじっくり取り組む姿勢です。

 例えばアインシュタインは特殊相対性理論を一般化するのに九年費やしています。また、アンドリュー・ワイルズは十歳のころにフェルマーの最終定理と出会っています。それから三十年以上も経ってようやく証明できたのです。

 また何の役に立つか解らない知識も創作家の原動力になります。例えばスティーブ・ジョブズのデザインセンスは、コンピューターとは全く関係ないところで培われています。大学時代に宗教へ心酔。キリスト教はもちろん座禅などにも興味を持っていました。このような知識こそ真の意味で創作の糧になるのです。

 あなたの可能性を、そしてWEB小説の可能性を、信じています。

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