第十一回 書籍化は簡単だった。
書籍化と聞くと、「小説家になろう」などで書いている人たちにとっては、夢の話だと思われるかもしれません。しかし、実は簡単に書籍化ならできるのです。自費出版に踏み切れば。実際、自費出版の広告をよくもらいます。
もちろん自費出版という手も方法の一つです。ただし、そもそも何のために自費出版をするのか、根本的に見つめ直さなくてはいけません。また在庫は自分で抱え、家に置けなくなったら貸倉庫を借りる必要があります。廃棄処分するのにも費用が発生します。
つまり、当然、誰かに配らなければいけません。僕は文芸同人誌を出しているのですが、facebookや、ツイッター、ジモティなどを駆使して宣伝しています。また知り合いの喫茶店や個人医院にも置いてもらっています。総計100部以上あった文芸同人誌も残りわずかとなりましたが、メッセージを送っていただいた人の気持ちを考えるとかなり勇気がいるだろう、と思います。見ず知らずの僕に住所を知らせるわけですから。
自費出版を考えれば、書籍化は簡単です。しかし、果たして何のために、何を訴えるために小説を書くのか、そしてそれに見合う技量が自分にはあるのか、と僕も含めて問い続けなければ、在庫の山を抱えることになるのです。
有名人になりたいのでしょうか。それだけなら、非人道的な動画をユーチューブにアップすればいいだけ。そうすれば一夜にして有名人です。しかしそれで得られるのは、かりそめの自尊心と、膨大な虚無感、そして永遠の刻印です。検索結果は一生消えず、進学、就職、そして結婚などでも妨げになります。
ちやほやされたいのでしょうか。それなら貯金をして、ホストクラブに行きましょう。
あるいはどこかで帳尻が合うように世の中ができているのかもしれません。執筆を続けなければ技量が上がらないように、そして技量がなければ自費出版をしても、読者が得られないように。
今やこう断言できると思います。他者から正当な評価を受けることを希望し、創作活動をしている、と。




