出会いし運命
第二話
「出会いし運命」
さてと、確か森の入口は・・こっちだったかな?
「ん?なんだろうあれ?」
「返して!!」
「やなこった!俺のものは俺のものだからな!」
うっわぁ〜、典型的な俺様キャラやってるよ・・いったいなぁ〜もぉ〜
「辞めたげなよ」
「あぁ!!誰だ!?お前!?」
「私?私は、イユ」
「知らねぇなぁ?お!いいもん持ってんじゃん!それ寄越せ!」
「はぁ、人の話を聞かない人って嫌い」
「あぁ!?うるせぇ!それをとっとと寄越しやがれ!!」
仕方ないかぁ・・・あんまり使っちゃダメって言われてるけど・・・
「『バインド』」
バインドとは、相手を拘束するだけの『魔法』である。そう、魔法である。
私が転生した世界は、魔法が一般的に発達した世界。しかも、魔法だけではない。精霊や悪魔など色々いるとか。
「う、動けねぇ・・・」
「『フィー』お願い」
「おまかせ〜」
彼女は、フィー。私が使役している、精霊だ。
「あぁ!?なんだ!?この虫野郎!!」
はぁ、やだなぁ・・・面倒な人だし、そこら辺にぶっ飛ばしますか。
「死なない程度でしたらどこに飛ばしてもいいですよね?」
「うん、いいよ」
「わっかりました〜!」
『聖霊の名に従い汝理を覆すものなり』
『ストーム』
「あぁ!?なんだよ!!」
「え!?な、う、ういて!?」
そう、フィーは風の精霊。正確には聖霊なのだけども。
精霊と聖霊の違いは、結構ざっくりしている。精霊はこの世すべてに存在が確認されている。言わば、守り神みたいなものだ。しかし、聖霊は違う。聖霊は、選ばれたものが宿すとされる守護者なのだ。そして私は、風の聖霊フィーを守護者としている魔術師かな?
「あぁあ!?ご、ごめんなちゃぁぁぁぁい!!!」
「おぉ〜飛ぶねぇ」
「・・・・」
あ、あっけに取られてる・・・
「大丈夫だった?」
「は、はい!ありがとうございます!」
「おぉ、律儀だねぇ〜」
言わないでいたのに・・・
「えぇ〜と、名前は?」
「は、はい!ユキ・ナルカミです!」
「ユキちゃん?で、あってるかな?」
「は、はい!」
ユキちゃんか・・・・成程ねぇ
可愛い・・・・
「さっきは、何を取られそうになってたの?」
「あ、父へのお弁当です」
「へぇ、それって手作り?」
「はい。母は、私が生まれてまもない頃に病気で」
「ごめん、嫌なこと聞いちゃった?」
「いえ!とんでもない!周りの子は、ぼくのこと親無しって言ってて」
「そうだったんだ」
ん〜、となると友達も少ないかもねぇ〜
「ねぇ、私と、友達になってくれる?」
「え!?いいんですか!?」
「勿論」
「えぇ〜と、名前は?」
「私は、イユ。イユ・ヘリオスだよ。宜しくね」
「はい!」
イユは、まだ知らない。この先の未来でイユとユキは、世界の命運をかけた世界戦争に巻き込まれることを。