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望まぬ奇跡を押付けられた僕

  読者様へのご注意

・下ネタと言って良いのかわからないくらい微妙なラインですがそのようなネタも入っていますので。まぁそんな汚らわしい文章読めませんわ!と言うお嬢様がいらっしゃったらブラウザバック、どうぞ


ある男は言った

「嘘を付かず、裏切りもしない人形こそ最も愛せられる」





ある所に1人暮らしの男がいました

その男はとても孤独でした

しかし、1人でも寂しくはありませんでした

男の生活の傍には常に一体の人形がいたからです

その男は(傍目からみればドン引きするほど)その人形を愛していました

毎日手入れをし、服を着替えさせ、たわいも無い話を聞かせる


そんな男を神が哀れに思ったのでしょうか、ある日突然人形に魂が宿ったのか自我を持って動き出したではありませんか


「いつも大事にして頂きありがとうございます。貴方からの愛情のお陰か私に魂が宿ったみたいです」

「なっ…僕の…ミカが……うぐっ」

男は喜びの余り白目になりながら泡を吹きその場で失神してしまいました


「うぅ…。ここは…。」

(徐々に意識がはっきりしてきた…。)

「そう、確か。僕は出先から帰ってきて、玄関を開けたらミカがいきなり動き出して…」

(いや、そんな非現実的な事ある訳無い。何時の間にかソファーで寝ちゃってたんだ。昨夜ホラー映画をみたからそのせいだな…。)

「我ながらなんて悪夢をみてしまったんだ…。」

(とりあえず、顔を洗ってサッパリしよう…。ついでにミカの顔をみて心を落ち着けよう…)

「あら、お目覚めになられましたか?」

(こ、の…声は…。なんかさっき、ほんの数秒前聞いたような…この声は……)

男が戦きながら声のする方に振り返ると

「なんか先ほど訳の分からない妄言を1人ぶつくさと仰っていたようですがどこか頭を強く打ちましたか?」

先ほどの人形がにこやかな表情で息をするように辛辣な言葉を投げかけてるではありませんか

「な゛に゛ん゛…!!」

またしても男の意識が夢の世界へ強制送還されかけんとするも

「ふざけるなぁ!!!!!」

今一歩のところで踏み止まったようです

「えっ…?何かお気に触るような事しましたでしょうか?こんな雌っ気の無い生活を送られてる貴方にとってはこれ以上ない至上の喜びでは…。」

「お気に障りまくりだよ!風俗ならがたいの良いお兄さんにほおりだされるレベルだよ!」

「まぁそんな風俗に言った事も無い童貞風情が身を切り裂く自虐ネタを仰られずとも」

「さっきからジョークがブラック過ぎるんだけど…。と言うか!なんなんだお前は!」

「はい。貴方様の従順な処理人形、ミカでございます」

「聞く人が聞いたら誤解するような自己紹介しないでくれますか。僕はそんなやましい気持ちでミカを愛してるんじゃない!」

「まぁ何を勘違いしていらっしゃるかわかりませんが、おしゃべりの相手をするストレス処理の、と言う意味でございましたのに…」

「……。もうボケは良い、本当にお前はミカなのか…?」

男は何故か大そう疲れた様子でした


「えぇそうですよ。紛れも無く本物の貴方様の人形、ミカ1/1スケールでございます」

「そんな…。わけがわからない、なんでこんないきなり動き出して人間みたいに喋りだしたんだ…!?」

「私にも詳しい事はわからないのですが…。思うに、こんな雌っ気もない残りの人生を1人と人形とで寂しく生きていく哀れな豚に神が泣きながら与えたもうた奇跡、ではないでしょうか?」

「ねぇなんでそんな上品な口調で人の心を適確に抉り取る罵倒ができるの?」

「初めて人と話せた喜びの裏返し、と取っておいて下さいませ」

「もうちょっとストレートに喜びを表そうよ。いや、それはどうでも良い!良いか?僕は人形が好きなんだ!人形しか愛せないんだ!…それなのに…。」

「あの、いきなりそんな特殊性癖を露呈されても返事をし辛いのですが…」

「セクシャルマイノリティに対する思いやりってのは君には無いのか…」

「そんな同情心ありません。」

「そうですか…。いや、とにかく。こんな人間らしい感情の篭った人形になってしまったんじゃ……」

男は心底困った顔で黙り込んでしまいました

「本当に、お嫌いなんですね…。」

(少し、言い過ぎたかな…。この子(?)も僕が喜ぶと思ってこうして話しかけてくれたんだろうし…)

「あの、別に君が嫌いって訳じゃなくて…」

「知ったこっちゃないわよ!!!!」

「…は?」

人形の突然の口調の変化と態度の急変は男の思考を一旦ストップさせるほど衝撃だったようです

「えっと…?」

「あのね。私もなんでいきなりこんな感情だか魂だかが備わったのかわかんないのよ!」

「え?さっき僕のためとかなんとか言ってなかったっけ?」

「あれはああ言っておけば取り入れやすいと思ったからよ」

「根も葉もねぇ!!!」

「とにかく!私がなんでいきなりこうなったのかもわからないしいつまでこうなのかもわからない!さっぱり!全く!これっぽっちも!わからない!」

「そ、そんなわけないだろ!?君は当事者じゃないか!本当にいきなり自我が芽生えたって言うのか!?」

「わからない!…私も…わからないのよ…。」

(うっ…。なんでいきなりしおらしくなってんだよ…)

「わからないのよ…私も。ただわかるのは私が人形って事でミカって言う名前がある事とあんたに大事にされてたことだけ…。それ以外は本当にわからない…」

「それじゃ…ほんとうに…。」

「………。」

「わかったよ…。いやわからないけど、とりあえず現状は理解した。何故かいきなり僕のミカに魂だか精神だか自我だかが芽生えて、君もなんでそうなったのかわからない。そうだな?」

「えぇ…そうよ…。出てけと言うならそうするわ。これから先どうするかなんて決めてないけど…」

「うっ…いや、出てけとまでは…。」

(幾ら感情があるからってミカが悲しそうな仕草をしているのは辛い…)

「あんたも私みたいな得体の知れない物を傍に置いておきたくはないでしょ?」

「う、まぁ確かに得体の知れない物だが…」

「私もこうなってしまった以上、人形のように動かず黙ってじっとする事なんてできないし、出て行くわよ。原因も理由もわからないけど、あんたには申し訳ないことをしたわね。それじゃ…」

人形は静かに立ち上がると俯いたまま玄関に歩き出した

(うぅ…。本当にこれで良いのか?幾ら人形とは言えいきなり家から追い出すなんて…。でも、人間らしい彼女と一緒に暮らすのは…。)

「さっきも言ったけど、私も何故かあんたに心底大事にして貰った事はわかる。こんな事になって、ごめんね。それじゃバイバイ」

(嫌だ。なんかわからないけど嫌だ!そんな言葉聞きたくない!)

男はそう思うが先か後か、玄関のドアノブに手をかけようとしていた人形の手を止めた

「……。出られないじゃない。私がいると迷惑でしょ?」

「…迷惑なんて、言ってない。」

「それじゃ、ここにいても良いの?」

「元々ミカは僕の人形だ、勝手にいなくなれると…その…。困る…」

「ブフッ!」

「え?ぶふっ?」

「え、あ、いや。なんでもないわ。それじゃ言質も取れた事だし伸び伸びとお邪魔するわね。いやぁ一時はどうなるかと思ったけど良かった良かった」

「……え?」

「あんた何いつまでそんなところで突っ立てるのよ。馬鹿みたいよ?」

人形は先ほどの物憂げな仕草から一片。元からそこが自分の家だったかのようにソファーに腰掛けるととテレビをつけて寛ぎ始めたではありませんか

「選択肢。間違えた。」

男は心底数秒前の自分の行動を心から恨むも、こうして1人と1体の楽しい(例え一方的であっても)生活が始ったのでした



前回の一人称語り部視点と違って人間(?)の掛け合いをいれられるからホイホイ話が進むね

って言うか一章辺り2,000文字以内に纏めようと考えてたけどやっぱり増えた

気付くと増えている。まるで体重のような。

いや、よそう。



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