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夢化け

作者: 高杉

地元の田舎でのんびり役人をして生を終えるつもりだった。


 なのに今、目の前に広がるのは闇、闇、闇。

さっきまで仕事をしていたはずなのに、いつの間にか闇の中に倒れこんでいたらしい。何故・・・、もしかしたら夜まで役場で寝ていたのかもしれない。記憶もないくらい疲れ果ててまで仕事していたのなら、この不思議な身体の重さも納得がいく。

「・・・・・・もう少し、休むか」

小さく呟き、再び身体を重力に任せようとした時、不意に後方(?)から足音と共に声のような音がする。しかし声と考えても、聞いたことのない言葉ばかりだ。足音は複数人を示している。

緊迫した感情が身を染める。一体ここは何処なのか。

闇に包まれていて全く分からないが、仕事をしてて寝てしまったのなら、ここが役場の休憩所だと考えるのが妥当か。だとすると、音がするのは廊下の、裏口の方からか。きっと忘れ物をした役人・・・が二人以上もこんな夜中に?少しおかしいと感じ、見に行くとこに決めた。が身体が全く動かない。動かないどころか先の不思議な重さが痛みまで与えてくる。一体重みの正体は何なのか、しかし闇の中では何も分からない。

急に、足音が止み声が大きくなる。今度はハッキリ人の声だと分かった。しかし言語は不明だし、なにやら曖昧にしか聞こえない。

もう一方、先の声と反対側からも声が聞こえた。今度は分かりそう、日本語だと思われる声。それともう一種類の言語の声が聞こえる。


もうここが単なる役場ではないことは分かりきっていた。しかし一体ここはどこなのか・・・そして聞こえる声は。不思議に不思議が重なり、未知の中に自分という存在さえも曖昧に思えてきた。

見えない、動けない、分からない。いち役人には状況が全く判断できなくなっていた。


「!!!!!!!!!」

突然だった。日本語と同じ方向から聞こえた声だった。しかし何て言っているのかはさっぱりだ。

その後、カラン。物が落ちる音が聞こえると、上の方から、何かで突かれたような少しの感触。それから少しと経たずに大きな衝撃があったような気がした。



闇から開放されて、一つ目に見えたのは真っ白のパソコンの画面。そういえば資料を作成するんだっけか。

「おはよう、何時まで寝てるんだ。もう昼休憩終わっちゃったぞ」

時計を見ると、丁度針が二時を落とす頃だった。何時から寝てるかは分からないが、身体のだるさと少しの記憶からして三時間は寝てたらしい。

更に奴がもう一言を言う。

「さっきまでお昼のニュースでロシアと中国とり上げてたのに・・・。見過ごすなんてとんだ不運な奴よ」

ニュースでは戦争が近いだなんで、ここ数ヶ月間は特番もよくやってる。奴はそれに興味があるらしく、逐一報告してくるくらいだ。だから今回もそんなことだろうと、軽くたかをくくっていた。

「そんなことに真面目に興味があるのはお前だけだよ」と。


実際どうこういうわけじゃないのに。

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