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五日目

 母よ、これはどういうことでしょう。

 あなたの息子は今日も元気です。朝起きて、いつものように魔力尽きるまで移動する途中で妹の生まれる気配がしたので手近な樹のうろへ隠れました。

 一番小さい卵でした。

 がりがりと音がするもののなかなか出てこないので少し手助けしてやれば、ようやく白い鼻先を覗かせました。

 這い出てきたのは真っ白な妹。ここまではいいです、我も母の知識がなければ鱗が硬化するのも待たずに爪で無理に殻をこじ開けていたことでしょう。

 その後がわからないのです。

 妹は我を見て、自身を見、何事か叫んだと思ったら人の赤子になっておりました。

 母よ、あなたの知識が確かなら人化とは十分に経験をつんだ竜にのみ可能なことではなかったのですか?

 とりあえず、食事にしようと思います。




「はぁ……」

 生まれてからいったい何度目かのため息。

 我、世界で一番ため息ついている零歳児かもしれない。

 だってあの妹わがまますぎる。

 妹が人になってから少しでも魔力をとらせようと卵の殻を口に突っ込んだら泣くし、樹のうろになるべく強い守りをして山を探し回ってやっと見つけた山羊の乳は吐き出すし、とりあえず我の魔力を溶かし込んだ水をやることにしても今度は我の魔力が足りなくなるし。

 母よ、生涯三七八頭の竜を育てたあなたは偉大です。

 でも我、もう嫌だ。

 そういえば、母の知識から人間とはずいぶん小さな生き物だと思っていたのだが、生まれたばかりの竜とはさらに小さいものだったらしい。

 人間の赤子になった妹の大きさ、頭から尻尾まで伸ばした我と同じくらい、体積は多分四倍以上。

 妹よ、そんなに早く大きくならなくても良いのではないか?

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