三一七六五日目
母よ、あなたの子供達はひとまず一人前と呼べるようになりました。
一〇〇年も経たないうちなので優秀と言えるでしょう。
我は今日冒険者のギルドに向かう予定です。
妹達は冒険者として世界をめぐったので、我もそれにならおうと思ったのです。
「っじゃーん!ここが冒険者ギルドだよ!!」
「言われずとも知っておる」
「兄様、こっちで入会手続きを行うんですよ」
「見れば分かる」
「にーちゃん、踏み台いる?」
「我を馬鹿にするな!」
なぜ妹達もここにいる!?
「冒険者をしていたのが昔過ぎて名前が残っていませんの」
「私も、お兄ちゃんの案内がてらもう一度登録しようと思って」
「俺も~、それににーちゃんってずれてるとこあるから心配でさ~」
中々兄離れが進まない妹達を少し嬉しく思うがここは無視して受付に向かう。
「すまない、入会をしたいのだが」
くっ、カウンターが高すぎて受付の顔が見えぬ。
手を伸ばして気付いてもらおうとしていたら、ギンに後ろから抱き上げられた。
「おっちゃん、俺達四人入会したいんだけど」
「はいはいっと、そんな小さな子もかい?まあいいけど。
こっちの書類書いてもらえる?あ、字は書けるか?」
「大丈夫です、はいペン、使い方分かります?」
「それくらい知っておるわ」
抱き上げられながら書くのは中々難しく、悪戦苦闘していると男が話しかけてきた。
「お前さん達派手だね~、髪の色とか全然違うけど顔立ちは似てるのな、兄弟か?」
「そうなの、私は一番上のリリ」
「俺は二番目のギン」
「私は三番目のニジです」
「は?お前達何をむぐっ!?」
「この子は四番目のシアンです」
文句を言おうとした口をリリーアンシェルにふさがれて、日にちから計算した年齢をニジに書き直された。8歳!?断固抗議する!!
「兄弟でパーティ組むのか?ついでにパーティ申請するか?」
「あ~、じゃぁそうする、頼むよおっちゃん」
「パーティ名はつけるか?」
ちらり、と妹達が我を見た。決めろと言うことか?ふむ、いい名を思いついたぞ!
「よし、ドラゴンズだ!」
「「「却下」」」
結局名前は付けないことになった、何故だ?
久しぶりにリリーアンシェルがニホンゴで『球団』云々言っていたが何のことだろうか。
我達は隣の町を目指して歩いていた。そして我は腹を立てていた。
単に見送りに来ただけだと思っていたが、妹達は我についてくると言う。
一人や二人ならともかく三人とも、だ。
「良いか、我らの役目は世界の安定を守ることなんだぞ?」
「だからお兄ちゃんについてきてるんだけどね」
「どういう意味だ?」
「いや、こっちの話だからにーちゃんは気にすんなって」
「あ、そうだ兄様、隣の町では今ドラゴンエッグが名物になっているそうです」
「共食い!?我は食べんぞ!」
「そういう名前のお菓子なんだってさ。何層にもなった卵の形したケーキで外側に竜の卵みたいな模様が書いてあるんだって聞いた」
「ギンとニジは本当にそういうことに詳しいのだな」
「あ、それ私のアイディア」
「リリ、最近の新しい料理はすべてお前の発案なのか?」
それからも、わいわいと話しながらゆっくりと歩いていく。
たまにはこういうのも悪くはないか、我達の旅は始まったばかりなのだから。
完結です
俺達の冒険はこれからだ!!
で終わる物語にしたかったので満足です
兄竜は自身で思っていたほど大人ではなく 世界を見てきた妹達のほうが知識の量はともあれ精神的に成長していた と
そして 今一番の世界の脅威と認定され 今日も妹弟の目付けの下 兄弟姉妹で世界を旅しています
ここまで読んでくれた方 どうもありがとうございました




