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一日目
一つくらい完結させようと思い四日ほどで書き上げたものです
最後までお付き合いくださいましたら幸いです
母よ、今は亡き母よ。我が意識は目覚めました。
未だ堅き殻の中、しかし我はそこから出る気はない。まだ早い。
母から受け継いだ知識によりそのことがはっきりと解る。
あと二日すれば全身の鱗もこの卵の殻より堅くなり、より安全に出ることができるだろう。
そして、課せられた我が役目を果たすのだ。
母は始祖の竜だった。
創世神により作られた一つ、創世より今世まで生き続けた唯一ではあったがつい百年ほど前に自らの死を悟られた。そして、世界を守るため、力持つ生き物が好き勝手せぬよう始祖の力を継いだ四つの卵を産んだ。
争いの火種にならぬよう、誰にも知られずに……。
そして、一番最初に産んだ卵に自らの知識を与えた。それが我である。
つまり、我は始祖竜である妹達を守り、道を踏み外さぬよう教育する責を負っているのだ。
ちなみに、今のところ性別がわかるのは我の殻に触れている隣の卵のみである。これが雌なので妹達という訳だ。