第2章〜望編〜最終話〜新たなる旅立ち〜
退院のお祝に行った遊園地が題材の第3話です。頑張って書いてるんで読んでいただけると嬉しいです。
そして約束の日。ボクは希ちゃんを迎えに行った。そしてお母さんから忠告が。
「ジェットコースターなど激しい乗り物には乗らないこと。お昼ごはんのあとにはちゃんと薬を飲むこと。浩一くんに迷惑をかけないこと。そして目一杯楽しんでくること。私が言いたいのはそれだけ。浩一くん、希をよろしくね。今日も朝早くからお弁当作ってたから。」
「お母さん、そんな事言わなくていいから。浩一くん、早く行こうよ。」
そしてボクたちは出発した。
希ちゃんは遊びに行くのはもちろん、電車に乗るのも久々らしい。
これからボクたちが行くのは電車で1時間くらいの遊園地。
平日のためおそらく人は少ないだろう。
ただボクは学校があるのを忘れていた。
まぁ1日くらい休んだってなんてことはないんだが。
今日は学校のことは忘れて楽しむことにした。
電車を2回乗り換えて1時間弱。
意外に早く遊園地にたどり着いた。
ボクは早速2人分のフリーパスを買い、園内に入った。
「すご〜い。ほとんど人がいないね。」
園内は思ったとおりガラガラだった。今なら何でも乗れそうだ。
「大丈夫?長旅で疲れてない?」
「うん!これくらい全然平気だよ。」
「じゃあ遊びまくるか。まず何に乗りたい?」
ボクは最初から乗り物は希ちゃんに任せるつもりだった。
「う〜ん。じゃあメリーゴーラウンド!」
来た〜っ!女の子らしいと言えば女の子らしいのだが。
「あれ?浩一くんは乗らないの?」
「ん?ボクは外で写真を撮ってるよ。」
メリーゴーラウンドが動きだした。
希ちゃんは結構楽しそうだった。
それからコーヒーカップ、フライングカーペット(これが一番ヒヤヒやした。
)など、最初からのハイペースに病み上がりじゃないボクの方が疲れていった。
「ゴメン。ちょっと休憩させて。」
「じゃあお昼ごはん食べようよ。」
ふと、時計をみると12時30分。
昼ごはんにはちょうどいい時間だった。
ボクたちは近くの椅子に腰かけた。
ボクが持っていたカバンから弁当を出した。それは普通に2人分位の弁当箱だった。
「それは浩一くんの分ね。」
と言って希ちゃんの分であろう小さい弁当箱を取り出した。
「浩一くんならたくさん食べそうだからたくさん作って来たんだけど多かったかな?」
「大丈夫大丈夫。じゃあ早速いただきます。」
開けてみると玉子焼き、唐揚げ、ウィンナーなどオーソドックスだけど手の込んだおかずばかりだった。
ご丁寧におにぎりまで作ってくれていた。
気になる中身は・・・・・・・・・唐揚げだった。
(苦笑)そして話をしながら40分後。
「すご〜い!本当に全部食べるとは思わなかった。」
どうやら希ちゃんも多いというのは自覚していたみたいだ。
「気合い入れて作りすぎたから浩一くんのに全部詰めこんだんだけど。」
「えっ、そうやったん?」
「うん。まさか食べきれるとは思わなかったからギブアップしてもしょうがないんだよ、って言おうとしてたんだけど。」
「まぁまぁ食いきったんやからいいんちゃうかな。」
30分位は動けそうにないけど。
そして、昼からもハイペースで乗り物に乗り、ほとんど乗り尽くす頃には日も西に傾きかけていた。
「じゃあ最後はやっぱり観覧車だね。」
という希ちゃんの言葉にボクは氷ついた。
今は克服したはずだが、その当時ボクは極度の高所恐怖症だった。しかし、恥ずかしくてその事実を言えず、さらに待ち時間もなかったので心の準備も出来ずに観覧車に乗ることになった。
「めちゃめちゃ景色が綺麗だね。」
と希ちゃんが言ったが、ボクは景色が見れる程余裕がなかった。
ひたすら下を向いて早く下りてくれるのを待っていた。
下に着いた時、ようやく生きているのを実感できた。(大げさ)
そしてあまり遅くなるとお母さんも心配すると言うことで日が暮れる前に帰ることにした。「今日は楽しかったね。」
「そう言っていただけると嬉しいです。」
「またいつか来ようね。」
「う〜ん、またお金に余裕のある時にね。」
そんな話をしながら希ちゃんを送っていった。
それから数日後。
希ちゃんのお父さんからメールが届いた。
2人で話したい事があるらしい。一体何だろう?
岸和田の一口メモこの話は元々出会い〜そして〜別れの三部作で構想していましたが1話が短すぎて断念しました。次は第4話〜そして〜です。気長にお待ちいただければな、と思います。