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第2章〜望編〜最終話〜新たなる旅立ち〜

やっと第2話です。バイトと学校の合間に執筆してたんで時間がかかりました。 読んで頂けると嬉しいです。あと、1話で書き忘れた事があったので付け足し。第1章〜希編〜は2002年の夏から秋の話です。

次の休みの日。

ボクはあの日と同じように病院に来ていた。

少し迷いながらも病室の前にたどり着くと中から話し声が聞こえてきた。

忘れていた、今日は土曜日。

希ちゃんの家族が来ている日だ。

今日のところは帰ろうか、そう思ったとき後ろから声をかけられた。

「あなたはあの時の。今日も希ちゃんのお見舞い?」

振り返るとあの時の看護婦さんだった。

「はい。でも…」

家族の方がいるみたいなんで帰ろうかな、と言いかけていたのに看護婦さんは病室に入って、

「希ちゃん、奥くんが来てるわよ。」

こうなってしまっては帰るわけにはいかなくなってしまった。

看護婦さんももうちょっと人の話を聞いてほしいものだ。

「あっ。浩一くん、来てくれたんだ。」


「いや〜、ゴメンな、家族と楽しんでるのを邪魔してしまって。」


「全然大丈夫。お母さんも挨拶したいって言ってたし。」

そういえばまだ家族の人に挨拶してなかった。

「初めまして。奥浩一って言います。」


「あなたが浩一くんね。うちの希がお世話になってます。」

お世話といっても1回話をしただけなんだけどな。

「妹の望です。よろしくお願いします。」

という軽い自己紹介と、希ちゃんの近況が聞けるようにと、携帯の番号とメールアドレスを交換したそのあとは家族の中にちょっと居づらさを感じながらも4人で話をしていた。話の最後に希ちゃんが、

「体調も良いのでもうすぐ退院できるかも。」

と言っていたので、じゃあ希ちゃんが頑張って退院できたらどっか遊びに行こうという約束をして、その日は面会時間ギリギリまで病院にいて、お母さんに車で送ってもらって家路に着いた。

それから数日後。

希ちゃんは宣言通り退院する事になった。

ボクはその日が休みだったのでお母さんに車で送ってもらって一緒に希ちゃんを迎えに行くことにその日の希ちゃんはいつもよりも元気そうで何よりだった。

「希ちゃん。退院おめでとう。今は病み上がりだからもうちょっと日にちがたったら約束通りどっか遊びにいこうか。」


「ホントに!?じゃあ遊園地にいきたい!」

ゆ、遊園地ぃ?希ちゃんがお望みとあればそれでいいんだけど、金銭的に厳しい部分があるよな、というわけで給料が出た後の9月6日に遊園地に行く約束をした。

そしてこの後希ちゃんの家で退院祝いのパーティを開くという事なのでボクも招待された。

希ちゃんの家はボクの家からバスで20分位のところにあった。

中に通され早速お母さんと望ちゃんはパーティーの準備に取り掛かっていた。

「ボクも何か手伝いましょうか?」

と言ったのだけれど、

「良いからゲストはゆっくりしてて。」

とか、

「浩一さんは用意するあいだ、お姉ちゃんの話し相手になってあげて。」

と言って手伝わせてもらえなかった。

そして、用意が出来るまでボクは希ちゃんの部屋で話をすることになった。

好きなアーティストの話、ボクのバイトや学校の話。

他愛のない話だったけどやっぱり自宅と病室じゃ違うのだろうか。

希ちゃんの表情、口調はいつもよりも生き生きしてたような気がした。

そんな話をしているうちに、パーティーの用意も出来たみたいで、お父さんも帰ってきたみたいなのでパーティーが始まった。

ボクは希ちゃんのお父さんと会うのは初めてだったので、少し緊張していた。

「お父さんと浩一くんの紹介の前に先にカンパイしよう。じゃあゲストの浩一くん、ヨロシク。」


「えっ?」


「えっ?じゃないよ。ゲストの浩一さんがカンパイの係なの。」

そのためのゲストだったのか。まぁやるしかないよな。

「じゃあゲストのボクがカンパイの挨拶を。希ちゃんの退院と皆さんの健康を祈ってカンパ〜イ!」


そんな感じでパーティーは始まった。


希ちゃんのお父さんと自己紹介も終わり、結構話せるようになっていた。


その途中、何度も酒を飲まされそうになったが、その度に、


「未成年なんで飲めないです。」



と言って断っていた。


夜も更けていき、明日は仕事だったので帰ろうとした。


お父さんが車で送ってくれると言う話なのでお言葉にあまえることにした。


「でもおじさん、飲酒運転じゃ?」


「これくらい大丈夫だよ。ちょっと話したい事もあるしね。」

そして帰りの車の中で、

「でも浩一くんが見舞いに来てくれてから希が急に元気になったよ。」


「そうなんですか?」


「元々入退院を繰り返してたし、人と話すのが苦手だから友達もいなかったんだよ。」


「最初話した時も最初の方は表情固かったですしね。」


「でも浩一くんと話をしてる時の希はすごく楽しそうだった。これからも週に1回でいいから希に会いに来てあげて欲しいんだ。」


「ボクで良ければ全然良いですよ。学校が入るんで時間は限られますけど。」

これからは週に1回、希ちゃんと会う約束をした。

それが希ちゃんのお父さんの願いなら断るわけにもいかない。

「ありがとう。希も喜ぶはずだ。では6日は希を頼んだよ。」


「無事に自宅まで送り届けます。また前日に電話すると伝えていただけますか。」


「わかった。伝えておくよ。ではおやすみ。」

こんな感じで16年間で一番賑やかで、忙しい夏休みは終っていった。6日の遊園地を楽しみにしながら…。

どうだったでしょうか?感想など頂けると嬉しいです。次は第3話。希ちゃんと遊園地に行くところから話が始まります。気長にお待ち頂ければな、と思います。

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