プロローグ
それが起きたのは10年ほど前だった
気がついたときは岩の上で寝ていた
視界に入ってきたのは黒ずみになったバスだった
その周りにはたくさんの人が血だらけで倒れていた
中には子供を抱える母親、恋人だろうか?男の人が女の人を抱きしめながら倒れている
動こうとしてもまるで動けなかった
そして自分も誰かに後ろから抱きつかれていることに気がつく
幼い身体に力を入れ腕をほどいてその正体を見てみる
「母さん・・・」
それだけではなかった
父さんは茜を抱えてながらピクリとも動くことはなかった
頭からは大量の血が流れていた
自分も足から血が流れていたが母さんに守られたせいか頭は無傷だ
「母さん・・・」
今度はゆすってみる
しかしその身体が動くことはなかった
次第に瞳からは涙が流れていた
「父さん!茜!」
いつの間にか泣きじゃくっていた
必死になって何度も何度も父さん、母さん、茜の名前を呼んだ
だけど一向に動く気配を見せなかった
「いたぞ!子供が1人生きてるぞ!!!」
一瞬身体がビクッとなった
どうやらボク達を助けに来たようだ
「ボウヤ、もう大丈夫だぞ
さぁ、一緒に行こう」
「・・・どこに?」
かなりの不安が広がった
なぜだかこのオジサン達に付いていったら二度と父さん達に逢えないような気がした
「病院だよ
君はそれで助かるんだ」
「父さん達は?」
「大丈夫、あとでオジサン達が連れて行くからね」
うそだ
ボクから瞳をそむけて言った
「イヤだ!
ボクは父さん達と行く!!!」
必死だった
不安だった
でもオジサン達はボクを抱っこして運ぼうとした
イヤだ・・・こんなのイヤだ・・・絶対に・・・
その瞬間世界は光につつまれた
次に気が付いたときは病院のベッドの上だった
瞳を開けるとそこには父さん、母さん、茜がボクを心配そうに見ていた
次回は9月末か10月初めまでにあげます
追記
キャラクターの設定資料等のファイルを謝って消してしまったので少し更新が遅れます