おめでとうございます、あなたで転生1万人目です。
もしも、急に転生して、女神様から、こんな一言を言われたらどう思いますか?
わたしは30代OLの鈴木日名子。眼鏡がチャームポイントだ。
——今日、ついに念願の日がやってきた。
「ラジオネーム鈴木牝馬さん 30代からのおたよりです……」
音量を大きくする。
わたしはいま、病床に臥している。
呼吸器がないから、あの吸い込むやつを使っている。緑色の、カプセルみたいな。
吸い込みにくいし、なんだかぬるいしいやだった。
「ッハァ、ッハァ……」
続いては、ラジオネームやんちゃみさん 18歳からのおたよりです――。
若い女性アナウンサーの声がして、意識が途絶えた。
真っ白い空間に、わたしの影はなかった。
何分ほどが経ったか、女神さまがやってきて(本能でそれだとわかった)、わたしのほうを向く。
あれ……? わたし死んだよ? 無言こわいyp
女神さまは喪服も着ていない。
南無妙法蓮華経も、南無阿弥陀仏も、それ以外のどんな言葉も、唱えていない。
パッと、晴れやかな顔に女神さまはなった。
「おめでとう! あなたで転生1万人目です!」
呆然とするわたし。
「え? わたし死んだし、おめでたくないし、っていうか転生1万人目ってなに? そんなおめでたいことなの?」
わたしの問いに、女神さまは、「まあまあ落ち着いて」
落ち着けないし、こんな女神さまで異世界やっていけてんの?
「えーとですね」
女神さまは急に事務的な口調になった。
「転生1万人目のあなたはアーリに転生することになっていて、アーリにはすでに847人の転生者がいます。あなたは転生1万人目の転生特典でチートをもって生まれます。なお1000人目、5000人目の転生特典を授かったユードネイシア国王、大学生のガーパータさんはあなたにとてもフレンドリーになります。
ガーパータさんもチートで無双していますがいちおう陰キャです。では!」
女神さまは去っていった。
このあと、日名子は、どんな旅に出るのでしょうか。