表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/27

第二十七話 一緒におひる

「シアンっ!せっかくだし来てあげたわよ!」

 

 クラウディアは殿下と昼食。ミーシャはちゃんとした友人づくりのために奔走中。

 他に仲の良い子はあまりおらず、居てもあの勉強会で仲良くなったメンツくらいで彼ら彼女らにもそれぞれ友人がいる。

 

 ロゼッタも今の世界に住む人々と交流したいらしいから結構な交友関係を作ろうと努力している。

 もっとも、同じTS娘である私より女性として振る舞うことへの適性がないようで苦労しているみたいだけど。

 

 というわけで、私は基本ぼっち飯だった。

 ……別に嫌われているわけじゃない。あの『しんじつ』から敬遠されたり、ラウ・リンドルファーの異名を知る人たちから近寄りがたいと避けられているだけ。

 後者の意味合いが強いと思う。割合で言えば8割だ。

 

 だが、今日はヒューラが隣のクラスから来てくれた。

 

「ヒューラさん!……嬉しいですわ」

 

 嬉しさで鼓動が高鳴る。

 

 ヒューラは私の机の反対側に空いている席をくっつけて、対面する。

 

「そんなに嬉しかったの?」

 

 ヒューラはいたずらっぽくそう聞いてきた。

 隠す気も意味もないけど……からかわれるのはちょっと癪だ。

 やり返すなら……こうかな。

 

「ええ、とっても。ヒューラさんにまた会えるときを一日千秋の思いで待っていましたから」

 

 そう言って優雅に微笑む。

 実際にはテレとニヤケが混じってそううまくは行ってないんだろうけど。

 

「……もう、口が上手いんだから」

 

 そう言ってプイッと顔を背けながら弁当箱を開ける。

 中身は弁当屋で買ってきたメンツだった。

 ホテル住まいだからこうなるのは当然かな。

 

 だけどその中に一つ、明らかに不格好な形のサンドウィッチがあった。

 料理はまったくできないって聞いてたけど……出来るようになったのかな?

 

「その、このサンドウィッチ、食べてくれない?あんまり美味しくはないと思うけど……食べたくなくなるほどの味はしないはずだから」

 

 そういいながらヒューラはサンドウィッチを差し出してきた。

 ……恋人の手作り料理かぁ。そんなものを食べられる日が来るなんて。

 この世界に来てからは考えもしなかった。

 

 ありがたく受け取る。

 

「あなたを意識し始めた頃から、少しは料理できたほうが良いのかなって思って、練習してたの。まだこれくらいしか出来ないけど……」

 

「心が踊ってしまうほど可愛らしい情報、ありがとうございます」

 

 そう言ってから、サンドウィッチを口に含む。

 ごく普通のたまごのサンドウィッチ。

 味も普通のはずだ。

 だけど、とてつもなく美味しく感じる。

 

「……ふう。とっても美味しかったですわっ!ありがとうございます!」

 

「喜んでもらえてよかった……。いつかはもっとちゃんとした料理を振る舞ってあげるから、覚悟しててよね」

 

「ふふふっ、楽しみですわね」

 

「あと、ね?いつか、シアンからも料理を振る舞って欲しい……」

 

 料理。私が料理、か。

 下手ではない。大商家の令嬢として料理はちゃんとたしなんでいた。

 今でもたまに家人に習ったりする。

 いや、下手ではないというのは嘘だ。かなり美味しい部類だと思う。

 だけど、それを恋人に振る舞うというのはなんというか緊張するなぁ。

 

 でも、いいな。そのシチュ。

 

「今度、お弁当を作ってきましょうか?」

 

「……!いいの?負担じゃない?」

 

「ちょっと手間が増えるだけですから大丈夫ですわよ。普段技術を教えてもらっている見返りとでも……いいえ、違いますわね。そう、愛妻弁当だとでも思ってくださいな」

 

「あ、愛妻弁当……!!!えへ、へへへ……」

 

 ヒューラはだらしなくニヤけながら妄想の世界に浸ってしまった。

 

 その後、食事を終えて雑談をして、それぞれのクラスに戻ることになった。

 

「その、私たちは随分注目を集めていましたけど……嫌な気分になりませんでしたか?」

 

 そう、私たちは滅茶苦茶注目されていた。

 明らかにラブラブな空気を漂わせて会話していたから関係性は完全にバレただろう。

 

 この世界では間違いなく一般的なことではないから、妙な目で見られたりもした。

 私には社交界でも通用するような明確な実績があるから、学生社会程度でならばどうとでも我を通せる。

 ヒューラのことも守れる。

 これから功績を積み立てていって、王命からも互いの身と愛を守れるような名声、そして行き過ぎた名声のせいで排除されないような処世術をも得ようとも計画している。

 だけど、やっぱり嫌だったんじゃないかという不安は出てきてしまう。

 

「もうそんなことはどうでもいいわよ。嫌なこと言われたくないってだけで関係を隠すのも嫌だしね。シアンはもう私の彼女なんだってはっきり示せたのも収穫だわ。別に気にする必要なんてないのよ」

 

 だが、ヒューラはそう言って笑うと思いっきり私を抱きしめた。

 

「ちょっと……他の方々も見ていますのよ!?」

 

「誰にはばかることもないんだからいいじゃない」

 

「……もう。流石に私でも公衆の面前で抱きしめられるのは恥ずかしいんですのよ?」

 

 その後、友人たちに驚かれたりからかわれたりしてかなり恥ずかしかった。

 ……からかわないでくれよ!もう……。

とても大きな地震がありましたが、皆様大丈夫でしょうか?

私は他人に大きなことを言えるような人間ではありませんが、とにかく命を大切に行動していただければと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ