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第二十話 勉強会

「あなたのおかげでだいぶ勉強がわかってきたわ!」

 

 ヒューラが珍しく喜色満面といった笑みをこちらに向ける。

 喜んでくれるのはいいんだけどまだ入学時の平均レベルにも届いてないぞ。

 とはいえ、吸収は早いなと思う。案外剣以外も行ける口なのかも。天才ってのはいるもんだね。

 ……天才ってほどかな?

 

「シアンちゃん?私の方も少し見てほしいんだけど……」

 

「ああはいはい。今行きますわよ」

 

 この中でとりわけレベルが低くて不憫だったのでヒューラに時間をかけすぎた。

 親の都合で学ぶ機会を損失しているのは可哀想だし。

 しかしクラウディアに呼ばれたので一度切り上げてそっちの方へ行って教える。

 この子はなんというか不思議だ。いや、人格が不思議とかじゃなくて学べば学ぶだけその知識や技能が身につくんだ。

 

 だから、教えがいもある。ただその反面、すぐに追い抜かれそうなので『俺はチート使ってこの程度か……』という思いもあるのだが。

 

「実はね、過去問見てたらちょっとよくわからない問題があったの」

 

 そう言ってクラウディアが持ち出してきた問題は「長子相続のメリットと、この国が採用している理由を3つ以上述べよ」

 

 という問題だった。

 

「優秀な子供がいるならその子を跡取りにしたほうが良くない?そっちのほうが領民も幸せだろうし……」

 

 まあ、そういう意見もあるよな。俺は本質的には能力主義はあまり好きではないのだが、気持ちはわかる。

 

「あまりそういう意見は述べるものではないものですわ。……こほん。ではまず能力によって選ぶことの問題点について上げましょうか」

 

 俺は簡潔に能力によって後継者を選ぶことの問題点を指摘した。

 

 その内容はこうだ。傍から見える能力など見るものの眼力によって変わること。また、権力を得て慢心し、無能側に落ちることも多々あるから結局どちらにせよ、という可能性もあること。そして、安定しづらいことだ。

 

「なんで安定しづらいの?有能な人なら無難に治めてくれんじゃないの?」

 

「後継者レースが発生すると収集つかなくなるかもしれないでしょう?兄弟間で血みどろの暗闘が繰り広げられて、結果的に勝っても不都合が多すぎますわ」

 

 派閥争い、負けた側の子についたの家臣の叛心、勝ち馬に乗った家臣の増長、なんて要素を説明したら、多少納得がいったようだ。

 

「それともう一つ、分割相続のデメリットもお教えしましょうか」

 

「分割相続?」

 

 おっと、この世界では馴染みのない制度だったかな?

 まあいい。存在しないわけではないし。

 

「いっそのこと子供全員に領地や田畑を分け与える制度のことです」

 

「そんな夢のような制度が!?」

 

「夢のような……と見えるかもしれませんが、ここにも大きな落とし穴があります。分割して相続すると、世代を経るごとに相続するものが少なくなって行き、最後には全員貧乏になってしまうんですよ。まあ、当然の話なのですが、これを知らない者がやってしまうこともあってですね、私はこういう者を戯け者などと呼んでいます」

 

「戯け者?……なんか面白いこと言ったような空気だけど普通のことじゃない?」

 

「田分け者とかけているのですわ。まあ、こんなものですわね。ちなみに長子相続のメリットは内紛が少なくなること、これに尽きますわね。最初から決めて、それを覆さないことに意味があるのですわ。デメリットは……あまりにも暗愚だった場合に、ね?あなたほどの才媛ならわかるでしょう?」

 

 現代から見ると長子相続なんて時代遅れに見えるが、こういう時代においては優れた制度だと思う。

 中世には中世なりの合理があるのだ。現代の常識は中世では通用しないことが多い。

 徳川家康が家光を三代将軍に選んだ逸話は有名だ。どちらかというと秀吉贔屓なので家康はあんまり好きではないのだが、こいつが天下人にならなかったら日本はどうなっていたかわからないと思うくらいには高評価はしている。

 

「才媛って……な、なんかシアンちゃんって意外に私を評価してくれているんだね」

 

 クラウディアは少し照れていた。褒められ慣れていない可能性もあるが……一番の理由は俺が普段はこの子をあまり褒めないことにあるだろう。

 ツンデレ風味の演技をしていたが、もうそろそろ心を開いてもいい頃だ。実際には最初から心なんて開いてるわけだし。

 異性関係以外でのこの子は良い子だと思うしな。

 

「認めていなければ友になどなりませんわ。商人のはしくれとして、あなたならば信用できる。なによりあなたに眠る才覚は戦国十七雄とも比べられないほどだと思いますしね」

 

「戦国十七雄!?そこまで過大評価されると……流石にプレッシャーが凄いなぁ……」

 

 そうだよな、今言ってて思ったが、クラウディアの才覚は凄まじいんだ。取り入れば俺も美味しい思いをできる可能性は高い。

 ……まあ、友情を踏みにじる気はないしそれ目的でにじり寄るのはやめよう。

 それから、学びに来た生徒たちに熱心に質問されてそれに答えながらヒューラに重点的に教え、一日目の勉強会が終わった。

更新が遅れてすみません。

投稿するのを素で忘れていました。

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