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第十一話 家臣が欲しい

 剣は心血注いで習わなきゃならんが、俺はもっと功績を打ち立てなければならない。

 マスデロに頼んでルーネスト屋で役職を貰うのもいいかもしれない。

 まだ学生なので大したことはさせてもらえないと思うが、仕事ぶりが話題になれば喜ばしい。

 そうするにあたって部下がほしい。俺のすることはこの世界基準だと突拍子もないから、普通の感性をしている部下ならば裏切るかもしれない。

 

 誰だってバカ殿には使えたくないからな。

 しかし、俺のカリスマで人を引き付けるというのは無理だ。

 そんな要素は前世の俺も、シアンとしての俺も、どちらも持っていなかった。

 

 だからガチガチに忠誠を誓った……いや、忠義で縛りつけた有能な部下が必要だ。これほどまでの有能どころに忠誠を誓われるのなら、実は有能なのでは?と考え直してくれるかもしれないからだ。

 ガチガチに忠誠を誓わせると言っても、俺に人間的魅力はないだろうし、俺はこの世界基準では変なことをするだろうから、成果を積み重ねてからならともかく最初のうちはとても有能には見えないだろう。

 

 ならば恩で縛れば良い。幸い、俺には原作知識と現代知識がある。

 この世界の人達では解決不可能な重大ごとを解決してやれば、恩で縛れるだろう。……楽観的かな?

 まず第一候補がジョイン。攻略候補のうちの一人で、復讐鬼だ。

 

 彼は元貴族であり、親を隣国のヤードガルクとの戦争で殺されてさらし首にされたことから、特に父親を討ち取って『こやつは匹夫よ。わしのような豪傑に無謀にも挑んできたのだからな!この首を見よ、ノミのように小さな頭をしているではないか!こやつらしい低能さが見た目に現れているのだろうよ』と罵声を浴びせたムルシュ子爵に強い恨みを持っている。

 

 この世界では父親を討ち取られたとしても、戦場での事ならばむしろ『俺の父親を討ち取ったのはあなたですか!?すげー!あの父上を討ち取れるとか、マジリスペクトっス!』となるのが常識だ。もちろんそうでない例もあるが、そうなるのが普通となっていてある意味潔い。

 

 しかし、ジョインは違った。ここまでコケにされて黙ってられん!となって復讐を誓ったのだが、当時はまだ若く母親以外の頼れる親族もいなかったために周りの貴族たちに取り潰して土地を自分の領地にするべく手を回され、没落した。

 ジョインは周りの貴族を恨むことはなかったが、ムルシュ子爵への復讐心は更に燃えたぎった。

 だが平民に落とされた浪人ごときが復讐を果たせるはずもなく、そのうち風のうわさでムルシュ子爵が病死したことを伝えられた。

 

 彼は復讐心を満たせないままくすぶることになる。

 貴族としての教育は受けていたため、真っ当に働くことはできていた。

 12歳までしか教育されていなかったが、文字が読めて簡単な足し算引き算ができるだけで引っ張りだこの人材だった。あくまで庶民レベルでは、だが。

 しかし、そこでも苦難が待ち受けていた。彼の母親が難病にかかったのだ。

 

 治療薬はあるが、高すぎる。没落したジョインでは手が出ない。

 そこから、かつて貴族だったゆえのツテと知識をフル活動して、なんやかんやあって暗殺家業に身を染めることになるのだが……今は母親が病気になって困った困ったという段階だ。

 つまり、今資金援助をするだけで恩を売れるのだ。彼は父親を殺されて復讐鬼になっただけあって、他の家族への愛も深い。今は家族は母親しかいないから、そのぶんだけ大切に思っているだろう。

 

 それだけ情の強い男ならば忠誠という見返りも大きく期待できる。

 彼は暗殺者としての適性もあるが、天職は護衛だろう。

 はっきり言って、めちゃくちゃ強い!世界最強なんじゃなかろうか?それに守り、逃げ隠れるということに特化した魔法も持っている。

 

 とあるイベントで彼に勝つ分岐を見るためには、クラウディアの運動か魔法を相当高めないと難しい。

 それだけ強い男ならばいくらでも稼げるだろうし、名声も思いのままだ。

 ジョインは父親が貶されて殺されたことから、自分の強さを無意識に卑下しているために気づかなかったが、周りから見ればそう思ってるなんてとても思えない力を持っている。


 ……それだけの男を俺の護衛として使えるなら?

 他人から見た俺の凄みは高まるだろう。

 なんのかんの言っても強さというのはこの時代においては重要な指標だ。

 乙女ゲームの世界と言っても、男性優位の社会な以上強さは第一に来る……というのは言いすぎかな。

 

 というわけで、勧誘したい。家人というかそこそこ偉い社員に呼び出してもらった。

 なんでこんなやつを呼ぶんだ?という目をされたが気にしない。

 他にも勧誘したい人はいるが、とりあえずはジョインはほしい。

 

 俺は死にたくない。護身術として剣も習っているが、できることなら俺自身が戦わない状況が一番良い。

 

「ジョイン殿を連れてきました。応接室で待ってもらっていますので、お向かいください」

 

 どうやら、早速来たようだ。

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